米OpenAIが投資ファンドなどと新会社を設立し、エンジニアを顧客企業に常駐させてAIシステムの導入を支援する。専門のAI人材を社内に抱えにくい従業員50〜300名の中堅企業にとっても、外部の支援を受けながらAI導入を進められる選択肢が広がる可能性がある。一方で、従来システム導入を担ってきたシステム部門やシステムインテグレーター(SIer)の役割が問い直される動きでもある。
何が起きたか
OpenAIが投資ファンドなどとともに新会社を立ち上げた。この新会社は、エンジニアを顧客企業の現場に常駐させ、AIシステムの導入を支援するというものだ。製品を納めて終わりではなく、現場に入り込んで導入そのものに深く関与する点が特徴とされる。
OpenAIなどが新会社を通じてAIシステムの導入に深く関わることで、これまで企業のシステム導入を担ってきたシステム部門やSIerの存在意義が改めて問われそうだ、と報じられている。AIを「開発する側」が「導入する現場」まで手を伸ばす構図であり、IT業界の役割分担に影響しうる動きと位置づけられている。
出典: 日経クロステック
中堅企業への含意
この動きが中堅企業にとって意味を持つのは、AIの専門人材を社内に抱えていなくても、外部の常駐支援を受けながらAI導入を進められる道筋が見え始めている点だ。従業員50〜300名規模の企業では、AIに詳しい人材の採用や育成が追いつかず、導入の検討段階で止まってしまうケースが少なくない。
現場に常駐して業務の流れを見ながら導入を支援するアプローチが広がれば、「何から手を付ければよいか分からない」という最初のハードルが下がる可能性がある。ただし、こうした支援が日本の中堅企業にどの程度の費用感で、どの範囲まで提供されるかは現時点で明らかではない。海外の大手が直接関与するサービスがすぐに自社の規模・予算に合うとは限らない点には注意が必要だ。
もう一つの含意は、AI導入の主導権が「誰に」あるのかという問いだ。導入を外部に任せきりにすると、AIをどの業務に、どんな目的で使うのかという判断まで外部任せになりかねない。経理や受発注、問い合わせ対応など、どの業務をAIで効率化したいのかという目的は、自社の側で言語化しておく必要がある。
今すぐできること
大きな投資判断を急ぐ前に、社内で準備できることがある。
- AIで楽にしたい業務を3つ書き出す。たとえば請求書の入力、定型メールの返信、社内からの問い合わせ対応など、繰り返しが多く時間を取られている作業から候補を挙げる。
- その業務に今かかっている時間と人数を把握する。効果を測る基準がないと、導入後に「役立ったのか」を判断できない。
- 外部支援を比較するときは、費用・支援範囲・契約後に社内に何が残るかを必ず確認する。常駐支援が終わった後、社内の担当者が運用を引き継げる形になっているかが、定着するかどうかの分かれ目になる。
業界全体としては、AIを開発する企業が導入の現場まで踏み込む流れが強まりつつある。重要なのは、外部の動きに振り回されることではなく、自社のどの業務をどう変えたいのかという目的を先に持つことだ。目的が定まっていれば、常駐支援であれ自社主導であれ、手段は後から選べる。
自社のどの業務からAI活用を始めればよいか、現状を整理するところから一緒に考えませんか。
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