養育費の取決めをしていれば、支払いが滞っている過去の養育費を請求することができます。しかし、過去の養育費をどこまで遡って請求できるかは、取決めの方法によって異なるので注意が必要です。
お互いの話合いにより、「養育費として毎月○万円支払う」と取り決めた場合、月々の養育費の請求権は5年で時効消滅してしまいます。公正証書を作成した場合でも同様です。つまり、話合いで決めた養育費は、相手方から時効の主張をされた場合、原則として遡って5年分しか認められないのです。ただし、時効の更新(※)という制度もありますので、残りの1年分につき認められるのかは事案によります。
一方、家庭裁判所の審判や調停により養育費を取り決めた場合には、養育費の請求権の消滅時効は10年となります。この場合、過去の養育費について10年分遡って請求できるので、6年間滞納されている養育費については、全額の請求が可能です。
※法改正により、「時効の中断」という文言は2020年4月1日以降、「時効の更新」と規定されることになりました。
できる可能性があります。
離婚後であっても、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内であれば年金分割の請求を行うことができます。しかし、2年以上経過してしまった場合には、原則として年金分割は請求できなくなってしまいますので、ご注意ください。
年金分割については、合意分割・3号分割の2種類があります。いずれも、すでに年金を受給中であっても年金分割が可能です。ただし、分割請求の期限は、原則として離婚をした日の翌日から2年となっていますので、注意が必要です。
合意分割は平成19年4月1日以降に離婚する場合が対象で、按分割合(分割対象となる婚姻期間中における当事者双方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)合計額のうち、分割を受けることによって増額される側の、分割後の持ち分割合)を取り決める必要があります。
一方、3号分割とは平成20年4月1日以降の婚姻期間を対象として、同年5月1日以降に離婚した場合に、国民年金の第3号被保険者(国民年金の加入者のうち、厚生年金保険に加入している会社員や公務員(第2号被保険者)に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者)が使う制度です。平成20年4月1日以前の婚姻期間に納めた年金は、合意分割の対象となります。3号分割は、当事者の一方から分割の請求があれば、当然に2分の1の按分割合で分割されます。年金額が改定されるのは、請求のあった日の翌月からです。
すでに年金を受給中の方であれば、数十年も先に年金を受給する若年離婚の場合よりも年金分割の利益をすぐに受け取れますし、長期の婚姻期間に応じた厚生年金記録の分割となるので利益も大きい場合が多いでしょう。
財産分与の対象になる可能性があります。
退職金は給与の後払いに近い性質のものであるという考え方が現在の主流です。そうであれば、夫の給与から貯めた貯金が夫婦の共有財産として財産分与の対象になるのと同様に、退職金も財産分与の対象になると考えることができます。
ただし、財産分与の対象となる範囲は、退職金のうち、実質的な婚姻期間中に形成されたといえる部分に限られます。したがって、婚姻関係が悪化してすでに数年間別居しているといった場合には、原則として別居期間中に形成された部分の退職金は財産分与の対象にはならないことに注意が必要です。
妊娠中に離婚した女性は、離婚の日から100日を経過したあとでなければ再婚することができません(※)。これは、離婚後すぐに女性が結婚した場合、再婚後に生まれた子どもが、前の夫の子か新しい夫の子かわからなくなってしまうおそれがあるからです。
※女性の再婚禁止期間を離婚後6ヵ月から100日に短縮する改正民法が平成28年6月1日に成立しました。なお、女性が離婚時に妊娠していない場合や、離婚後、すでに出産をした場合は、離婚後100日以内でも再婚が認められます。また、女性の離婚後100日間の再婚禁止期間の廃止などを盛り込んだ民法等の一部を改正する法律がすでに成立しており、令和6(2024)年夏までに施行され、施行日以後の婚姻に適用される予定です。
ローン付きの住宅を財産分与により清算する方法は、住宅を売却してその代金でローン債務を返済し、残りを分配する方法のほか、さまざまな方法が考えられ、どの方法が適切かは具体的な状況により変わってきます。このような場合には複雑な判断が必要ですので、不利にならないためにも、弁護士に相談することがおすすめです。
法律上、相手の仕事を強制的に辞めさせることはできません。仕事を辞める・辞めないというのは、会社と従業員(この場合、不貞相手)との雇用契約の問題になります。そのため、不貞相手の行動が懲戒解雇を相当とするようなケースであれば、相手が会社を辞めさせられる可能性はあります。しかしながら、解雇するかどうかを決めるのはあくまで会社であり、あなたの意思で辞めさせることは困難です。不貞相手自身が、職場内での不倫を理由に、勤務先での居心地が悪くなり、自らの意思で辞める決断をした場合は、当然会社を辞めることになります。
なお、あなたが不貞相手と配偶者の不倫を会社に報告してしまうと、不貞相手から民事上の責任等を追及される可能性があります。
このように、強制的に会社を辞めさせることは困難ですが、配偶者と不貞相手の勤務先が同一となるとやはり不安でしょうから、やれるだけの防御をしておくことが必要です。たとえば、相手との合意書で「業務に関わりのない交際や連絡をしない」という取決めをするなどの対応が考えられます。
慰謝料を請求できるかどうかの重要なポイントとして、肉体関係があることが挙げられます。肉体関係がない場合には、結婚生活の破綻への影響は小さく、浮気相手の配偶者またはご自身の配偶者に対して慰謝料を支払う義務は認められにくくなります。単に食事を一緒にした、頻繁にメールをしていたなどの事情だけでは、慰謝料の請求が認められる可能性は非常に低いといえるでしょう。
裁判で慰謝料を請求する場合はもちろんのこと、任意で交渉をする場合でも、相手方に不倫を認めさせ有利に交渉を進めていくためには証拠が重要となってきます。具体的には、不倫現場の写真やメールのやり取りです。
そして、慰謝料の請求が認められるかどうかは、以下のポイントが重要になります。
- 不倫相手との肉体関係が認められるかどうか
- 既婚者であると知ったうえでまたは注意すれば知ることができたのに不貞相手が配偶者と肉体関係をもったことが認められるかどうか
そのため、不倫の証拠としては、不倫相手との肉体関係を証明できるようなものが望ましいといえます。たとえば、そのような行為や認識があったことがわかるメールのやり取りやラブホテルに出入りする際の写真などが考えられるでしょう。
このほか、慰謝料とは精神的な苦痛に対して支払われる金銭なので、自分がいかに精神的に苦痛を被ったのかということを証明することも必要となってきます。たとえば、夫の不倫が原因で精神的に不安定になり、心療内科を受診した場合には、診断書などを取得しておくことも重要です。
法律上、親には子どもを扶養する義務があります。そのため、たとえあなたが再婚したとしても、原則として元配偶者から養育費を受け取れる権利に変わりありません。
しかし、お子さまが再婚相手と養子縁組した場合には、養親が実親に優先して第一次的な扶養義務者となりますので、通常は、義務者が負担する養育費の減額事由になります。
もし、養育費を取り決めたあとに事情の変更があった場合には、養育費の額を変更することができます。事情の変更の一例として「再婚」が挙げられます。たとえば、再婚によりあなたの家計が経済的に豊かになったという場合、元配偶者から養育費の減額を請求される可能性があります。ただし、話合いや調停などにより、養育費の額が変更されない限り、これまでどおりの養育費を支払ってもらうことが可能です。
離婚をすると、通常、戸籍筆頭者(通常は男性側)はそのままの戸籍に残ります。そして、元配偶者は結婚前に入っていた両親の戸籍に戻るか、離婚の際に作った新戸籍に入ります。いずれの戸籍にも、それぞれ離婚した旨の記録は残ってしまいます。
ただ、ほかの市区町村へ戸籍を移す場合(転籍といいます)には、「離婚した旨の記載を希望しない」という申し出をすることが可能です。これにより、離婚の記録は転籍先の戸籍には引き継がれません。また、離婚により、ご両親の戸籍に戻った場合、新たに自分を筆頭者とする戸籍を作れば(分籍といいます)、離婚の記録は新しい戸籍には引き継がれません。
これらの方法により、現在の戸籍に離婚の記録を残さないことはできます。ただし、離婚の事実自体が消えるわけではないので、過去の戸籍を辿ることにより、離婚歴が知られてしまう可能性はあります。すべての記録を消すことはできませんので、その点はご注意ください。
届出人の本籍地または所在地の区市役所、もしくは町村役場に提出することになります。
合意の理由は問われません。法定された離婚原因が存在しなければ離婚することができない裁判離婚とは異なり、協議離婚には夫婦の話合いがつかない限りは離婚ができないという限界があるだけです。
離婚の話合いそれ自体や離婚届の作成および提出は、本人で行うことができます。
しかし、財産分与、養育費などのお金の問題や、子どもの親権、面会交流など、離婚にあたり解決しておくべき事項は多岐にわたり、有利な交渉をするためには知識や経験が不可欠です。また、交渉を通じて取り決めた内容を実現してもらえるような対策(合意書や公正証書の作成等)をとっておく必要もあります。
弁護士に依頼するメリットは、このような煩雑な交渉や手続に必要な時間や労力を節約し、相手方との交渉を有利に進め、取り決めるべき事項につき漏れなく取り決められることや、手続をスムーズに進められることなどが挙げられます。
協議離婚は、当事者間の話合いで離婚に合意し離婚届を提出することにより効力が生じます。未成年の子(※)がいる場合には、親権者を定めることが必要です。
そのほか、今後の生活に重大に関わってくるお金の問題など、離婚の際に決めておくべき事項があり、請求できる期間が限られているものもありますので、協議離婚であっても弁護士に相談することをおすすめします。
※民法改正のため、2022年4月1日より、成人(成年)年齢は20歳から18歳に引き下げられました。
手続としては、離婚届を区市役所または町村役場に提出するだけなので、弁護士費用以外に費用はかかりません。
なお、離婚する際には、ケースによって慰謝料、財産分与、養育費、年金分割などを取り決めておく必要があります。後日の争いを防止するためにも、きちんとした離婚協議書を作成しておくべきですので、協議離婚の場合であっても弁護士に依頼することをおすすめいたします。
家庭裁判所調査官が不出頭の理由を調査し、出頭の勧告をすることになります。
この出頭勧告に対しても正当な理由なく応じない場合には、5万円以下の過料の制裁があります。
それでも相手方が欠席を繰り返す場合は、調停は不成立で終了することとなります。
まず、婦人相談所、女性センター、福祉事務所など都道府県が設置している配偶者暴力相談支援センターに相談することをおすすめします。婦人相談所では、身の安全を確保するため、婦人保護施設や母子生活支援施設への入所等ができるまでの間、一時保護を受けることができます。
また、公益法人、NPO法人、法人格のない任意団体等の民間団体によって運営されているシェルターに相談することもできます。民間シェルターでは、被害者の一時保護だけにとどまらず、相談への対応、自立へ向けたサポートなど、被害者に対するさまざまな援助を行っています。
そのほか、夫と同居している場合には、裁判所に申立てをし、裁判所の命令の効力が生じた日から2ヵ月間、夫婦の生活の本拠地から夫を退去させ、住居の周りを徘徊することを禁止してもらえる場合があります(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第10条1項2号)。
また、夫と別居している場合には、6ヵ月間、夫が妻やその同居する未成年の子ども(※)につきまとうことや、住居や職場等の近くを徘徊することを禁止してもらえる場合があります(同法第10条1項1号、同条3項)。
※民法改正のため、2022年4月1日より、成人(成年)年齢は20歳から18歳に引き下げられました。
配偶者のいる者が、自由な意思に基づいて配偶者以外の異性と性的関係を結ぶことを「不貞行為」といいます。この「不貞行為」には、強姦(加害者の場合)や買春・売春行為も含まれますので、離婚原因になる可能性があります。
原則としていきなり離婚訴訟を提起することはできません。離婚訴訟を提起する場合は、その前に離婚調停を経る必要があります。
協議離婚において相手方が応じてくれそうにない場合は、弁護士を代理人に立てて交渉することも一つの方法です。当事者同士での協議では合意の余地がない場合でも、弁護士が当事者の一方を代理して相手方と話し合うことによって合意できる可能性もあるからです。
相手方が交渉の席にすらついてくれないなど、交渉が難航する場合は、家庭裁判所に夫婦関係調整調停(離婚調停)を申し立てることもできます。離婚調停では、家庭裁判所から相手方に対して、呼出状や場合によっては出頭勧告を出してもらえます。
また、離婚調停では、第三者である調停委員が、当事者双方の言い分を聴き、離婚するかしないかだけではなく、財産分与・慰謝料・親権者の指定・子どもとの面会交流など離婚に伴う問題を含め、当事者が合意に至るよう妥協点を模索してくれます。ただし、離婚に関する知識や経験がないと、納得しないまま手続が進んでしまう可能性もありますので、離婚調停でも弁護士に依頼したほうが安心といえます。
さらに、調停が不成立となった場合には、家庭裁判所に離婚訴訟を提起することもできます。離婚訴訟では、当事者の合意の存否にかかわらず離婚が認められますが、離婚が認められるのは、法定の離婚原因がある場合に限られます。
任意に夫が応じる場合には問題ありませんが、裁判手続において分与の対象となるかはケースバイケースです。
というのも、将来の退職金(の額)は、退職に至るまでの見込年数が長いほど、不確定な要素によって左右されることになるからです。
この点に関して、これまでの裁判例によると、退職するまでの期間や勤務先の退職金規程などの事情から、退職金が将来支給されることがほぼ確実である場合には、財産分与の対象として認められる傾向があるといわれてきました。もっとも、最近は支給が相当先であっても、退職金が賃金の後払い的性質を有することから、財産分与の対象となると判断されることも多くなっているようです。
ただし、実際にどのように分けるかは過去の裁判例でもさまざまです。離婚時点で分けることを命じたものもあれば、将来支給されたときに分けることを命じたものなどもあります。
外国人と日本人の夫婦が離婚する場合、まず問題となるのは、そもそも離婚の手続を日本で行えるかどうかです。
判例によれば、被告となる相手方の住所地が日本であれば日本の裁判所で手続ができます。
また、相手方の住所地が日本にはなくても、あなたが相手方から遺棄された場合、相手方が行方不明である場合、そのほかこれに準ずる場合には、日本の裁判所での手続が可能となります。
次に、離婚の手続を行うにあたって相手方の本国法が適用されるのか、それともあなたの本国法である日本法が適用されるのかという点が問題となります。いずれの国の法が適用されるかについては「法の適用に関する通則法」によって決まります。この通則法第27条ただし書によると、「夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による」ことになります。
そのため、妻が日本人で日本にずっと住んでいる本ケースでは、離婚する際には日本法が適用されます。もし仮に妻も外国に住んでいるような場合には日本法が適用されないこともありますので、詳しくは弁護士に相談することをおすすめします。
可能な限り記録を残しておくことが大切です。
たとえば、「お給料をもらった」という旨のメッセージに対し、「いくらもらったの?」と聞くことで金額を記録するなど、工夫をするとよいでしょう。
また、家業を手伝っているケースであれば、夫の親族の確定申告書に夫に支払われた給与(専従者給与)が記載されている場合があります。そこで、離婚調停の際に「調査嘱託」を申し立て、夫の親族の確定申告書の開示を求めることも手段の一つです。
専従者給与は稼働の実態を反映していないことも多く、開示を受けられたとしても金額がそのまま養育費の計算に採用されない可能性はありますが、「収入の証明がなく、記録も難しい」という場合には検討してもよいでしょう。
なお、調査嘱託の手続をするには、裁判所に調停を申し立てたうえで調査嘱託の申立書を提出する必要があるため、弁護士に依頼するのがスムーズです。
離婚届の受理前に本籍地もしくは所在地(住所地)の役場に離婚届不受理の申し出をしておくと、配偶者が勝手に離婚届を提出した場合でも、離婚届は受理されません。
なお、離婚届不受理の申し出をする前に配偶者が離婚届を勝手に提出してしまった場合に、離婚が無効であることを争うためには、まず家庭裁判所に協議離婚無効確認の調停を申し立てる必要があります。
犬などのペットは、法律上は物として扱われます。そのため、離婚に際しては、家や車などと同じく、財産的価値があれば「財産」として財産分与の対象となり得ますが、財産的な価値はつかないことが多いと思われます。どちらにしても、離婚する際に夫婦で協議して離婚後にどちらがペットを所有し飼育するかを決めることとなります。
仮に財産分与の対象になったとしても、生き物であるペットを半分に分けることはできませんので、引取りを希望する側がほかの財産を譲ったり、あるいは相応額の金銭を支払うことによって所有権を得る形が一般的です。
また、子どもと違い、ペットに対する養育費の支払義務はありません。原則として、ペットの飼育にかかる費用は引き取った側が負担することとなります。ただし、離婚する際の条件として、費用の一部負担をお願いしたり、その分を慰謝料に上乗せするといった形で支払を受けることは可能です。
なお、財産分与は「婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産」を分ける制度ですので、結婚する前から飼っていたペットは原則としてその対象になりません。その場合は、結婚前に飼っていた側に所有権があります。
配偶者の同意なく離婚届を提出しても、離婚は無効です。
また、このような行為には、有印私文書偽造罪・同行使罪・公正証書原本不実記載罪が成立する可能性があります。
さらに、虚偽の離婚届を出したことについて、相手方から損害賠償を請求されるおそれもあります。
配偶者の一方が性的不能であったり、相当期間性交を拒否し続けていたり、性的行為が異常であったために婚姻関係が破綻したような場合には、婚姻を継続し難い重大な事由にあたり離婚が認められる可能性があります。
女性からの暴力でも、十分DVとして認められます。DVには明確な定義がありませんが、一般的には、「夫婦などの親密な関係で行われる身体的・精神的な暴力」を意味するとされています。DVというと男性側からの暴力をイメージされる方が多いですが、男女の区別なく、このような暴力が行われればDVに該当すると考えられています。DV防止法も、正式には「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」という名称であり、これは当然に妻側の暴力も含んでいます。
女性の暴力であっても、傷害罪や暴行罪が成立しますし、民事上の損害賠償責任を負います。また、「婚姻を継続し難い重大な事由」として、離婚原因にもなりえます。
DVがひどい場合には、裁判所の力を借りて、あなたや同居のお子さま、ご家族に接近させないように命令したり、電話などを禁止したりすることも視野に入ります。
共働きや配偶者の事業に協力しているケースについては、原則として配偶者に50%の貢献度を認め、特段の事情がある場合には貢献度を増減するという考え方が一般的です。
養育費について取決めをした場合でも、その後、事情の変更があれば、月々の養育費の額を変更したり、養育費を受け取る期間を延長したりすることができます。
この場合、相手方との話合いで増額や期間延長に応じてもらえれば話は簡単ですが、その場合でも支払いが滞った場合に備えて、公正証書にしておくことがよいでしょう。話合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に養育費の増額や期間延長を求めて調停を申し立て、それでもまとまらない場合には裁判所の審判により決定されます。
養育費の取決め後に、裁判所から「増額」や「期間延長」を認めてもらうためには、取り決めた内容を維持することが不相当と認められるような事情変更があることを主張しなければなりません。
お子さまの大学への入学・進学や病気・けがといった事情などが、増額を主張するための事情変更の典型例です。これらの事情をうまく主張していくことで22歳(大学卒業)までの期間延長が認められる可能性もあります。
まずは、お子さまが本心から「会いたくない」と言っているのかどうかを見極めましょう。
元配偶者による虐待があったなどの事情があるケースでは本心であると考えられますが、あなたに遠慮して「会いたくない」と言っている場合もあるためです。
面会交流は「子どもの健全な成長のためにできるだけ実現すべき」と考えられており、会わせたほうがプラスに働くことも多々あります。そのため、お子さまの利益を考えて冷静に話し合うようにしましょう。
養育費を取り決める際に、公正証書を作っておきましょう。
公正証書があれば、将来養育費が不払いになった場合も、スピーディーに元配偶者の給与などを差し押さえる手続ができます。
また、面会交流などで子どもへの愛情を持ち続けてもらえるような状況を作ることも大切です。
子どもと離れて暮らす親は、新しいパートナーができたり、再婚して子どもが生まれたりすることで、あなたとの子どもへの気持ちが離れてしまうことがあります。そういった状況が養育費の不払いにつながることもあるためです。
なお、養育費は月々の分割払いが一般的ですが、相手に資産がある場合、先に一括で支払ってもらうという方法も考えられます。ただし、利息分の差し引きや余分な税金が発生するため、一括払いが妥当かどうかは、慎重に検討する必要があります。
「審判離婚」とは、離婚調停を行っても離婚が成立しなかった場合、家庭裁判所が職権により審判を下して成立する離婚です。離婚には双方が合意しているものの、条件面でわずかな意見の対立がある場合などに利用されることがあります。
家庭裁判所が当事者から提出された証拠や一切の事情を考慮して、調停に代わる審判を行います。
専業主婦(主夫)であっても、家事労働をすることにより財産の形成に貢献したと考えることができますので、財産分与を受けることは可能です。
受けることができる財産分与の割合は、財産分与の対象になる財産に対して、妻(夫)の寄与、貢献を評価したうえで定められることになります。以前は専業主婦(主夫)の貢献度の割合は50%を下回っていたことが多かったようですが、現在では、専業主婦(主夫)の貢献度は、原則として50%と評価されています。
年齢が50歳以上の方や障害年金の受給権者であれば知る方法があります。
配偶者の年金の加入状況等について、年金事務所等を通して厚生労働大臣から情報の提供を受ける手続(年金分割のための情報提供請求)があります。50歳以上の方や障害年金の受給権者は、この手続の際に希望することで、(1)年金分割を行わない場合、(2)分割の割合(按分割合)を上限の50%とした場合、(3)分割の割合(按分割合)を本人の希望する割合とした場合の、3つのケースにおける年金見込額の通知を受け取ることができます。
そのような制度であれば非常にわかりやすいのですが、実際には少し複雑な制度となっています。
公的年金は、すべての国民が加入する国民年金(基礎年金)と、サラリーマンや公務員などが加入する厚生年金の二段階に分かれています。年金分割は、このうち2階部分にあたる厚生年金について、一定の条件に該当した場合に、婚姻期間等の対象期間中に収めた年金保険料の納付記録を”夫婦が共同で収めたもの”として納付が多い一方から他方に分割する制度です。なお、平成27年10月1日に「被用者年金一元化法」が施行され、それまで厚生年金と共済年金に分かれていた被用者の年金制度が厚生年金に統一されています。
年金分割を行った場合、分割後の保険料納付記録に基づいて算出された額の年金を受給することになります。単純に夫の年金の半分がもらえるという制度ではありませんのでご注意ください。
まず、年金の仕組みを説明します。
すべての国民に支給されるのが基礎年金(国民年金)です。支給される基礎年金には、老後に受ける老齢基礎年金、病気やケガなどで障害を負った場合に受ける障害基礎年金、亡くなった人の遺族が受ける遺族基礎年金の3種類があります。加入者各人に対して1つの基礎年金が受けられる仕組みであるため、同時に2つ以上の年金、たとえば、老齢基礎年金と障害基礎年金が受け取れる場合には、いずれか1つを選択しなければなりません。基礎年金の保険者は政府であり、被保険者は、日本国内に住所があり、20歳以上60歳未満の、原則としてすべての人となります。国籍は問いません。この被保険者は、保険料の納め方などの違いから3種類の被保険者に分かれます。
第1号被保険者は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の、第2号被保険者にも第3号被保険者にも該当しない人です。20歳以上の学生や、自営業者、無職の人がこれにあたります。
第2号被保険者は、厚生年金に加入している人です。サラリーマンや公務員は厚生年金に加入していて保険料は給料から天引きされていますので、個人で別途支払う必要はありません。
第3号被保険者は、原則として第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者です。第3号被保険者となるには、年収が130万円(60歳以上の人、障がい者は180万円)未満で、かつ扶養している第2号被保険者の年収の半分未満であること(同居の場合)が条件となります。ただし、年収が130万円未満であっても、厚生年金保険の加入要件にあてはまる方は厚生年金保険及び健康保険に加入することになるため、第3号被保険者には該当しません。また、厚生年金には国民年金が含まれており、厚生年金に加入すると国民年金にも加入したことになります。
なお、平成27年10月1日に「被用者年金一元化法」が施行され、それまで厚生年金と共済年金に分かれていた被用者の年金制度が厚生年金に統一されています。以下で説明する年金分割の制度を利用することができるのは、第3号被保険者に加入していた配偶者、結婚期間中共働きをしていた第2号被保険者です。残念ながら、基礎年金しかない第1号被保険者については、年金分割制度は認められていません。
年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録、具体的には、これまで支払ってきた厚生年金保険料の算定の基礎となった標準報酬額(標準報酬月額及び標準賞与額)を分割する制度です。分割の方法には、合意分割と3号分割があります。どちらも、年金分割の請求期限は原則として離婚した日の翌日から2年以内です。合意分割とは、夫婦が、分割することおよびその分割割合(按分割合)について合意すれば、離婚時において、婚姻期間の保険料納付実績を、最大2分の1の按分割合で分割できるという制度です。合意ができない場合は、夫婦の一方が家庭裁判所に審判を申し立てれば、裁判所で按分割合を決定することもできます。3号分割とは、配偶者の一方が第3号被保険者であった場合、請求により、他方配偶者(第2号被保険者)の保険料納付実績の2分の1を自動的に分割できる制度です。この制度は、平成20年4月以降の保険料納付実績に適用され、それ以前の保険料納付実績の分割は、合意分割によることになります。相手の年金の額・加入状況・分割した場合の具体的な年金の金額(情報提供の請求をする者が満50歳以上である場合等)を知りたい場合は、年金事務所に、「年金分割のための情報提供請求書」を提出して、情報提供を受けることができます。その際、離婚を検討していることを相手方に知られたくなければ、自分だけに通知するよう申し出ることができます。
慰謝料は精神的損害に対する賠償であって贈与ではありませんので、金銭によって賠償される場合には、それが相当な金額である限り税金は課されません。
もっとも、慰謝料が不動産など価値の増減する資産によって支払われる場合には、支払う側に譲渡所得税(譲渡所得)が、受け取る側に不動産取得税が課せられることがあります。
また、不動産の登記申請をするための登録免許税もかかります。
法定の離婚原因がある場合でも、裁判所が一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚が認められません。
法で定められている離婚原因には以下のものがあります。
- 配偶者に不貞行為があること
- 配偶者から悪意で遺棄されたこと
- 配偶者が3年以上の生死不明であること
- 配偶者が回復見込みのない強度の精神病であること
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があること
相手方が弁護士を付けて請求してきている場合には、すぐに弁護士に相談することが大切です。 ポイントは、(1)訴訟を起こされる可能性があること、(2)交渉能力や情報に格差がありすぎることです。
- 相手は弁護士を付けて慰謝料を請求してきているため、こちら側が支払う必要がないと言っても、相手方は諦めてはくれません。具体的な浮気の証拠がなくても訴訟を提起してくる可能性があります。しかし、弁護士を相手とした訴訟をご本人が対応することは非常に困難です。
- 弁護士が相手方と交渉する場合、意味のある証拠・有利になる事情が何かを把握したうえで、慎重に接触を試みます。たとえば、弁護士との会話が録音され、ご本人が意識せずに発した一言が不利な証拠となることもあります。そのため、ご本人自ら相手の弁護士に直接接触したあとに、こちらも弁護士を立てようとする場合、当初から弁護士に依頼をするよりも不利な条件となることも少なくありません。
ですから、相手方が弁護士を付けて請求してきている場合には、ご自身で対応することは困難かつ危険です。「何月何日までに連絡がなければ訴訟にする」などのように、相手方から指定された期限に焦って相手の弁護士と直接コンタクトを取る前に、まずは弁護士に相談してください。なお、あなたが弁護士に依頼したあとは、相手の弁護士は直接あなたと連絡を取ることができなくなります。
親権の内容は、子どもの世話や教育を行う監護教育と、財産上の管理処分の権利義務ですが、このうち子どもの監護教育を行う権利義務を「監護権」と言います。
監護権は親権の一部ですが、離婚の際、協議により親権者と監護権者を分けることができ、親権者とは別に監護権者を指定する場合には、身上監護権は監護権者に属することになります。
監護権者は、子の利益ないし福祉の観点から決められます。その決定基準については、監護状態の推移、子に対する愛情や監護の意欲、居住環境や家庭環境、収入等の生活能力、子の年齢・性別・意向などを総合して判断されることになります。
相手が結婚していることについて嘘をついていたため、結婚していることを知らずに性交渉などをしていた場合には、慰謝料を支払う義務はありません。ただし、通常であれば相手が結婚していることに気付くことができるような事情があった場合(法律的には「過失がある」といいます)には、慰謝料の請求が認められる余地があります。
家庭裁判所に子との面会交流を求める調停または審判を申し立てることができます。
調停により合意がなされれば面会交流をすることができますが、合意がなされない場合でも、審判により面会交流が認められれば、会うことが可能です。
面会交流が認められるか否かは、子の利益の観点から判断されます。
だまされて結婚をした場合、詐欺を理由として婚姻の取消しができる場合があります。しかし、婚姻の成立の際に当事者などが事実を誇張したり、不利な事実を隠したりすることはしばしば見られるため、取消しが認められるには、そのような行為が相当強い違法性を有していることや、それによって生じた錯誤が一般人にとっても相当重要なものとされる程度であることが必要です。職業や収入を偽ったのみでは、結婚の意思を直接左右する相当重要な事項とまではいえず、原則として取消しは難しいと考えられます。
なお、詐欺の事実を知って3ヵ月が経過したり、詐欺の事実を受け入れたりすると、取消権は消滅します。
今回、「婚姻を継続し難い重大な事由」という離婚原因が認められれば離婚することが可能です。しかし、これが認められるハードルは高く、夫婦関係を破綻させるに足りる事情が必要です。夫婦というのは「お互いに愛情をもって一緒に共同生活をすること」が中核ですから、職業や収入は家計を支える一要因ではあっても、これを偽ったとしてもただちに夫婦関係を破綻させるとはいえません。離婚原因が認められるためには、夫婦関係を破綻に追い込むような極めて悪質な嘘であったか、または、嘘のほかにも信頼関係を破壊するに足りる事由が存在したことを主張する必要があります。
結婚中に相続した財産も「婚姻中に共同して形成した財産」にはあたらないので、原則として財産分与の対象にはなりません。
結婚前に有していた財産は「婚姻中に共同して形成した財産」にはあたらないので、原則として財産分与の対象にはなりません。
裁判所に対して、民事保全法に基づいて「処分禁止の仮処分」を申し立てる方法があります。
ただし、民事保全手続では、万が一、相手方(夫)に不当な損害を与えたときに備え、保証金を納めなければならず、裁判所が保証金の額を決定します。
まず、原告または被告の住所地にある家庭裁判所に訴訟を提起します。
訴状は、家庭裁判所から被告に送付され、第一回目の期日が指定されます。
被告が離婚原因を争ってきた場合だけでなく、第一回目の期日までに答弁書を提出せず、期日に欠席した場合でも、原告は、証拠によって離婚原因等を証明する必要があります。
なお、離婚訴訟はプライバシーに関わるものですから、証人尋問・当事者尋問を他人に傍聴されたくない場合は、一定の条件を満たせば、非公開で行うことができます。
裁判により離婚認容判決が確定すると、離婚が成立します。判決の内容に不服があれば、判決書の送達を受けた日から2週間以内に控訴しなければいけません。財産分与・養育費等の附帯処分についてのみ不服がある場合も同様です。
もっとも、附帯処分の申立てや親権者の指定が必要なく、被告が原告の主張を全面的に受け入れたとき(請求の認諾)は、判決によらずに訴訟は終了し、離婚の効果が生じます(認諾離婚)。また、裁判の過程で、当事者が訴訟上の和解に至った場合も、判決によらずに訴訟は終了し、離婚の効果が生じます(和解離婚)。
離婚とともに、財産分与・養育費等の附帯処分も請求していた場合は、附帯処分についても判決がなされます。他方、和解離婚においては、親権者の指定は必ず行われるものの、附帯処分については同時に合意する必要はありません。その場合は、引き続き附帯処分について審理・判断されます。
判決の確定や和解の成立によって離婚の効果は生じますが、判決確定または和解成立後10日以内に本籍地または住所地の市区町村に離婚届を提出する必要があります。
親権者は、家庭裁判所での手続(調停・審判)によって、子の利益のため必要があると認められた場合に変更できます。
監護権者については、当事者間の協議で変更することができます。もっとも、協議が成立しなかった場合は、家庭裁判所に対して、調停・審判を申し立て、子の利益のため必要があると認められた場合に変更・取消ができます。
なお、親権者が死亡したときも、他方の親が親権者となるためには家庭裁判所の親権者変更の手続が必要です。
親権とは、未成年の子を養育監護し、その財産を管理し、子を代理して法律行為をする権利・義務のことです。子の父母は、婚姻中には共同して親権を行使しますが、離婚の際には、父母のいずれか一方のみを親権者としなければなりません。未成年の子がいる場合には、その子の親権を決めなければ離婚届は受理されません。
弁護士費用以外には、申立て費用1,200円と、連絡用の郵便切手代がかかります。
※裁判所により異なります。使用しなかった切手は後日返してもらえます。
財産分与の額は、婚姻期間、夫婦の年齢、夫婦の資産状況などのさまざまな個別的事情により決められるため、一概に申し上げることはできません。
財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた財産を、離婚の際に分配する制度です。財産分与は、(1)清算的財産分与(2)扶養的財産分与(3)慰謝料的財産分与の3つに分けられます。
- 清算的財産分与
夫婦が婚姻中に共同で形成した財産は、実質的に夫婦の共有財産ですので、離婚時には清算することになります。当事者が婚姻前から有していた財産や、婚姻後に相続等により得た財産については夫婦が協力して形成した財産とはいえないため、原則として清算の対象にはなりません。清算の対象には、動産、不動産、金銭、預金債権、有価証券等が含まれます。 - 扶養的財産分与
離婚により、生活が苦しくなってしまう配偶者に対してなされる財産分与です。専業主婦(主夫)などの、離婚により経済的に弱い立場に置かれる配偶者が、離婚後、経済的に自立できるだけの期間の援助という趣旨で支給されるのが一般的です。この分与が認められるためには、請求する側の配偶者に扶養が必要となること、請求される側の配偶者に扶養するだけの能力があることが必要となります。 - 慰謝料的財産分与
配偶者の有責行為によって離婚に至った場合には、精神的な苦痛を償うための慰謝料を配偶者に請求することができます。財産分与の際、このような慰謝料も含めて額や支払方法などを定めることが可能です。
単独名義人となっている配偶者からの譲渡の場合には、所有権移転登記をする必要があります。また、この場合には、不動産取得税が課税される可能性があります。
当事者の共有名義になっている場合には、持ち分の移転登記が必要です。
借地上の建物を財産分与によって取得する場合には、のちのトラブルを避けるため、あらかじめ大家(地主)さんの同意を得ておいたほうがよいでしょう。
- 財産分与を受ける方は贈与税は原則としてかかりません。これは、相手方から贈与を受けた(ただでもらった)ものではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与義務に基づき給付を受けたものと考えられるからです。
もっとも、分与された財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮しても、なお多すぎる場合は贈与税がかかります。
そのほか、不動産を受け取った場合には登録免許税・不動産所得税・固定資産税等がかかります。 - 財産分与をする方は、金銭によって財産分与する場合、所得税はかかりません。
不動産や株式等、価値が増減する資産を財産分与する場合には、所得税がかかることがあります。取得価額と譲渡(財産分与)の費用の合計よりも譲渡時点の時価のほうが高ければ、その差額(譲渡所得)に所得税がかかります。
できます。
ただし、慰謝料は、配偶者に不法行為(故意または過失によって他人の権利等を侵害し、これによって他人に損害を生じさせる行為)があり、それによって婚姻関係が破綻したという原因と結果の関係が認められた場合に限り請求することができるものです。そのため、離婚する場合に必ず慰謝料を請求できるわけではありません。
また、すでに財産分与を受けており、その財産分与に十分な慰謝料が含まれていると判断される場合には、慰謝料は請求できません。
家族カードをいつまで使用してよいかは、配偶者(本会員)との話合いによって決めることになります。
なお、カード会社の規約上は「離婚して生計が別になるまで」、事実上は「本会員が解約手続をするまで」は家族カードを使用できます。
ただし、本会員が使用停止措置を取った場合、その時点で使えなくなる可能性もあるでしょう。
婚姻中の配偶者には相互に扶助義務、婚姻費用分担義務があるので、生活費などの婚姻費用を分担しなければなりません。
また、離婚をしなくても家庭裁判所に婚姻費用分担請求の調停を申し立てることができるので、ただちに離婚に応じる必要はありません。
これらのことが原因で婚姻関係が破綻したような場合には、婚姻を継続し難い重大な事由にあたり、離婚が認められる可能性があります。ただし、離婚を求める配偶者が誠意ある介護・看護をしている、障害のある配偶者に対する離婚後の療養生活の保証があるといった事情がないと離婚が認められにくい場合があります。
配偶者の怠惰な性格、勤労意欲、生活能力の欠如が原因で、婚姻関係が破綻したような場合には、婚姻を継続し難い重大な事由にあたり、離婚原因になる可能性があります。
結婚により生じる同居・協力・扶助義務を、正当な理由もなく放棄することを悪意の遺棄といいます。生活費を支払わないという今回のケースは、同居義務、扶助義務の放棄にあたるので離婚原因となる可能性があります。
不貞行為を許したことで、ただちに離婚原因が消滅するわけではありません。
しかし、不貞行為を許したことやその他の事情を配慮することにより、裁判所が婚姻の破綻には至っておらず、回復の可能性があると判断した場合には、離婚が認められない可能性があります。
また、婚姻費用の支払義務は、婚姻費用分担請求の調停を申し立てるなど「権利者が請求したときから」発生すると判断されるのが一般的です。
そのため、請求時よりも過去に遡った未払い分の婚姻費用を請求することは困難といえます。
しかし、離婚後であっても、財産分与の算定の中で一定程度の加算が認められる可能性はあります。
配偶者の暴力、虐待行為等については婚姻を継続し難い重大な事由にあたると判断され、離婚が認められる可能性があります。もっとも、暴行等の程度が軽微であると離婚原因になりにくいため、ほかの事情を総合的に考慮したうえで判断されることになります。
離婚原因の1つである婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性があります。
年金分割に関して、話合いで合意に至ることができない場合には、分割の割合(按分割合)を定めるべく家庭裁判所の手続を利用することになります。
具体的な手続としては、離婚が成立していない場合は離婚調停に付随して申立てをします。離婚が成立している場合には、按分割合を定める調停あるいは審判の申立てをすることになります。
夫婦間においても信教の自由は尊重されなければなりませんが、宗教活動に過度に専念するあまり婚姻関係が破綻したというような場合には、婚姻を継続し難い重大な事由にあたり離婚が認められる可能性があります。
犯罪行為・服役の事実だけをもって離婚が認められるわけではありませんが、配偶者の犯罪行為・服役により名誉を傷つけられたり、家族の生活に困難がもたらされ、婚姻関係が破綻したような場合には離婚が認められる可能性があります。
3年以上、生死の確認ができない状況が続いている場合、離婚が認められる可能性があります。もっとも、何年も行方不明で音信も不通であるが生きていることはわかっているという場合でも、事情によっては、悪意の遺棄、婚姻を継続し難い重大な事由にあたり、離婚が認められる可能性があります。
自分の配偶者と浮気など不貞行為を行った相手に対しては、慰謝料の請求が可能です。ただ、相手に収入や資産がなければ、すぐに全額を支払ってもらうことは難しそうですね。しかし、「収入がない」と言われたからといって諦める必要はありません。
まず、相手が慰謝料を支払いたくないがために嘘をついている可能性がありますので、相手方の財産開示を申し入れましょう。これにより、預金や有価証券などの財産が判明する可能性があります。相手に収入や資産がないのが事実だとしても、まだ方法はあります。分割で少しずつ支払ってもらうよう合意するのが一つの方法です。合意する場合には公正証書を作成したり、合意できなくても訴訟を提起して判決を取得したりしておけば、相手が将来就職した場合などに、給与や、めぼしい財産を差し押さえたりすることが可能です。相手が収入がないと言っていたからといって諦めることなく、弁護士に相談するなどして、やれるだけのことをやることが大切です。
別居中の親が子どもと会うことを面会交流といいます。面会交流は、子どもの健全な成長にとって非常に重要なものであることから、原則として拒否できません。裁判所の判断では、通常、「月1回以上の面会交流を許しなさい」という審判が下されます。「子どもに会わせたくない」という親の気持ちもわかりますが、子どもにとっては、父親も母親もかけがえのない存在です。子どもの健全な成長のためには、両親からの愛情を感じることが必要です。面会交流の継続により、「離婚後も親としての自覚を持ってもらえる=養育費が支払われる」という側面も期待できます。面会交流をしないことがお子さまにとって本当に幸せなのか、慎重に考えなければなりません。
裁判所において、面会交流が例外的に否定されるのは、子どもの虐待やDVがある場合、子どもが15歳以上で明確に面会を拒絶している場合、夫婦の対立が激しく面会交流の実施に困難が伴う場合などです。あくまでも、面会交流によって子どもに悪影響が出るかを基礎に面会交流の可否が判断されます。
いずれにしても、お子さまの将来にかかわる大切なことですから、弁護士に相談してみることをおすすめします。
まずは、請求されている金額が妥当なのか吟味する必要があります。
不貞行為の際、相手の夫婦関係がすでに破綻していた場合は、そもそも慰謝料を支払う必要がありません。不貞行為のあと、夫婦が離婚に至っていない場合では、慰謝料の金額が100万円以下となるケースもあります。夫婦が離婚してしまった場合でも、慰謝料の相場はおよそ100万円から300万円です。婚姻期間や不貞期間、不貞回数、そのほかの諸事情によってさらに減額される可能性もあります。詳細は弁護士に相談することをおすすめします。
また、不貞行為は、不貞行為の相手とあなたとの共同責任となります。あなたが慰謝料を200万円支払った場合には、その責任割合に応じた金額(たとえば6割であれば120万円)を、不貞行為の相手に請求することができます。夫婦関係の平和はまず夫婦相互の協力等によって維持されるべきであるため、一般には、夫婦の一方である不貞をした配偶者、つまり、あなたの不貞行為の相手のほうが責任が重いと考えられています。
最終的に合意した金額が一括で支払えない場合には、長期の分割による支払いにしてもらうなどの方法もあります。
離婚後であっても請求可能です。
ただし、当事者の協議によって決めることができない場合には、離婚が成立した日から2年以内に家庭裁判所に調停または審判の申立てをする必要があります。
訴訟を提起します。夫が行方不明で連絡が取れず、住所や居所等がわからない場合には、話合いの場である調停に出席してもらうことが期待できません。そのため、このような場合には調停を経ずに訴訟を提起することができます。
訴訟では相手方に訴状を送らなければなりませんが、相手方の住所や勤務先などがわからない場合は、裁判所の前の掲示板に呼出状を掲示することによって、訴状が送られたことになります(「公示送達」といいます)。相手方から何の応答もなく期日にも欠席した場合、すぐに判決にはなりませんが、簡単な証拠調べのあと、判決を得ることができます。
本会員が配偶者である場合、使わせるメリットがないため、家族カードを使い続けることは難しいでしょう。
家族カードの申込資格は、本会員と生計をともにする配偶者・高校生を除く満18歳以上の子ども・親とされていることが一般的です。そのため、離婚によって本会員との夫婦関係が解消され生計が別になれば、カード会社の規約上、原則として家族カードは使えなくなります。
もっとも、カード会社は、申告がなければ本会員が離婚した事実を把握できません。そのため、本会員が家族カードの解約手続をしなければ、事実上、離婚後も家族カードを使えることはあります。
しかし、カード会社の規約違反となりますし、家族カードを利用した場合、料金は本会員に請求されます。
したがって、無用な争いを避けるためにも、離婚後に家族カードを使うことは避けたほうがよいでしょう。
手当、援助制度としては、離婚後のひとり親家庭が受けられる国の経済的援助である児童扶養手当、身体や精神に障害のある20歳未満の児童について児童の福祉増進を図る特別児童扶養手当、児童手当、母子父子家庭のための住宅手当、生活保護、ひとり親家庭等の医療費助成制度、小児医療費助成制度があります。
ひとり親家庭の割引、減免制度としては、所得税・住民税の減免、国民年金保険料の免除・猶予、国民健康保険料の減免、交通機関の割引制度、粗大ごみ等処理手数料の減免制度、上下水道料金の減免制度、保育料の減免制度、有利な利子を受けられる福祉定期貯金などの制度があります。
そのほか、母と子がともに暮らせるようにするための母子生活支援施設、公営住宅、母子(父子)家庭を対象にした貸付(年利1.0%もしくは無利子など)が行われる母子父子寡婦福祉資金貸付金制度などがあります。
※自治体によっては、実施していないところもありますので、詳しくは各区市役所、町村窓口へお問合せください。
離婚の際、調停調書や公正証書などの書面を作成している場合には、「本件離婚に関し、お互いに債権債務がないことを確認する」、「名目を問わず何ら財産上の請求をしないことを約束する」といった文言が記されることがほとんどです。これを「清算条項」といいます。
清算条項を取り決めた以上は、損害賠償や財産分与の権利・義務などを、放棄もしくは免除したと考えられます。したがって、この場合相手方に慰謝料の請求をすることは困難です。
一方で、そこまで厳密に取決めをしていない場合、相手方の不貞行為を知らなかったのであれば、錯誤(=勘違い)を主張し、取決めを取り消して慰謝料の請求ができる可能性があります。ただし、相手方の不貞行為を知らなかったことから、不貞行為と離婚との間に因果関係がなかったとして、慰謝料が認められない場合もあります。
注意すべきなのは、あくまで夫婦間の取決めである以上、不貞相手に対しての請求権までは放棄していないという点です。なので、仮に元夫に対して請求ができない場合であっても、不貞が原因で婚姻関係が破綻したといえる場合には、不貞相手に対して慰謝料の請求をすることは可能です。請求権が時効で消えてしまわないうちに請求をすることが必要です。
残念ながら、すべてのご相談で弁護士が対応できるわけではありません。
homeではさまざまな専門家が参加していますので、お悩みにあった専門家にご自身のお悩みを相談してみてください。
オンライン離婚相談 home
結婚をすると、夫婦は同氏を名乗らなければなりません。これを夫婦同氏の原則といいます。
他方、離婚すると結婚によって改めた氏が婚姻前のものに復することになります。
ただし、婚姻時に使用していた氏をそのまま使うことも可能です。その場合、離婚の日から3ヵ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」(「婚氏続称届」ともいう)を本籍地または所在地の市区町村役場へ届け出る必要があります。
離婚の方法として、法律的には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の方法がありますが、話合いにより離婚を成立させる協議離婚が多いようです。
当人同士の話合いがうまくいかない場合、裁判所に調停を申し立てる調停離婚、調停で離婚自体は合意できる見込みなのに、細かな離婚条件でのみ合意ができなかったなどの場合には審判離婚、離婚自体や離婚条件で対立がある場合は、原則として裁判離婚となります。
結婚前の戸籍に戻るか、自分が筆頭者になる新しい戸籍を作るかを選択できます。
配偶者の性格や態度などにより判断するのがよいといえます。
きちんと話合いができるのであれば、同居中のほうが話合いを進めやすい場合もあるでしょう。反対に、険悪な雰囲気を出したり、家庭の空気を乱したりするような相手であれば、お子さまのことを考えて別居後のほうがよいといえます。
主に以下について取決めをします。
- 財産分与
- 親権者の指定
- 養育費
- 子との面会交流
- 慰謝料
- 年金分割
相続については、「被相続人の子は、相続人となる」と定められています。法律上、子どもであれば、親権がどちらにあるかにかかわらず、親の相続人となるのです。離婚をしても、親子であることには変わりませんので、子どもは親権者でない親の財産を相続することができます。
親権というのは、未成年者の財産を管理する権利義務と、未成年者を監護・養育する権利義務から成っています。親権は、あくまで未成年者の心身の未熟さを保護し、未成年者の健全な発育を促すための権利義務です。
一方、民法の定める相続制度は、被相続人が築いた財産は、血縁者になるべく受け継がせようという趣旨に基づくものです。このように、親権と相続制度はそれぞれ異なる考え方を背景にしているので、互いに関連する関係にはないのです。
法定の離婚原因の存在を証明することです。たとえば、配偶者の不貞行為を理由とする場合、配偶者がほかの異性とホテルに入店、一定時間経過後に退店するなどの状況を撮影した写真など、動かし難い証拠が重要になってきます。
まず、離婚後に「引越し代を支払え」、「当面の生活費を支払え」と相手に請求できる権利はありません。それは、婚姻期間中に必要となる生活費(婚姻費用)は夫婦がともに負担する義務を負うものの、離婚後はその義務がないため請求が認められておらず、また、そもそも夫婦には同居義務があるため(民法第752条)、別居のための引越し代は生活費(婚姻費用)に含まれないと考えられているからです。
そのため、離婚前であれば別居期間中の生活費(婚姻費用)の請求はできますが、引越し代は生活費(婚姻費用)に含まれないと考えられているため、請求自体が難しいと思われます。ただし、離婚前に別居する場合、「婚姻費用とは別に、引越し費用を支払ってもらう」と取り決める余地はあります。離婚後の引越しが決まっている場合にも、離婚の際の慰謝料・解決金・財産分与につき、「引越しにお金がかかる」ことを理由に、増額してもらうことが可能なケースもあります。
当面の生活費について、もしあなたが子どもを養育する場合には、毎月決まった額の養育費を請求することができます。そのほか、離婚時に相手から解決金や財産分与として相当額を受領することも考えられます。また、相手に資力がなく一括での支払いを受けられない場合には、解決金として「毎月いくら」という分割の方法で支払ってもらうことも視野に入ります。
別居を始める際には、なるべく配偶者の同意を得ることが望ましいでしょう。法律上、夫婦には同居義務がありますので、無断で別居をすると同居義務違反となるおそれがあります。
また、無理やり別居をしたことにより婚姻関係を破綻させてしまうと、裁判で離婚する場合に必要な理由のひとつである「悪意の遺棄」として離婚原因を作ったと判断される可能性があります。その場合、離婚原因を作った有責配偶者として扱われますので、離婚の請求が認められにくくなりますし、相手方から慰謝料を請求されるおそれもあります。
ただ、すでに婚姻関係が破綻している場合や、同居することが客観的に困難な事情がある場合などは、同居拒否の正当な理由があるとされる可能性もあります。また、婚姻生活に疑問を感じ、気持ちを整理するための別居ということであれば、違法とまではいえない場合が多いと考えられます。しかし、可能な限り別居について配偶者と話合いをし、同意を得るよう努力してみましょう。
離婚事件は、「離婚の合意・慰謝料・財産分与・親権・養育費・面会交流・年金分割」など、多数の事件をひとまとめにして解決しなければならないという特殊性があります。また、裁判を起こす場合に「調停を必ず経ねばならない」というハードルがあります。このように複雑で、かつ時間のかかる離婚事件は、一般に弁護士費用が高くなるといわれています。
弁護士費用は、大きく(1)相談料、(2)着手金、(3)報酬金に分かれます。相談料は30分5,000円が一般的です。最初に支払う着手金は、30万円程度の法律事務所が多く、報酬金を含めると100万円を超えることも少なくありません。
届出人の本籍地または所在地の区市役所、もしくは町村役場に提出することになります。
本籍地以外の役場に提出する際には、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)一通の添付が必要になってきます。
提出方法は郵送でも構いません。
自分の署名が必要になります。また、18歳以上の証人(※)2人以上の署名も必要です。
なお、財産分与、養育費、慰謝料の定めなどは記載する必要はありませんが、これらの取決めは重要です。
※民法改正のため、2022年4月1日より、成人(成年)年齢は20歳から18歳に引き下げられました。
公正証書で面会交流を取り決めることはできます。むしろ、未成年のお子さまがいる場合には、養育費の支払いと併せて面会交流についても取り決めるのが通常です。
面会交流を公正証書で取り決める際には、以下の点に注意しましょう。
- 面会交流の回数・日時・場所・方法については、「2人で随時協議して決定する」という取決め方もできます。しかし、面会交流を確実に実現させるためには、少なくとも「月1回」というように回数だけは決めておくことが望ましいでしょう。
- ただし、面会交流を取り決めただけでは、これを法律上、強制的に実現することはできません。もっとも、面会交流の日時または頻度、各回の面会交流の長さ、子の引渡し方法等が具体的に定められているなど、監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合には、裁判所に対して間接強制の申立てを行い、それが認められる可能性があります。この場合の間接強制とは、面会交流を行わない相手に対し、一定の期間内に面会交流を行わなければ間接強制金を課すことを裁判所が警告して相手に心理的圧迫を与え、面会交流の自発的な実施を促すものです。したがって、間接強制を視野に入れる場合には、公正証書や調停、審判での面会交流の取決めがかなり具体的である必要があります。また、面会交流をしっかり行うよう相手の納得を得ておくことも重要です。
- 面会交流は親のエゴであってはなりません。子どもの健全な発育のために、もっともよい方法を真摯に検討しましょう。
事前にしっかりと取決めをし、お子さまと、そのご両親にとっての最善の面会交流を実現させるためにも公正証書を作成しなければなりません。
婚姻費用分担請求調停と、審判前の保全処分を家庭裁判所に申し立てることにより、生活費の仮払いを求めるという方法があります。
簡単に説明しますと、わざわざ裁判所へ行かなくても電話で手続を進めることができるという仕組みです。
たとえば、山口県で別居中の妻から、東京都に住んでいる夫へ離婚調停を申し立てたとしましょう。この場合、離婚調停は原則的に、相手方の住所地が管轄となりますから、東京の家庭裁判所まで行かなければなりません。
しかし、電話会議システムを利用すると、わざわざ東京の家庭裁判所まで行かなくても、電話で自分の主張等を行うことができます。
ただし、離婚が成立する場合(つまり、最後の調停)には、本人の意思を慎重に確認しなければならないため、必ず調停期日に家庭裁判所へ行くことが必要になります。
これまでの離婚調停(審判)では、電話会議システムは認められていませんでしたので、負担の軽減により、離婚調停を申し立てやすくなったといえるでしょう。
また、電話会議システムを利用することができれば、弁護士に依頼をした場合でも、弁護士が遠方へ出張する際に発生する交通費などの負担が大幅に軽減されますので、弁護士への依頼もしやすくなります。
なお、一部の家庭裁判所では、離婚調停をオンラインで行うWeb会議システムの利用が試験的に行われているほか、Web会議による離婚調停の成立、離婚の和解を可能とする家事事件手続法、人事訴訟法等の改正に関する法律が令和4年5月18日に成立し、同月25日の公布の日から4年以内に施行されることになりました(具体的な施行日は今後決定されます)。
養育費は、一般的に裁判所が定める算定表(養育費算定表)に従って算定していきます。調停や審判になったときには、その算定方式によることになります。算定表は、下記を参照してください。
なお、算定表によることが著しく不公平になるような特別の場合には、その事情が考慮されることもあります。
扶養義務者の相互間において扶養義務を履行するため給付される金銭には、所得税は課されません。また、扶養義務者の相互間において生活費または教育費に充てるための贈与により取得した金銭のうち、通常必要と認められるものには贈与税も課されません。
ただし、養育費の支払いは月払いが原則であるため、将来の養育費についてまで一括して支払いを受けた場合には、贈与税の課税対象となる可能性があります。
子どもが扶養を要しない状態になったときまでとされています。以前は成人(成年)年齢が20歳だったこともあり、子どもが成人(※)したときまでと取り決めるケースも多数ありました。しかし、親の資力・学歴や子どもの進学希望の有無などを総合して4年生大学を卒業するときをもって扶養を要しないと判断されることもあります。
なお、成人(成年)年齢が18歳に引き下げられた現在も、「子が満20歳になるまでは経済的に自立していなくても親が支える」という社会的な状況に変化はないことから、養育費は子が満20歳になるまで支払うと取り決めることに問題はないと考えられています。
※民法改正のため、2022年4月1日より、成人(成年)年齢は20歳から18歳に引き下げられました。ただし、子どもが「20歳」になるまで養育費を受け取る旨の取決めをしている場合は、子どもが20歳になるまで養育費を受け取ることができます。同様に、改正法施行前に、子どもが「成人」になるまで養育費を受け取る旨の取決めをしていた場合、当時の成人は20歳を想定していたでしょうから、改正後も引き続き、子どもが20歳になるまで養育費を受け取ることができると考えられます。
当事者間で再度の協議が整えば、養育費を増減することができます。協議が困難な場合には、調停や審判で決めることとなりますが、養育費を増減するには、養育費について取決めをした当時には予想できなかった事情変更等の存在が必要になってきます。たとえば、養育費を支払っているほうが会社をリストラされたような場合は、事情の変更があると認められ減額になることもあります。
父母は、親権者かどうかにかかわらず、子どもが経済的に自立していない「未成熟子」である間は、扶養義務を負います。
この扶養義務は、離婚後も変わりません。そのため、離婚により一方の親が「未成熟子」を引き取って育てることになった場合、他方の親に対して養育費の支払いを求めることができます。