外国人と日本人の夫婦が離婚する場合、まず問題となるのは、そもそも離婚の手続を日本で行えるかどうかです。
判例によれば、被告となる相手方の住所地が日本であれば日本の裁判所で手続ができます。
また、相手方の住所地が日本にはなくても、あなたが相手方から遺棄された場合、相手方が行方不明である場合、そのほかこれに準ずる場合には、日本の裁判所での手続が可能となります。
次に、離婚の手続を行うにあたって相手方の本国法が適用されるのか、それともあなたの本国法である日本法が適用されるのかという点が問題となります。いずれの国の法が適用されるかについては「法の適用に関する通則法」によって決まります。この通則法第27条ただし書によると、「夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による」ことになります。
そのため、妻が日本人で日本にずっと住んでいる本ケースでは、離婚する際には日本法が適用されます。もし仮に妻も外国に住んでいるような場合には日本法が適用されないこともありますので、詳しくは弁護士に相談することをおすすめします。
犬などのペットは、法律上は物として扱われます。そのため、離婚に際しては、家や車などと同じく、財産的価値があれば「財産」として財産分与の対象となり得ますが、財産的な価値はつかないことが多いと思われます。どちらにしても、離婚する際に夫婦で協議して離婚後にどちらがペットを所有し飼育するかを決めることとなります。
仮に財産分与の対象になったとしても、生き物であるペットを半分に分けることはできませんので、引取りを希望する側がほかの財産を譲ったり、あるいは相応額の金銭を支払うことによって所有権を得る形が一般的です。
また、子どもと違い、ペットに対する養育費の支払義務はありません。原則として、ペットの飼育にかかる費用は引き取った側が負担することとなります。ただし、離婚する際の条件として、費用の一部負担をお願いしたり、その分を慰謝料に上乗せするといった形で支払を受けることは可能です。
なお、財産分与は「婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産」を分ける制度ですので、結婚する前から飼っていたペットは原則としてその対象になりません。その場合は、結婚前に飼っていた側に所有権があります。
だまされて結婚をした場合、詐欺を理由として婚姻の取消しができる場合があります。しかし、婚姻の成立の際に当事者などが事実を誇張したり、不利な事実を隠したりすることはしばしば見られるため、取消しが認められるには、そのような行為が相当強い違法性を有していることや、それによって生じた錯誤が一般人にとっても相当重要なものとされる程度であることが必要です。職業や収入を偽ったのみでは、結婚の意思を直接左右する相当重要な事項とまではいえず、原則として取消しは難しいと考えられます。
なお、詐欺の事実を知って3ヵ月が経過したり、詐欺の事実を受け入れたりすると、取消権は消滅します。
今回、「婚姻を継続し難い重大な事由」という離婚原因が認められれば離婚することが可能です。しかし、これが認められるハードルは高く、夫婦関係を破綻させるに足りる事情が必要です。夫婦というのは「お互いに愛情をもって一緒に共同生活をすること」が中核ですから、職業や収入は家計を支える一要因ではあっても、これを偽ったとしてもただちに夫婦関係を破綻させるとはいえません。離婚原因が認められるためには、夫婦関係を破綻に追い込むような極めて悪質な嘘であったか、または、嘘のほかにも信頼関係を破壊するに足りる事由が存在したことを主張する必要があります。
訴訟を提起します。夫が行方不明で連絡が取れず、住所や居所等がわからない場合には、話合いの場である調停に出席してもらうことが期待できません。そのため、このような場合には調停を経ずに訴訟を提起することができます。
訴訟では相手方に訴状を送らなければなりませんが、相手方の住所や勤務先などがわからない場合は、裁判所の前の掲示板に呼出状を掲示することによって、訴状が送られたことになります(「公示送達」といいます)。相手方から何の応答もなく期日にも欠席した場合、すぐに判決にはなりませんが、簡単な証拠調べのあと、判決を得ることができます。
手当、援助制度としては、離婚後のひとり親家庭が受けられる国の経済的援助である児童扶養手当、身体や精神に障害のある20歳未満の児童について児童の福祉増進を図る特別児童扶養手当、児童手当、母子父子家庭のための住宅手当、生活保護、ひとり親家庭等の医療費助成制度、小児医療費助成制度があります。
ひとり親家庭の割引、減免制度としては、所得税・住民税の減免、国民年金保険料の免除・猶予、国民健康保険料の減免、交通機関の割引制度、粗大ごみ等処理手数料の減免制度、上下水道料金の減免制度、保育料の減免制度、有利な利子を受けられる福祉定期貯金などの制度があります。
そのほか、母と子がともに暮らせるようにするための母子生活支援施設、公営住宅、母子(父子)家庭を対象にした貸付(年利1.0%もしくは無利子など)が行われる母子父子寡婦福祉資金貸付金制度などがあります。
※自治体によっては、実施していないところもありますので、詳しくは各区市役所、町村窓口へお問合せください。
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離婚の方法として、法律的には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の方法がありますが、話合いにより離婚を成立させる協議離婚が多いようです。
当人同士の話合いがうまくいかない場合、裁判所に調停を申し立てる調停離婚、調停で離婚自体は合意できる見込みなのに、細かな離婚条件でのみ合意ができなかったなどの場合には審判離婚、離婚自体や離婚条件で対立がある場合は、原則として裁判離婚となります。
主に以下について取決めをします。
- 財産分与
- 親権者の指定
- 養育費
- 子との面会交流
- 慰謝料
- 年金分割
まず、離婚後に「引越し代を支払え」、「当面の生活費を支払え」と相手に請求できる権利はありません。それは、婚姻期間中に必要となる生活費(婚姻費用)は夫婦がともに負担する義務を負うものの、離婚後はその義務がないため請求が認められておらず、また、そもそも夫婦には同居義務があるため(民法第752条)、別居のための引越し代は生活費(婚姻費用)に含まれないと考えられているからです。
そのため、離婚前であれば別居期間中の生活費(婚姻費用)の請求はできますが、引越し代は生活費(婚姻費用)に含まれないと考えられているため、請求自体が難しいと思われます。ただし、離婚前に別居する場合、「婚姻費用とは別に、引越し費用を支払ってもらう」と取り決める余地はあります。離婚後の引越しが決まっている場合にも、離婚の際の慰謝料・解決金・財産分与につき、「引越しにお金がかかる」ことを理由に、増額してもらうことが可能なケースもあります。
当面の生活費について、もしあなたが子どもを養育する場合には、毎月決まった額の養育費を請求することができます。そのほか、離婚時に相手から解決金や財産分与として相当額を受領することも考えられます。また、相手に資力がなく一括での支払いを受けられない場合には、解決金として「毎月いくら」という分割の方法で支払ってもらうことも視野に入ります。
離婚事件は、「離婚の合意・慰謝料・財産分与・親権・養育費・面会交流・年金分割」など、多数の事件をひとまとめにして解決しなければならないという特殊性があります。また、裁判を起こす場合に「調停を必ず経ねばならない」というハードルがあります。このように複雑で、かつ時間のかかる離婚事件は、一般に弁護士費用が高くなるといわれています。
弁護士費用は、大きく(1)相談料、(2)着手金、(3)報酬金に分かれます。相談料は30分5,000円が一般的です。最初に支払う着手金は、30万円程度の法律事務所が多く、報酬金を含めると100万円を超えることも少なくありません。
簡単に説明しますと、わざわざ裁判所へ行かなくても電話で手続を進めることができるという仕組みです。
たとえば、山口県で別居中の妻から、東京都に住んでいる夫へ離婚調停を申し立てたとしましょう。この場合、離婚調停は原則的に、相手方の住所地が管轄となりますから、東京の家庭裁判所まで行かなければなりません。
しかし、電話会議システムを利用すると、わざわざ東京の家庭裁判所まで行かなくても、電話で自分の主張等を行うことができます。
ただし、離婚が成立する場合(つまり、最後の調停)には、本人の意思を慎重に確認しなければならないため、必ず調停期日に家庭裁判所へ行くことが必要になります。
これまでの離婚調停(審判)では、電話会議システムは認められていませんでしたので、負担の軽減により、離婚調停を申し立てやすくなったといえるでしょう。
また、電話会議システムを利用することができれば、弁護士に依頼をした場合でも、弁護士が遠方へ出張する際に発生する交通費などの負担が大幅に軽減されますので、弁護士への依頼もしやすくなります。
なお、一部の家庭裁判所では、離婚調停をオンラインで行うWeb会議システムの利用が試験的に行われているほか、Web会議による離婚調停の成立、離婚の和解を可能とする家事事件手続法、人事訴訟法等の改正に関する法律が令和4年5月18日に成立し、同月25日の公布の日から4年以内に施行されることになりました(具体的な施行日は今後決定されます)。