離婚協議書の書き方と5つのポイント!協議書のテンプレートをダウンロードできる

離婚協議書の書き方と5つのポイント!協議書のテンプレートをダウンロードできる 離婚の手続き

離婚に向けて相手と話し合い、条件がなんとなく固まってきたけれど、

「離婚協議書って、具体的にどう書けばいいの?」
「後で揉めないように、ちゃんと効力のあるものを作りたいけど…」

そんな不安や疑問をお持ちではないでしょうか。

離婚協議書は、単なる話し合いの記録ではありません。
財産分与や養育費、面会交流といった大切な約束事を法的な意味合いを持つ形で残し、将来のトラブルを防ぐための重要な「契約書」なのです。
書き方一つ、記載漏れ一つで、後々大きな問題に発展してしまう可能性もゼロではありません。

法律文書の作成に不安を感じるのは当然のことでしょう。
しかし、心配いりません。
基本的なルールとポイントを押さえれば、ご自身の状況にあった、しっかりとした離婚協議書を作成することは可能です。

この記事では、[離婚にあたり、協議書の作成を考えている方、または作成中の方]に向けて、離婚問題に詳しい専門家の視点から、主に以下の点について分かりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 離婚協議書を作成する理由と重要性
  • 【テンプレート付】失敗しない書き方5つのポイント
  • 効力を高める公正証書のメリット・手続き・費用
  • 自分で作成?専門家?メリット・デメリットと比較

この記事を読むことで、離婚協議書の作成に関する不安が解消され、具体的な手順や注意点が明確になるはずです。
離婚プラットフォーム「home」が持つ知見を基に、後悔しないためのポイントをまとめました。
ぜひ最後までお読みいただき、あなたの新しいスタートにお役立てください。

離婚協議書に関する情報を得て、今後の不安を少しでも軽減したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

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  1. 離婚協議書とは?作成する理由とその重要性
    1. 離婚協議書とは?役割と目的
    2. 離婚協議書を作成するメリットとは?
    3. 離婚協議書を作成しないことのリスクとは?
    4. 離婚協議書を作成する手続き
  2. 離婚協議書の書き方5つのポイント【テンプレート付】
    1. テンプレートの基本構成と必須記載項目リスト
    2. 1.財産分与の取り決め
    3. 2.慰謝料の取り決め
    4. 3.親権と養育費の取り決め
    5. 4.面会交流のルール設定
    6. 5.トラブル防止のために必須な内容
    7. テンプレート利用時の注意点
  3. 協議書の法的効力を高める公正証書とは
    1. 公正証書の強力なメリットと注意点
    2. 公正証書作成の具体的な流れ
    3. 公証役場でかかる費用の目安
  4. 離婚協議書を作成する際に注意すべき3つのポイント
    1. 法的効力を持たせるための手続き
    2. 公正証書と協議書の違いを理解する
    3. 弁護士や専門家に依頼するべきか?
  5. 弁護士?行政書士?専門家への依頼
    1. 自分で作成 vs 専門家依頼の比較
    2. 弁護士に依頼するケースと費用相場
    3. 行政書士に依頼するケースと費用相場
    4. 弁護士と行政書士の違いと選び方
  6. 離婚協議書に関するよくある質問
    1. 離婚協議書を自分で作成しても良い?
    2. 離婚協議書を公正証書にするべき理由は?
    3. 離婚協議書に含めるべき項目は何ですか?
    4. 協議書の内容に同意しない場合はどうする?
    5. 離婚後に協議書の内容を変更する方法は?
    6. いつまでに作成すればいい?
    7. 署名・捺印は実印が必要?
    8. 約束した支払いが滞ったら?
  7. まとめ:後悔しない離婚協議書で、安心の再出発を
  8. 専門家に相談するなら「オンライン離婚相談 home」

離婚協議書とは?作成する理由とその重要性

夫婦が話し合いによって離婚を決める「協議離婚」。
その際に、お互いが合意した内容を書面にまとめたものが「離婚協議書」です。

この離婚協議書を作成することは、後々のトラブルを防ぎ、円満な解決と双方の新たなスタートを切るために、実は非常に重要な意味を持っています。

「口約束だけでも大丈夫かな?」「離婚届を出せば、それで終わりじゃないの?」そう考える方もいるかもしれません。
しかし、口約束だけでは記憶が曖昧になったり、解釈の違いが生じたりして、「言った、言わない」の争いに発展するケースが後を絶ちません。
特に、お金や子供に関する大切な約束事は、きちんと書面に残しておくことが、将来の安心のために不可欠なのです。

以下では、まず離婚協議書がどのような役割を持ち、作成することでどんなメリットがあるのか、逆に作成しないとどのようなリスクがあるのか、そして作成の基本的な手続きについて解説していきます。

離婚協議書とは?役割と目的

離婚協議書とは、夫婦が離婚する際に話し合って決めた条件をまとめた書面です。
離婚に関する条件には、親権、養育費、財産分与、慰謝料などがあります。

離婚協議書を作成するメリット

  • 口約束と異なり、相手が約束を破った際に裁判所に請求できる
  • 後から「言った・言わない」のトラブルを防止できる
  • 調停や裁判の手続きでも、取り決めた内容を証明する証拠となる

離婚協議書の作成方法

  • 夫婦が互いに納得した上で合意し、署名押印をする
  • 離婚協議書を自動で作成できるサービスを利用することもできる
  • 弁護士や行政書士に依頼することもできる

離婚協議書に記載する内容

  • 離婚の方法(誰が離婚届けを提出するか)
  • 親権者
  • 養育費
  • 面会交流
  • 慰謝料
  • 財産分与
  • 年金分割

【離婚協議書に違反した場合】

  • 調停や審判、裁判の結果によっては、金銭の支払いについて強制執行を受ける場合もある

つまり、離婚協議書は、単なるメモではなく、離婚という大きな節目における夫婦間の約束事を正式な形で記録し、双方の権利と義務を明確にするための重要な文書なのです。

離婚時に離婚条件を書面化していない55%(※1)もおり、離婚後に養育費を受け取れていない71%・お子様と面会交流できていない70%(※2)と、書面化していないことで離婚後のトラブルが増加しています。
その他にも、離婚後の生活や子供の親権、財産分与など、さまざまな問題が発生する可能性があります。
※1:法務省|令和2年度 協議離婚に関する実態調査結果の概要
※2: 厚生労働省|令和3年度 全国ひとり親世帯等調査


このような問題が起こらないようにするために、協議内容を文書にしておくことは、双方にとって精神的な安心をもたらします。

離婚協議書を作成するメリットとは?

離婚協議書を作成することには、多くのメリットがあります。
面倒に感じるかもしれませんが、将来の安心のためには、作成しておくことが強く推奨されます。

主なメリットを具体的に見ていきましょう。

  • トラブルを未然に防げる
    これが最大のメリットと言えるでしょう。
    離婚条件を書面で明確にしておくことで、「言った、言わない」の争いや、後から条件について蒸し返されるといった紛争を効果的に予防できます。
  • 約束の履行を促せる
    口約束に比べて、署名・捺印された書面があることで、心理的な拘束力が高まります。
    特に、養育費や慰謝料といった金銭の支払いに関する約束は、書面に残すことで支払いが滞るリスクを減らす効果が期待できます。
  • 合意内容をいつでも確認できる
    時間が経つと、細かい取り決め内容を忘れてしまうこともあります。
    協議書があれば、いつでも正確な合意内容を確認することができます。
  • 精神的な区切りとなる
    離婚条件について真剣に話し合い、その結果を書面に残すというプロセスを経ることで、感情的な整理がつきやすくなり、離婚という区切りを明確にして、前向きな気持ちで新しい生活をスタートさせる助けとなります。
  • 公正証書作成の基礎となる
    後述しますが、離婚協議書の内容を公証役場で「公正証書」にすることで、さらに強い法的効力(特に強制執行力)を持たせることができます。
    離婚協議書は、その公正証書を作成するための重要な原案となります。

これらのメリットを考えると、たとえ円満に離婚する場合であっても、離婚協議書を作成しておく価値は十分にあると言えるでしょう。

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離婚協議書を作成しないことのリスクとは?

では逆に、離婚協議書を作成しなかった場合、どのようなリスクが考えられるのでしょうか。
「特に揉めていないから大丈夫」「面倒だから口約束で済ませたい」と考える方もいるかもしれませんが、後々深刻なトラブルに発展する可能性を理解しておく必要があります。

離婚協議書を作成しない場合の主なリスクは以下の通りです。

  • 金銭的な約束が守られないリスク
    養育費や慰謝料、財産分与などの金銭的な約束が、口約束だけだと支払われなかったり、途中で支払いが止まったりするケースは非常に多いです。
    「ちゃんと払ってくれるか不安…」という心配は、協議書がないと現実のものとなりやすいでしょう。
    書面がないと、法的に支払いを強制することも難しくなります。
  • 子供に関する約束の曖昧さ
    面会交流の頻度や方法などを具体的に決めておかないと、後になって「会わせてもらえない」「勝手に連れて行かれた」といったトラブルに発展する可能性があります。
  • 「言った、言わない」の争い
    離婚時には合意していたはずの内容について、後から「そんなことは言っていない」「合意内容は違ったはずだ」などと主張され、争いに発展する可能性があります。
    書面という客観的な証拠がないため、水掛け論になりがちです。
  • 問題解決の長期化と負担増
    上記のようなトラブルが発生した場合、改めて相手と交渉したり、家庭裁判所に調停や審判を申し立てたりする必要が出てきます。
    これには多大な時間、労力、そして場合によっては弁護士費用などの金銭的な負担がかかります。
  • 強制執行の困難さ
    たとえ口約束や簡単なメモ書きがあったとしても、それだけでは相手が約束を破った場合に、給料や預金などを差し押さえるといった強制執行の手続きをとることは、原則としてできません。

これらのリスクを避けるためにも、たとえ簡単な内容であっても、合意事項を書面に残しておくことが賢明です。

離婚協議書を作成する手続き

離婚協議書を作成する手続きは、大きく分けて以下のステップで進めるのが一般的です。
専門家に依頼せず、ご自身たちで作成する場合の流れを想定しています。

  1. 離婚条件の話し合い(協議)
    まず、離婚すること自体、そして親権、養育費、財産分与、慰謝料、面会交流といった離婚に関する様々な条件について、夫婦間で冷静に話し合いを行います。
    感情的にならず、お互いの希望や状況を伝え合い、合意点を探ることが大切です。
  2. 合意内容の整理・明確化
    話し合いで合意に至った内容を、箇条書きにするなどして具体的に整理します。
    金額、支払時期、支払方法、期限、対象となる財産など、できるだけ詳細かつ明確にまとめておきましょう。
    曖昧な表現は後々のトラブルの原因となります。
  3. 協議書の文書作成
    整理した合意内容に基づいて、離婚協議書の文章を作成します。
    インターネット上で公開されているテンプレートやひな形を参考にすることもできますが、必ずご自身の状況に合わせて内容を修正・追記する必要があります(テンプレート利用の注意点は後述します)。
    手書きでもパソコン作成でも構いません。
  4. 夫婦双方による内容確認
    作成した協議書の案を、夫婦それぞれが注意深く読み、合意した内容と相違ないか、記載漏れや誤りがないかを確認します。
    不明な点や疑問点があれば、この段階で解消しておくことが重要です。
  5. 署名・捺印
    協議書の内容に双方が最終的に合意したら、同じものを通常2通作成し、それぞれに夫婦双方が署名し、捺印します。
    印鑑は認印でも法律上は有効ですが、後日の争いを防ぐ意味では実印を使用し、印鑑証明書を添付することも考えられます。
    作成した協議書は、夫婦それぞれが1通ずつ大切に保管します。

この段階で作成された離婚協議書は、法的には「私文書」として扱われます。
契約としての効力はありますが、これだけでは支払いが滞った場合に直ちに強制執行ができるわけではありません。
より強い効力を持たせたい場合は、次のステップとして「公正証書」にすることを検討します(公正証書については後のセクションで詳しく解説します)。

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離婚協議書の書き方5つのポイント【テンプレート付】

離婚協議書は、夫婦間の大切な約束事を形にする重要な文書です。
しかし、いざ作成するとなると、「何から書けばいいのか分からない…」「法律なんて詳しくないし、これで本当に大丈夫?」と不安に感じる方が多いのも事実でしょう。
記載内容が曖昧だったり、重要な取り決めが抜けていたりすると、せっかく作成しても後でトラブルになったり、法的な効力が十分に得られなかったりする可能性もあります。

そこで、ここでは離婚協議書を有効かつ確実に作成するための「書き方」に焦点を当て、失敗しないための5つの重要ポイントを中心に解説します。
基本的な構成から、財産分与、慰謝料、親権・養育費、面会交流といった具体的な項目の書き方、さらにはテンプレートを利用する際の注意点まで、分かりやすくお伝えしていきます。

テンプレートの基本構成と必須記載項目リスト

離婚協議書テンプレート

ご利用には十分ご注意ください。必ずご自身の状況に合わせ修正・追記し、記載漏れや不利な内容がないか確認しましょう。
なお、ここで示す情報は一般的な参考であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。テンプレートの利用により生じたいかなる損害についても責任を負いかねますので、ご了承ください。少しでも不安があれば弁護士等の専門家へ相談することを強く推奨します。

離婚協議書には法律で定められた厳密な書式はありませんが、後々のトラブルを防ぎ、合意内容を明確にするためには、一般的に含めておくべき基本的な構成と項目があります。
まずは、どのような要素で協議書が成り立っているのか、全体像を把握しましょう。

一般的に、離婚協議書は以下のような構成で作成されます。

  1. タイトル:通常、「離婚協議書」や「離婚に関する合意書」などと記載します。
  2. 前文:誰(夫の氏名)と誰(妻の氏名)が、いつ離婚することに合意したのか、などを記載します。
  3. 離婚の合意:夫婦が離婚に合意した旨を明確に記載します。
  4. 親権者・監護権者:未成年の子供がいる場合に、どちらを親権者とするかなどを定めます。
  5. 養育費:子供の養育に関する費用について、金額、支払期間、支払方法などを定めます。
  6. 面会交流:子供と離れて暮らす親との面会について、頻度や方法などを定めます。
  7. 財産分与:婚姻中に築いた共有財産をどのように分けるかを定めます。
  8. 慰謝料:離婚原因について責任がある側が支払う場合に、金額や支払方法などを定めます。
  9. 年金分割:厚生年金等の加入期間について、按分割合を定めます。
  10. 清算条項:本協議書に定める内容以外に、お互いに金銭などの請求権がないことを確認する条項です。
  11. 作成年月日:協議書を作成した日付を記載します。
  12. 署名・捺印:夫婦双方の署名と捺印を行います。

この中でも、特に以下の項目は、ご自身の状況に応じて必ず記載を検討すべき重要な項目と言えます。
これらを「必須記載項目」として意識しておきましょう。

  • 離婚すること自体の合意
  • 子供がいる場合:親権者、養育費、面会交流
  • 夫婦の共有財産がある場合:財産分与
  • 慰謝料が発生する場合:慰謝料
  • 年金分割を行う場合:年金分割の合意とその割合

次の項目から、特に重要なポイントとなる項目の具体的な書き方を見ていきましょう。

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1.財産分与の取り決め

財産分与は、婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた財産(共有財産)を、離婚に際して公平に分け合う手続きです。
離婚協議書には、どの財産を、どのように分けるのかを具体的に、かつ明確に記載する必要があります。
曖昧な記載は後々のトラブルの元となります。

記載する際のポイントは以下の通りです。

  • 対象財産の特定と明記
    預貯金、不動産(土地・建物)、自動車、株式・投資信託などの有価証券、生命保険の解約返戻金、退職金などを具体的にリストアップします。
    特定のために、預貯金であれば「〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇」、不動産であれば所在地番や家屋番号まで正確に記載することが望ましいです。
    「家にある貯金」「持っている株」といった曖昧な表現は避けましょう。
  • 評価額・評価基準時
    各財産の価値をいつの時点で評価するのか(評価基準時。通常は別居時または離婚時とされます)、そしてその評価額を記載します。
    特に不動産や株式など価値が変動するものは、評価方法(例:不動産鑑定士による査定、固定資産税評価額、市場価格など)についても合意しておくとより明確になります。
  • 具体的な分割方法
    「預貯金〇〇円のうち〇〇円を妻(夫)に分与する」「不動産は夫(妻)が取得し、代償金として〇〇円を妻(夫)に支払う」「自動車は売却し、経費を差し引いた残額を折半する」など、具体的に誰が何を取得し、金銭の支払いが生じる場合はその金額や方法を明記します。
  • 負債(借金)の扱い
    住宅ローンや自動車ローンなどの負債も財産分与の対象となります。
    どちらが今後負担していくのか、あるいは財産評価から差し引くのかなどを明確に定めます。

なお、結婚前から所有していた財産や、相続によって得た財産は「特有財産」とされ、原則として財産分与の対象にはなりません。
対象財産の範囲に争いがある場合や、評価が難しい財産(開業医の事業用資産など)がある場合は、専門家である弁護士への相談を検討しましょう。

2.慰謝料の取り決め

慰謝料とは、相手の不法行為(不貞行為(浮気・不倫)、DV(暴力)、モラハラなど)によって精神的な苦痛を受けた場合に、その損害を賠償するために支払われるお金のことです。
慰謝料の支払いについて合意した場合は、その内容を離婚協議書に明確に記載する必要があります。

記載する際のポイントは以下の通りです。

  • 支払義務の有無と金額
    まず、慰謝料として「誰が誰に」「いくら支払うのか」を具体的に記載します。
    例:「甲(夫)は乙(妻)に対し、本件離婚に伴う慰謝料として金〇〇〇万円を支払う義務があることを認める。」
  • 支払方法と支払期限
    一括で支払うのか、分割で支払うのかを明確にします。
  • 一括払いの場合:支払期限(年月日)と、支払方法(例:「〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇に振り込んで支払う」)を記載します。
  • 分割払いの場合:支払総額に加え、「毎月末日限り、金〇〇円ずつを、〇年〇月から〇年〇月まで(全〇回)、乙(妻)名義の下記口座に振り込んで支払う」のように、毎回の支払額、支払開始日と終了日(または回数)、支払日、振込先口座などを詳細に記載する必要があります。
  • 遅延損害金(分割払いの場合)
    分割払いが遅れた場合のペナルティとして、「支払いを怠ったときは、期限の利益を喪失し、残額及びこれに対する年〇%の割合による遅延損害金を付加して直ちに支払う」といった条項(期限の利益喪失約款)を設けることも有効です。
    これにより、支払いが滞った場合に残額を一括請求することが可能になります。

なお、慰謝料が発生しない場合、つまりお互いに慰謝料を請求しないことで合意した場合でも、後々のトラブルを防ぐために、「甲及び乙は、本件離婚に関し、名目の如何を問わず、互いに何らの金銭的請求をしないことを相互に確認する」といった、いわゆる清算条項の中に慰謝料請求権の放棄を含めて記載しておくことが望ましいでしょう。

3.親権と養育費の取り決め

未成年の子供がいる夫婦が離婚する場合、子供の「親権者」をどちらにするか、そして子供が経済的に自立するまで必要となる「養育費」をどのように分担するかは、最も重要な決定事項の一つです。
これらは子供の将来に直接関わることですので、離婚協議書には特に慎重かつ具体的に記載する必要があります。

親権者について

日本の法律では、離婚後の共同親権は認められていないため(※法改正の動向に注意が必要)、必ず父母のどちらか一方を親権者として定めなければなりません。
協議書には、「長男〇〇(生年月日)の親権者を母(または父)である乙(または甲)と定める」のように、子供の名前、生年月日と共に、どちらが親権者となるかを明確に記載します。
子供が複数いる場合は、子供ごとに記載が必要です。
親権者とは別に、実際に子供と一緒に暮らし身の回りの世話をする「監護権者」を定めることも可能ですが、通常は親権者が監護権者も兼ねます。

養育費について

養育費は、子供が健やかに成長するために不可欠な費用です。
金額、支払期間、支払方法などを具体的に定める必要があります。

  • 金額:月々の支払額を「月額金〇〇円」のように具体的に記載します。金額の決定にあたっては、家庭裁判所が公表している「養育費算定表」を参考に、夫婦双方の収入や子供の年齢・人数などを考慮して話し合うのが一般的です。
  • 支払期間:「〇年〇月から、子供が満20歳に達する日の属する月まで」のように、支払いの開始時期と終了時期を明確に記載します。大学進学などを考慮して「満22歳に達した後の最初の3月まで」などと延長することも可能です。
  • 支払方法:「毎月末日限り、乙(妻)名義の下記口座に振り込んで支払う」のように、支払日と振込先口座を具体的に記載します。
  • 特別費用:入学金や学費、高額な医療費、留学費用など、通常の養育費とは別に発生する可能性のある費用について、どのように分担するか(例:「折半する」「別途協議する」など)を取り決めておくことも重要です。
  • 諸事情変更条項:将来、親の収入が大きく変動したり、再婚したりした場合などに、養育費の金額を見直す可能性があることを示唆する条項(例:「本条項は、事情の変更があった場合、当事者間の協議により変更できるものとする」)を入れておくことも検討に値します。

養育費の取り決めは、子供の権利を守る観点からも非常に重要です。
曖昧な内容にならないよう、できる限り具体的に記載しましょう。

離婚後のトラブル 約70%が養育費未受給・子どもと会えない問題

離婚前後のトラブル

離婚する方の約55%が離婚条件を書面化していません。結果的に離婚後に多くのトラブルをかかえています。
養育費は、子どもの成長にとって重要な資金ですが、現実には約70%のひとり親世帯が養育費を受け取れていません。
また、離婚後に親が子どもと会えなくなるケースも多く、約70%の別居親が子どもと会えていません。面会交流の取り決めが曖昧だとトラブルの原因になります。
これらを防ぐためには、公正証書や裁判所の調停で支払い義務を明文化し、強制執行が可能な形にしておくことが有効です。

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4.面会交流のルール設定

離婚によって子供と離れて暮らすことになった親(非監護親)が、子供と定期的・継続的に会って交流を持つことを「面会交流」といいます。
面会交流は、子供の健やかな成長のために非常に重要であると考えられており、離婚協議書においても、その具体的なルールを取り決めておくことが望ましいです。

取り決める際には、何よりも「子供の福祉(利益)」を最優先に考える必要があります。
その上で、以下のような点を具体的に記載していくと良いでしょう。

  1. 実施の有無:まず、面会交流を実施するかどうかを明確にします。
  2. 頻度と日時:どのくらいの頻度で(例:月に1回、隔週に1回など)、いつ頃(例:毎月第〇土曜日の午前10時から午後4時までなど)、どのくらいの時間実施するかを定めます。
  3. 場所:どこで面会交流を行うか(例:非監護親の自宅、監護親の自宅、公園、児童館、商業施設など)を決めます。
  4. 子供の受け渡し方法:面会交流の開始時と終了時に、どこで、どのように子供を受け渡すかを具体的に定めます(例:監護親が非監護親の自宅まで送迎する、〇〇駅で待ち合わせるなど)。
  5. 連絡方法:面会交流の日程調整などに関する連絡を、どのように行うか(例:電話、メール、LINEなど)を決めておくとスムーズです。
  6. 宿泊の可否:お泊りを伴う面会交流を認めるかどうか、認める場合の頻度や条件などを定めます。
  7. 学校行事等への参加:運動会、学芸会、授業参観といった学校行事への非監護親の参加について、どのようにするかを取り決めます。
  8. その他特別な配慮:子供の誕生日やクリスマス、夏休み・冬休みといった長期休暇中の面会交流について、特別な取り決めをする場合は記載します。
  9. 子供の意思の尊重:子供が成長するにつれて、面会交流に対する子供自身の意向も変化していきます。「面会交流の実施にあたっては、子供の意思を尊重する」といった一文を入れておくことが望ましいでしょう。
  10. 諸事情変更条項:子供の年齢や生活状況、親の転居など、状況が変化した場合には、面会交流のルールを見直す必要があることを示唆する条項(例:「本条項は、子の成長や当事者の状況の変化に応じて、別途協議の上、変更することができる」)を入れておくことも有効です。

あまりに細かくルールを決めすぎると、かえって柔軟な対応ができなくなることもあります。
お互いが気持ちよく面会交流を続けられるよう、基本的なルールを定めつつ、状況に応じた話し合いの余地を残しておくことも大切です。

5.トラブル防止のために必須な内容

これまで解説してきた財産分与、慰謝料、親権、養育費、面会交流といった主要な項目以外にも、離婚協議書に記載しておくことで、将来の無用なトラブルを予防し、合意内容の完全性を高めることができる重要な条項がいくつかあります。
これらは、いわば「念のための」条項ですが、記載しておくことを強くお勧めします。

特に重要となるのが以下の条項です。

  • 清算条項
    これは、「甲(夫)と乙(妻)は、本協議書に定めるほか、何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する」といった内容の条項です。
    つまり、「この協議書に書いてあること以外には、お互いもう何も請求しませんよ」という確認になります。
    これにより、離婚後に、協議書に記載されていない金銭などを請求されるリスクを大幅に減らすことができます。
    慰謝料を請求しない場合なども、この条項に含めて明確にしておくことが一般的です。
  • 通知義務条項
    「甲及び乙は、各自の住所、連絡先、勤務先等に変更が生じた場合には、速やかに相手方に通知するものとする」といった内容の条項です。
    これは、養育費の支払いを確保したり、面会交流の連絡をスムーズに行ったりするために重要となります。
    相手と連絡が取れなくなってしまう事態を防ぐ効果が期待できます。
  • 守秘義務条項(任意):
    「甲及び乙は、正当な理由なく、本協議の内容及び離婚に至る経緯等を第三者に口外したり、SNS等で公開したりしないことを約束する」といった内容です。
    プライバシーに関わる情報をむやみに広められたくない場合に設けることが考えられます。
  • 管轄合意条項(任意):
    「本協議書に関して紛争が生じた場合には、〇〇家庭(地方)裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する」といった内容です。
    万が一、将来裁判になった場合に、どこの裁判所で手続きを行うかをあらかじめ決めておくもので、遠方に住む相手との裁判になった場合などに、手続きの負担を軽減できる可能性があります。

これらの条項を適切に盛り込むことで、離婚協議書はより実効性のある、安心できる合意文書となります。

テンプレート利用時の注意点

インターネット上では、離婚協議書のテンプレートやひな形が数多く公開されており、無料でダウンロードできるものも少なくありません。
これらは、協議書作成の際の参考として非常に便利ですが、利用する際にはいくつかの重要な注意点があります。
安易にテンプレートをそのまま使用すると、かえって後でトラブルになったり、ご自身の権利を守れなかったりする可能性があるため、十分に注意が必要です。

テンプレートを利用する際の主な注意点は以下の通りです。

  • 内容の網羅性を確認する
    テンプレートに必要な項目が全て含まれているとは限りません。
    特に、ご自身のケースで重要な取り決め事項(例えば、特殊な財産分与、複雑な面会交流ルールなど)がテンプレートの項目にない場合は、必ず追記する必要があります。
  • 個別事情を反映させる
    テンプレートは、あくまで一般的なケースを想定した雛形です。
    夫婦の収入状況、財産の種類や額、子供の年齢や状況、離婚に至る経緯などは、一組一組異なります。
    必ず、ご自身の個別の事情に合わせて、条項の内容を具体的に修正・追記してください。
    例えば、養育費の支払期間を大学卒業までとしたい場合や、住宅ローンの負担について特別な取り決めをする場合などは、テンプレートのままでは不十分です。
  • 法的な有効性を確認する
    インターネット上の情報には、古いものや不正確なものが含まれている可能性も否定できません。
    テンプレートが最新の法律(特に親権や養育費に関する規定など)に適合しているか、法的に見て問題のある内容が含まれていないか、慎重に確認する必要があります。
    可能であれば、作成した協議書案を専門家(弁護士や行政書士)にチェックしてもらうのが最も安全です。
  • 不利な条項を見逃さない
    テンプレートの文言をよく理解しないまま使用してしまうと、気づかないうちに自分にとって不利な内容の条項に同意してしまうリスクがあります。
    各条項がどのような意味を持つのか、ご自身の権利や義務にどう影響するのかを、しっかりと理解することが重要です。
  • 安易な妥協をしない
    テンプレートに記載がないから、あるいはテンプレートの書き方に合わせるために、本来主張すべき正当な権利や、話し合って決めたはずの条件を安易に諦めてしまわないように注意しましょう。

テンプレートは、あくまで協議書作成の「たたき台」や「参考資料」として活用する、という意識を持つことが大切です。
不明な点や不安な点があれば、そのままにせず、専門家に相談することを強くお勧めします。

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協議書の法的効力を高める公正証書とは

夫婦間で作成した離婚協議書。
その合意内容をより確実なものにし、特に養育費や慰謝料といった金銭の支払いを将来にわたって守らせるためには、「公正証書」という形で作成することが非常に有効な手段となります。
「口約束や普通の協議書だけだと、本当に大丈夫かな…」という不安を解消し、離婚後の安心を得るために、公正証書について理解を深めておきましょう。

公正証書は、公証役場の公証人という法律の専門家が作成する公的な文書です。
これにより、離婚協議書の内容に高い証明力が与えられ、特定の条件下では裁判所の判決と同じような強力な効力を持つことになります。

以下では、この公正証書の具体的なメリットと注意点、作成するための流れ、そして気になる費用について詳しく解説していきます。

公正証書の強力なメリットと注意点

離婚協議書を公正証書にする最大のメリットは、その「強制執行力」にあります。
これは、特に養育費や慰謝料、財産分与などの金銭支払いに関する約束について、相手が支払いを怠った場合に大きな力を発揮します。

具体的には、以下のメリットと注意点があります。

メリット

  • 強制執行が可能になる(最大のメリット)
    公正証書に「債務者(支払義務者)が金銭債務の支払いを怠ったときは、直ちに強制執行に服する旨を承諾する」という内容の文言(強制執行認諾文言といいます)を入れておくことで、相手が養育費や慰謝料などを支払わなくなった場合に、裁判を起こして判決を得なくても、直ちに相手の給与や預貯金などの財産を差し押さえる「強制執行」の手続きをとることが可能になります。
    これにより、支払いを強力に確保することができます。
  • 高い証明力と証拠能力
    公証人が関与して作成されるため、文書が本人の意思に基づいて作成されたことや、記載された内容について、後から「そんな約束はしていない」などと争うことが難しくなります。
    裁判になった場合でも、非常に強力な証拠となります。
  • 心理的なプレッシャーによる履行促進
    「公正証書」という公的な文書で約束したという事実は、相手に対して「きちんと支払わなければならない」という心理的なプレッシャーを与え、約束の履行を促す効果が期待できます。
  • 原本の安全な保管
    作成された公正証書の原本は、原則として20年間、公証役場で厳重に保管されます。
    そのため、自分で保管している謄本(写し)を紛失してしまっても、再発行が可能であり、改ざんの心配もありません。

注意点

  • 費用がかかる
    公正証書の作成には、法律で定められた公証人手数料が必要となります。
    手数料は、協議書に記載される財産の価額や養育費・慰謝料の総額などによって計算されます。
  • 作成に手間と時間がかかる
    公証役場との事前の打ち合わせや、原則として夫婦双方(または代理人)が公証役場に出向く必要があるなど、作成には一定の手間と時間がかかります。
  • 相手の同意が必要
    公正証書は、夫婦双方の合意に基づいて作成されるものです。
    相手が公正証書の作成に同意してくれない場合は、作成することができません。
  • 強制執行できるのは主に金銭債務
    強制執行が可能なのは、基本的に養育費や慰謝料、財産分与といった金銭の支払いに関する約束に限られます。
    面会交流の約束などは、直接強制することは原則としてできません(ただし、間接強制という方法はあります)。
  • 内容変更が容易ではない
    一度作成した公正証書の内容を変更するには、原則として再び当事者双方の合意が必要となります。

これらのメリットと注意点を理解した上で、公正証書を作成するかどうかを判断することが大切です。
特に金銭の支払いに関する約束がある場合には、作成するメリットは非常に大きいと言えるでしょう。

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公正証書作成の具体的な流れ

離婚に関する合意内容を公正証書にする場合、どのような手順で進めればよいのでしょうか。
基本的な流れを理解しておきましょう。

  1. 離婚条件の合意と協議書案の作成
    まず大前提として、夫婦間で離婚条件(親権、養育費、財産分与、慰謝料、面会交流など)について具体的に話し合い、合意に至っている必要があります。
    そして、その合意内容をまとめた「離婚協議書(案)」を作成します。
    この協議書案が公正証書の原案となります。
  2. 公証役場の選定と相談・予約
    公正証書は、全国どこの公証役場でも作成できます。
    お近くの公証役場や、アクセスの良い場所にある公証役場を選びましょう。
    作成を依頼したい公証役場が決まったら、まずは電話などで連絡を取り、離婚公正証書の作成を依頼したい旨を伝え、相談日時や手続きについて確認します。
    多くの場合、事前に予約が必要です。
  3. 必要書類の準備
    公証役場から、作成に必要な書類の提出を求められます。
    一般的には以下のような書類が必要となりますが、事前に必ず確認してください。

必要なもの

  • 離婚協議書(案)
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど顔写真付きのもの)
  • 戸籍謄本(夫婦関係、子供との関係を証明するため)
  • 印鑑登録証明書と実印(または認印でも可の場合あり、要確認)
  • 財産分与の対象となる財産に関する資料(不動産登記事項証明書、預金通帳のコピーなど)
  • 年金分割の場合は年金手帳または基礎年金番号通知書、年金分割のための情報通知書

公正証書作成までの流れ

  1. 公証人との打ち合わせ
    準備した書類をもとに、公証人と協議書案の内容について打ち合わせを行います。
    公証人は、内容が法律に違反していないか、不明確な点はないかなどを確認し、必要に応じて修正案を提示したり、アドバイスをくれたりします。
    この打ち合わせは、電話やメールで行われることもあります。
  2. 公正証書作成日時の予約
    協議書案の内容が固まり、公正証書として作成できる状態になったら、夫婦双方(または代理人)が公証役場に出頭する日時を予約します。
  3. 公証役場への出頭と作成
    予約した日時に、原則として夫婦双方が公証役場に出頭します。
    代理人(弁護士など)に委任することも可能ですが、その場合は委任状などが必要となります。
    公証人が公正証書の内容を読み上げ、内容に間違いがないかを確認した後、夫婦それぞれが署名・捺印します。
    最後に公証人が署名・押印して、公正証書が完成します。
  4. 謄本の受領と手数料の支払い
    完成した公正証書の原本は公証役場で保管され、当事者にはその写しである「正本」または「謄本」が交付されます。
    この謄本を受け取る際に、公証人手数料を支払います。

以上が基本的な流れです。
手続きに不安がある場合や、相手とのやり取りを避けたい場合などは、弁護士や行政書士に公正証書作成のサポートを依頼することも可能です。

公証役場でかかる費用の目安

離婚公正証書を作成する際には、公証役場に「公証人手数料」を支払う必要があります。
この手数料は、公正証書に記載される法律行為の「目的価額」に応じて、公証人手数料令という政令に基づいて算出されます。
決して安い金額ではありませんので、事前にどのくらいの費用がかかるのか、目安を知っておくと安心です。

手数料計算の基本的な考え方は以下の通りです。

  • 目的価額に応じて手数料が決まる
    公正証書に記載される財産分与の額、慰謝料の額、養育費の総額(通常10年分で計算されることが多い)などを合算したものが「目的価額」となり、この金額に応じて手数料が段階的に定められています。
    例えば、目的価額が100万円以下なら5,000円、500万円超1000万円以下なら17,000円、1000万円超3000万円以下なら23,000円、といった具合です(※これは令和6年4月時点の法令に基づく概算例であり、変更される可能性や、事案による例外もあります)。
    目的価額が高くなるほど、手数料も高くなる仕組みです。
  • 複数の法律行為がある場合は合算されることも
    離婚公正証書には、財産分与、慰謝料、養育費など複数の取り決めが記載されるのが一般的です。
    これらのうち、金額が大きいものに基づいて手数料が計算されるか、あるいは別個の法律行為としてそれぞれの手数料が計算され合算される場合があります。
    年金分割の合意については、通常11,000円の手数料が別途かかります。
  • 謄本作成費用などが別途必要
    上記の手数料に加えて、作成された公正証書の正本や謄本(写し)の交付手数料が、通常1枚あたり250円程度かかります。

具体的な費用の目安を知るには?
正確な手数料は、公正証書に記載する具体的な内容によって決まります。
そのため、最も確実なのは、作成を依頼する予定の公証役場に、離婚協議書の案を持参または送付して、事前に手数料の見積もりを出してもらうことです。
多くの公証役場では、電話や窓口で費用の概算について相談に応じてくれます。

弁護士や行政書士に作成サポートを依頼する場合は、公証人手数料とは別に、その専門家への報酬が必要となります。
費用については、必ず事前に確認するようにしましょう。

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離婚協議書を作成する際に注意すべき3つのポイント

「せっかく書面にしたのに、後から“効力がない”なんて言われたらどうしよう…」
「協議書って公正証書にしないと意味がないの?」

このような不安を感じている方も多いでしょう。
離婚協議書は、夫婦間の約束を形にする重要な書類です。しかし、単に内容を書いただけでは法的に十分とは言えません。

トラブルを防ぎ、支払いや約束を“守らせる”ためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
以下では、離婚協議書を作成する際に見落とされがちな3つの注意点について解説します。

法的効力を持たせるための手続き

離婚協議書に法的効力を持たせるには、「形式」と「内容」の両方が重要です。

書面の作成だけで終わると、それは単なる「私的な覚書」に過ぎず、約束を破られても裁判での強制執行はできません。

以下のような点を満たすことで、法的効力のある協議書とすることが可能です。

  • 署名・押印を必ず行う:夫婦双方の署名と、できれば実印での押印を行いましょう。
  • 合意の事実を明確に記す:「夫婦間で協議のうえ、以下のとおり離婚条件を定めた」など、合意のプロセスを記載する。
  • 支払い義務や期限を具体的に:「○年○月から毎月○日までに、指定口座へ振込む」など、曖昧さを排除する。

加えて、金銭的な義務(養育費、慰謝料など)がある場合は、次項で解説する「公正証書」の活用も非常に効果的です。

公正証書と協議書の違いを理解する

離婚協議書と公正証書の大きな違いは「強制力の有無」です。

離婚協議書は当事者間で交わす文書であり、基本的には裁判所の手続きを経ないと強制力が発生しません。
一方で、公正証書にすることで、支払いが滞った場合に裁判なしで「強制執行」できるようになります。

例:養育費の未払いが発生した場合

  • 協議書のみ:家庭裁判所で調停または訴訟が必要
  • 公正証書あり:「執行認諾文言」があれば、すぐに差押え手続きが可能

つまり、「支払いを確実にさせたい」「裁判を避けたい」と考える方にとって、公正証書は非常に心強い選択肢です。

ただし、公正証書は手続きが煩雑で費用もかかるため、作成するかどうかは金額や相手との関係性を踏まえて判断しましょう。

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弁護士や専門家に依頼するべきか?

内容に不安がある、トラブルが予想される場合は、専門家への相談が有効です。

離婚協議書は、記載の内容によっては無効になる場合や、後に「解釈の違い」で揉める可能性もあります。
特に以下のようなケースでは、弁護士や行政書士などの専門家に相談すると安心です。

  • 財産分与が複雑(不動産、投資、ローンなど)
  • 親権や養育費で意見の相違がある
  • 相手との関係が悪化しており、直接交渉が困難
  • 法的効力を最優先にしたい

専門家を利用する際の選択肢と特徴は以下の通りです。

  • 弁護士
    法律上のアドバイス・交渉・代理業務が可能。費用は高めだが、トラブルが多いケースに適している。
  • 行政書士
    書類作成の代行が可能。法的アドバイスや交渉は不可。比較的安価で、書類作成が中心の方に向いている。

「自分でできるか不安…」と感じたら、無料相談を利用してみるのも一つの方法です。

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弁護士?行政書士?専門家への依頼

「できるだけ費用を抑えたいけど、自分で書いて大丈夫かな…」
「専門家に頼むと、どこまでやってくれるの?」

このように迷う方は少なくありません。
離婚協議書は将来のトラブルを避けるためにも、適切な形で作成することが大切です。

ここでは、自分で作成する場合と専門家に依頼する場合の違いや、それぞれの依頼先の特徴について解説します。

自分で作成 vs 専門家依頼の比較

自分で作成する最大のメリットは費用の安さですが、法的な不備や記載漏れのリスクが伴います。
専門家に依頼すると、内容のチェックや適切な文言への修正などを行ってくれるため、将来的な安心感があります。

  • 自作
    • メリット:費用を抑えられる。自由に作成できる。
    • デメリット:記載漏れ・法的効力に不安。内容に争いが生じたときに弱い。
  • 専門家依頼
    • メリット:法的な裏付けがあり安心。公正証書作成までサポート可能。
    • デメリット:費用がかかる。相談や打ち合わせの手間がある。

弁護士に依頼するケースと費用相場

相手との交渉が必要な場合や、慰謝料・財産分与をめぐる争いがある場合は弁護士の関与が望ましいです。
また、法的な助言を得ながら書類を整えることができる点も安心材料です。

  • 適したケース
    • 条件に争いがある。代理交渉が必要。法的なアドバイスが欲しい。
  • 費用相場
    • 書類作成のみ:5万〜15万円程度
    • 交渉込み:20万〜30万円以上が一般的

行政書士に依頼するケースと費用相場

争いがなく、合意済みの内容を正確に文書化したい方に適しています。
法律相談や代理交渉はできませんが、公正証書の文案作成などは対応してくれることが多いです。

  • 適したケース
    • 協議内容は決まっていて、正しく文書化したい。
  • 費用相場
    • 協議書作成のみ:2万〜6万円
    • 公正証書作成サポート込み:5万〜10万円程度
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弁護士と行政書士の違いと選び方

項目弁護士行政書士
書類作成
法律相談×
交渉・代理×
裁判対応×
費用高い比較的安い
  • 合意済みなら行政書士:費用を抑えつつ、文書の正確性が確保できる。
  • 揉めているなら弁護士:交渉や調停も含め、全体をサポートできる。

それぞれの役割と強みを理解した上で、状況に合った専門家を選ぶことが後悔のない第一歩です。

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離婚協議書に関するよくある質問

離婚協議書に関しては、多くの方が「これで合っているのか不安…」「どこまで自分で対応できる?」といった悩みを抱えています。
ここでは、離婚協議書にまつわる代表的な質問に対し、専門的かつわかりやすく回答します。

離婚協議書を自分で作成しても良い?

はい、法律上は自分で作成することが可能です。
ただし、将来的なトラブルを防ぐためにも、記載内容に漏れや曖昧さがないよう慎重に作成する必要があります。
特に財産分与や養育費、面会交流の条件など、重要な取り決めは明確に書くことが大切です。

離婚協議書を公正証書にするべき理由は?

最大の理由は「法的な強制力が得られる」からです。
特に養育費や慰謝料の支払いが滞った場合、公正証書にしておけば裁判を経ずに強制執行(差し押さえ)が可能です。
後のトラブルを回避し、支払いを確実にしたい場合には、公正証書化が強く推奨されます。

離婚協議書に含めるべき項目は何ですか?

離婚協議書には、以下のような項目を記載するのが一般的です。

  • 離婚の合意
  • 財産分与の内容
  • 慰謝料の有無と金額
  • 親権者の指定
  • 養育費の金額・支払方法・支払期間
  • 面会交流の方法・頻度・詳細
  • 年金分割の合意(該当する場合)
  • 公正証書化する場合はその旨

状況に応じて必要な項目を取捨選択し、抜け漏れがないようにしましょう。

協議書の内容に同意しない場合はどうする?

無理に署名・押印する必要はありません。
話し合いを続けても合意が得られない場合は、家庭裁判所での調停に進むことになります。
特に、親権や養育費などは合意が得られなければ、調停や審判で決定されます。

離婚後に協議書の内容を変更する方法は?

当事者双方が合意すれば、離婚協議書の内容は変更可能です。
ただし、公正証書にしていた場合は「変更契約書」などを改めて作成し、公証人の手続きが必要になります。
再度公正証書化することで、新たな条件にも法的効力が持たせられます。

いつまでに作成すればいい?

協議離婚の場合は、離婚届の提出前に作成しておくのが理想です。
離婚後でも作成は可能ですが、口約束や記憶違いによるトラブルが起こりやすくなるため、早めの文書化が望まれます。

署名・捺印は実印が必要?

協議書そのものは認印でも効力はありますが、公正証書にする場合は実印と印鑑証明書が必要です。
より信頼性を高める意味でも、協議書作成時から実印を使用することが推奨されます。

約束した支払いが滞ったら?

公正証書にしていれば、家庭裁判所を通さずに「強制執行(給与や財産の差し押さえ)」が可能です。
協議書だけの場合は、まずは内容証明郵便で支払いを促し、それでも支払われない場合は家庭裁判所での支払い命令や訴訟に進む必要があります。

まとめ:後悔しない離婚協議書で、安心の再出発を

離婚協議書は、後々のトラブルを防ぐための大切な書類です。
この記事で解説した書き方のポイントやテンプレートを参考に、お二人で決めた約束事をしっかりと形に残しましょう。

養育費や財産分与など、特に重要な項目や不安な点は、公正証書にすることや、弁護士などの専門家へ相談することも考えてみてください。

きちんと準備を整えることが、円満な解決と、あなたの新しいスタートにつながります。
まずはできることから、着実に進めていきましょう。

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養育費の公正証書作成で数万円補助の可能性

養育費補助支援

養育費を取り決め、実際に受け取っているひとり親は、全体のわずか24.3%にとどまります。
この養育費未払い問題に、各自治体ではさまざまな支援制度が用意されています。
養育費に関する公正証書作成補助として、神奈川県は上限4万円、横浜市は上限3万円、川崎市は上限5万円などです(2025年4月時点)
参考:全国自治体の養育費支援神奈川県の養育費支援

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