【事例あり】Webで離婚調停?オンライン化のメリットと手続きの流れ・注意点

【事例あり】Webで離婚調停?オンライン化のメリットと手続きの流れ・注意点 離婚の手続き

離婚調停のオンライン化が進む中、多くの人々がその利便性と実効性を求めています。

この記事では、オンライン離婚調停のメリットやデメリット、具体的な手続き方法、成功事例、費用、Web調停に関するよくある質問などをご紹介します。

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オンライン離婚調停とは?

オンライン離婚調停は、インターネットを利用して行われる離婚調停の形式のことです。
令和4年5月にこの導入を検討する改正案が可決され、全国の家庭裁判所に段階的な普及が始まっています。

離婚や家庭の問題は、対面での話し合いが主流でしたが、オンライン手続きの導入により、離婚調停がよりスムーズに進めるようになりました。

特に遠隔地に住んでいて裁判所へ出向くのが難しい人や、相手と直接会わずに調停を進めたい人には、このオンライン化は大きなメリットとなります。

オンライン調停を利用した理由
1.相手と同じ空間にいなくて済むから
2.新型コロナ感染症対策
3.遠方に住んでいた
4.移動時間省略のため
5.子どもを預ける場所がなかった
6.その他

画像引用:https://www.atpress.ne.jp/news/297038

実際にオンライン調停を利用した方の理由は、上記の通り。

「相手と同じ空間にいなくて済む」「コロナ対策」「遠方に住んでいた・移動時間省略」などの理由で多く利用されていることがわかります。

離婚調停のオンライン化の背景

これまで、離婚や家庭問題の調停手続きは、一部の進行協議などはオンラインで実施できる場合はあるものの、調停の手続きなどは対面での話し合いが主流でした。

ただし、それには遠方の裁判所まで出向くための時間・費用面でのコスト、当事者同士で顔を合わせなければいけない心理的なストレスなど、さまざまな負担がありました。

最近の調査によると、家事調停の申し立ては毎年約14万件(うち離婚調停は約2万件)
当然、家庭裁判所の受付・応対数にも限りがあるので、混雑によりなかなか調停期日が入らないということもしばしばあります。

そんななか、コロナの感染拡大で対面接触の回避を図る目的で、家事調停もオンライン化してWeb会議の利用が進み始め、今日に至ります。

オンライン離婚調停のメリット

従来の対面での手続きに比べ、オンラインでの手続きは、時間や場所の制約を受けにくくなりました。

特に、地域によっては裁判所が遠く、物理的な移動が難しいケースもあったため、このオンライン化は大きなメリットとして受け入れられています。

書類の電子化により、裁判所や弁護士とのやり取りもスムーズに行えるようになり、当事者の負担も大幅に軽減されることが期待されています。

時間面・費用面の負担が軽減される

遠隔地に住んでいる当事者同士や、なんらかの理由で外出が制限される場合に、オンラインでの離婚調停は大いに役立ちます

離婚調停は、原則として「相手方の住所地」を管轄する家庭裁判所に申し立て、手続き時はそこまで出向く必要があります。遠方の場合はとても大変ですよね。

オンラインならば裁判所にわざわざ出向く必要がなくなるので、時間的なコストが抑えられます。また場合によって自分の移動費のほかに弁護士の出張費も負担する必要があったため、経済面でもメリットがあります。

Web上での資料閲覧・提出・手続きができる

書類や関連資料の提出、閲覧がインターネットを通じて行えるので、当事者双方の手間や負担が大幅に削減されます

また、提出された書類の確認や内容の共有もリアルタイムで行えるため、従来の対面での手続きに比べ、スピーディーな進行が可能です。

ただし資料を手軽に見られることは、ときに相手方に知られたくない情報まで見られてしまうことにもつながりかねません。

そのような場合に備え、性犯罪やDV(家庭内暴力)を受けた被害者が提訴する場合は、安全確保のために訴状などに住所や氏名を記載しなくてよい制度も設けられる予定です。

安全確保、心理的な安心感がある

従来の手続きは、当事者双方が顔を突き合わせて行う必要がありました。相手と会わなければならないので、場合によってはリスクや不安が付きまとうことも考えられます。

犯罪やDVが絡むケースでは、裁判所が待合室を物理的に離して用意してくれることもありますが、裁判所の外で待ち伏せされたり、ストーカーされたりする可能性もないとは言い切れません

調停の前日は心配で寝られなかった、という方もいらっしゃいます。

その点では、オンラインなら相手と直接会う必要はないため、上記のような不安は払しょくされるでしょう

オンライン離婚調停のデメリット・課題

ここまでみると、非常に便利に思える仕組みですが、オンライン化にはデメリットもあります。

セキュリティの問題や、情報のプライバシーを保護するための新しいルール作りなど、まだ解決すべき課題が多いのも事実です。

録音・録画による情報漏えい

オンライン上で話し合った内容がこっそり録音・録画され、SNS等にアップされるなどの懸念があります。特に離婚調停の場は感情的な言い合いになることも多く、相手が腹いせにネットにアップした、ということも起こりかねません。

同席する弁護士や調停委員側に確認しつつ、個人の会議ツールではなく機関が用意するセキュリティ度の高いツールを使うなどの対策は考えられますが、手元のスマートフォンなどで録音される可能性などもゼロではないことに注意しましょう。

第三者の同席や、なりすましの可能性

対面での調停では、物理的に誰が参加しているかを確認することが容易ですが、オンライン上ではその確認が難しくなります。

例えば、当事者の背後に第三者が存在している可能性、弁護士や裁判官などの関係する人が「なりすまし」である可能性などが考えられます。

専用のID・パスワードの発行や顔認証などの対策はありつつも、本人確認や本人以外の第三者が同席していないかどうかの確認にはどうしても限界があります。

技術的な課題・対面でのメリットが損なわれる

インターネット環境がない人はそもそもの環境整備から求められるため、ITやインターネットにあまり詳しくない方にとっては技術的なハードルを感じるかもしれません。

また「裁判所に出廷して、実際に会って話して解決につながった」という事例もあり、そういった直接手続きならではのメリットも失われかねないのは事実として考えられます。

オンライン離婚調停の手続きと準備

オンライン調停の流れ

  1. 調停の申し立て
  2. 日程調整・通知
  3. オンラインツールの準備
  4. 調停の実施
  5. 合意成立・書面作成

1. 調停の申し立て
まず、離婚調停を希望する旨を裁判所に申し立てます。
この際、オンライン調停を希望することを明記します。申し立てには、必要な書類(夫婦の基本情報、離婚の理由、解決したい問題など)を提出します。

2. 日程の調整と通知
裁判所が申し立てを受理すると、調停の日程が決定されます。
裁判所は、双方の当事者と調停委員のスケジュールを調整し、オンライン調停の日時と使用するウェブ会議ツール(Zoom、Microsoft Teamsなど)について通知します。

3. オンラインツールの準備
通知を受けた当事者は、指定されたウェブ会議ツールを事前にダウンロードし、インストールします。
インターネット接続が安定していることを確認し、カメラとマイクの動作をチェックします。

4. 調停の実施
調停当日、指定された時間にウェブ会議ツールにログインします。
調停は通常、数回に分けて行われ、各セッションで調停委員が双方の意見を聞き取り、合意形成をサポートします。
ウェブ会議の特性を活かし、チャット機能を利用して質問や確認を行うことができます。

5. 合意の成立と書面の作成
調停の結果、双方が合意に達した場合、その内容を基に調停調書が作成されます。
この調書は法的な効力を持ち、後日裁判所から正式に交付されます。オンライン調停であっても、調書の作成と交付は対面調停と同様に行われます。

オンライン調停のための準備

1. 必要な書類の準備
オンライン調停に必要な書類は、対面調停と同様です。
夫婦の基本情報、離婚の理由、財産分与や養育費、親権などに関する希望を明記した書類を事前に準備し、裁判所に提出します。

特に初回調停では、双方の意見や希望を確認するための質問が行われます。具体的には、以下のような質問が想定されるのであらかじめ用意しておくとよいでしょう。

  • 離婚の理由
  • 財産分与や養育費の希望
  • 子供の親権についての意向

2. ウェブ会議ツールの確認
調停に使用するウェブ会議ツール(Zoom、Microsoft Teamsなど)のダウンロードとインストールを行います。
事前にツールの操作方法を確認し、インターネット接続が安定していることを確認します。カメラとマイクの動作確認も行い、問題がないかチェックします。

3. 事前練習
実際の調停前に、ウェブ会議ツールを使用してリハーサルを行います。
友人や家族と一緒に練習することで、本番でのトラブルを防ぎます。また、カメラの位置や照明、背景が適切かどうかも確認します。

4. 心理的な準備
オンライン調停は、対面調停とは異なる緊張感があります。リラックスして臨むために、事前に深呼吸や軽い運動を行い、心身を整えておきます。
必要なら、調停の進行について弁護士やカウンセラーと相談し、不安を軽減します。

5. 質問や確認事項のリスト作成
調停中に確認したい事項や質問を事前にリストアップしておきます。これにより、調停がスムーズに進み、重要なポイントを漏らさずに済みます。

オンライン調停の成功事例と失敗事例

オンライン調停の成功事例と失敗事例をいくつか見ていきましょう。
※一部、電話会議による調停事案も含まれます。

成功例1. 遠距離夫婦の合意形成

ケース概要:
AさんとBさんは、仕事の都合で異なる地域に住んでいました。離婚調停を行うために、双方が頻繁に移動することが難しく、オンライン調停を選択しました。
成功の要因:
オンラインでの調停により、移動時間と費用を削減できたことが大きなメリットでした。また、ウェブ会議ツールを利用してスムーズにコミュニケーションを図り、双方の合意に至りました。
結果:
双方が納得する形で財産分与と養育費について合意し、無事に調停が成立しました。

成功例2. 子供がいる家庭での調停

ケース概要:
CさんとDさんには未成年の子供がおり、対面での調停が難しい状況でした。オンライン調停を通じて、子供の世話をしながら調停に参加しました。
成功の要因:
自宅から参加できるため、子供の世話をしながらでも調停に集中できました。また、子供の親権や養育費についての話し合いがスムーズに進みました。
結果:
双方が納得する形で親権と養育費について合意し、調停が成立しました。

失敗例1. 技術的トラブルによる進行の遅れ

ケース概要:
EさんとFさんは、オンライン調停の当日にインターネット接続が不安定で、頻繁に通信が途切れる問題が発生しました。
失敗の要因:
インターネット接続の不安定さと、ウェブ会議ツールの操作に不慣れだったことが原因で、調停の進行が大幅に遅れました。
結果:
調停が何度も中断され、双方のフラストレーションが高まり、最終的には合意に至らず、対面での再調停が必要となりました。

失敗例2. コミュニケーションの不備

ケース概要:
GさんとHさんは、オンライン調停中にお互いの意見がうまく伝わらず、誤解が生じました。
失敗の要因:
画面越しでは表情やトーンが伝わりにくく、重要なポイントが見落とされてしまいました。また、調停委員とのコミュニケーションもうまく取れませんでした。
結果:
誤解が解消されず、合意に至らなかったため、再度調停を行うことになりました。

オンライン離婚調停が利用されるケース

上記のメリット・デメリットや事例を踏まえると、以下のような場合はオンラインでの離婚調停が比較的適しているといえるでしょう。

ただし当事者双方の意見をすり合わせて決めることが重要なため、合意のプロセスはきちんととることを推奨します。

  • 遠距離に住んでいる夫婦の場合
  • 健康上の理由で外出が難しい場合
  • 多忙なスケジュールを持つビジネスパーソンの場合
  • 小さな子供がいる場合
  • プライバシーを重視する場合

オンライン離婚調停のFAQ

Web調停で離婚が成立するか?

Web調停でも離婚は成立します。

オンラインでの調停は、対面調停と同じ法的効力を持ちます。調停が成功し、双方が合意に達した場合、その内容を基に調停調書が作成され、これが法的に有効な離婚合意書となります。

調停調書は、離婚の条件(財産分与、養育費、親権など)を明確にし、後日裁判所から正式に交付されます。

オンラインでのコミュニケーションのコツは?

Web会議などを経験されたことのある方はわかるかもしれませんが、オンラインでは直接対話と異なり、相手や自分の意思がうまく伝わらないこともあります。

オンライン上でのコミュニケーションには準備を整え、対面の会話よりも冷静かつ丁寧に伝えるよう意識することが重要です。

  • カメラの位置と照明:
    カメラは顔がしっかり映る位置にセットし、適切な照明で表情が見えるようにします。背後に強い光があると顔が暗くなるので、前方からの照明を意識しましょう。
  • 音声の確認:
    マイクとスピーカーの音声がクリアに聞こえるか事前に確認し、雑音を防ぐために静かな場所で参加します。ヘッドセットを使用すると、音声の品質が向上します。
  • 視線の注意:
    話している時はカメラに向かって話します。画面を見ながら話すと、相手には視線が合っていないように見えます。
  • 発言のタイミング:
    相手の発言が終わるのを待ってから話し始めることで、相手の話を遮らずにスムーズな会話ができます。また、重要なポイントを話す時は、ゆっくりと明確に話すように心がけましょう。
  • チャット機能の活用:
    言葉で伝えにくい部分や確認事項は、チャット機能を活用してテキストで補足することも有効です。

オンライン離婚調停中にやってはいけないことって?

オンライン離婚調停中には、以下の点に注意して行動することが重要です。

  • 中断や遅刻:
    調停の進行を妨げることは避けましょう。調停中はインターネット接続を安定させ、事前に準備を整え、時間通りに参加することが求められます。
  • 第三者の同席:
    調停はプライベートな問題を扱うため、第三者の同席は避けるべきです。ただし、弁護士の同席は可能です。
  • 不適切な言動:
    感情的にならず、冷静に話すことが重要です。調停委員や相手方に対して敬意を持って対応しましょう。
  • 書類の不備:
    必要な書類を事前に準備し、漏れや不備がないように確認しておくことが重要です。

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