離婚という人生の大きな岐路に立ち、
「子どもを守りたいけど、親権を取れるか不安…」
「母親なのに親権が取れないケースもあるって本当?」
こんな不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
離婚後も子どもと安定した生活を送るためには、親権問題にしっかりと向き合う必要があります。
法律に基づいた手続きを理解し、子どもの最善の利益を最優先に考えることが重要です。
まずは、正しい情報を知ることから始めましょう。
この記事を読めば、親権問題に関する疑問や不安を解消し、具体的な対策を立てることができるはずです。
この記事では、離婚を考えている母親に向けて、以下について離婚問題に特化した専門家の知見を交えて解説しています。
- 親権争いで母親が不利になるケース
- 親権者の判断基準
- 経済力や離婚原因の影響
- 子どもと一緒に別居するときのポイント
親権争いで母親が不利になる5つケース
離婚における親権争いは、母親にとって大きな不安要素となるでしょう。
特に「母親だから当然親権は自分に」と考えていると、予想外の結果になる可能性があります。
実際、母親であっても親権争いで不利になるケースが存在します。
以下では、母親が親権争いで不利になりやすい5つのケースについて詳しく解説していきます。
(1)母親がDV虐待や育児放棄(ネグレクト)をしている
子どもへのDV(家庭内暴力)や虐待、育児放棄(ネグレクト)は、親権を失う大きな要因となります。
これは、家庭裁判所が「子どもの最善の利益」を最優先事項として判断するためです。
例えば、身体的な暴力はもちろん、暴言や無視といった精神的な虐待も親権に悪影響を及ぼします。
また、食事を与えない、清潔を保たないといった育児放棄も深刻な問題です。
「自分は大丈夫」と思っていても、客観的に見て問題となるケースもあるかもしれません。
DVや虐待、ネグレクトの証拠を父親が裁判所に提出した場合、親権は父親になる可能性が高くなります。
子どもの安全と健全な成長を確保するためにも、DVや虐待、育児放棄は絶対に避けなければなりません。
(2)母親が精神疾患で育児ができない
母親が精神疾患を抱えており、育児が困難な場合も親権争いで不利になります。
精神疾患の種類や程度にもよりますが、日常生活に支障が出るほどの症状がある場合は、子どもを適切に養育できないと判断される可能性があります。
例えば、重度のうつ病で日常生活に支障が出ていたり、統合失調症で幻覚や妄想に悩まされている場合は、育児に深刻な影響が出かねません。
「いつか良くなるだろう」と考えていても、現状で育児が難しい場合は、親権を得るのは困難になるでしょう。
精神疾患を抱えている場合は、医師の診断書や治療状況などを裁判所に提出することで、状況を理解してもらう努力が必要です。
また、家族や支援機関の協力を得て、育児環境を整えることも重要となります。
(3)子どもが父親と暮らすことを望んでいる
子どもが一定の年齢に達し、自分の意思を明確に伝えられる場合は、その意思が親権の決定に影響を与えます。
一般的に15歳以上の子どもの意思は尊重される傾向にあり、子どもが父親と暮らしたいと強く希望する場合は、母親が親権を得るのは難しくなるでしょう。
「子どもはまだ幼いから大丈夫」と考えているかもしれません。
しかし、子どもは年齢に関わらず、自分の気持ちをしっかり持っています。
日頃から子どもとコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが大切です。
(4)父親に育児をまかせている
母親が仕事などで忙しく、父親が主に育児を担当している場合、父親が親権を持つ可能性が高まります。
家庭裁判所は、これまでの監護の実績を重視するためです。
例えば、母親がフルタイムで働き、父親が家事や育児を担っている場合、父親の方が子どもとの生活に密着していると言えるでしょう。
「仕事で忙しいのは仕方がない」という理由だけでは、親権を得ることは難しいかもしれません。
育児への積極的な関与を示すことが大切です。
(5)離婚時に子どもが父親と一緒に暮らしている
離婚時に既に子どもが父親と一緒に暮らしている場合、その状態が継続される可能性が高くなります。
生活環境の急激な変化は、子どもにとって大きな負担となるためです。
例えば、別居後、子どもが父親の元で安定した生活を送っている場合、親権が母親に変更される可能性は低いでしょう。
「いずれ子どもを取り戻せる」と考えている方もいるかもしれませんが、現状を覆すのは容易ではありません。
別居後も子どもとの継続的な関わりを持ち、良好な関係を維持する努力が重要です。
親権者の判断基準7つ
離婚における親権争いは、子どもの将来を左右する重要な問題です。
「親権はどのように決まるのか」「自分に有利な要素は何なのか」など、様々な疑問や不安を抱えている方もいるかもしれません。
親権者を決定する際には、家庭裁判所がいくつかの基準に基づいて判断します。
ここでは、親権者の判断基準7つについて、詳しく解説していきます。
(1)母性優先の原則
かつては、幼い子どもを持つ場合は母親が親権者となる「母性優先の原則」がありました。
しかし、現在ではこの原則は否定されており、父親が親権者となるケースも増えています。
「母親だから有利」と考えるのは誤りです。
子どもの福祉を最優先に考え、どちらの親がより適切に養育できるかを判断することが重要になります。
(2)子どもの意思の尊重
子どもが15歳以上である場合、その意思は親権の決定に大きな影響を与えます。
家庭裁判所調査官との面談などを通して、子どもの意思が確認されます。
15歳未満であっても、子どもの意思は無視されません。
年齢や発達段階に応じて、できる限り子どもの気持ちを尊重する努力が求められます。
(3)兄弟姉妹不分離の原則
兄弟姉妹がいる場合、特別な事情がない限りは、同じ親が親権者となることが一般的です。
兄弟姉妹が別々の親に引き取られることで、精神的な負担が生じる可能性があるためです。
例えば、兄妹がそれぞれ父親と母親に引き取られることになると、お互いに寂しさを感じたり、疎遠になってしまうかもしれません。
兄弟姉妹の関係性を維持するためにも、一緒に暮らせる環境が望ましいと考えられます。
(4)監護の実績・監護能力・監護補助者の有無
これまで実際に誰が子どもの世話をしていたのか、監護の実績は非常に重要な判断基準となります。
また、親の監護能力、例えば、食事や生活習慣の管理、教育への関心なども評価されます。
さらに、祖父母など、育児をサポートしてくれる監護補助者の有無も考慮されます。
例えば、母親が仕事で忙しく、祖父母が主に育児を担ってきた場合、祖父母が監護補助者として認められ、母親の親権に有利に働く可能性があります。
日頃から子どもの世話を積極的に行い、監護能力の高さを示すことが大切です。
(5)虐待の有無
子どもに対する虐待の有無は、親権を決定する上で非常に重要な要素です。
身体的虐待だけでなく、心理的虐待やネグレクトも親権に悪影響を及ぼします。
虐待の事実が認められた場合、加害者である親は親権を失う可能性が非常に高くなります。
子どもを守るためにも、虐待は絶対に許される行為ではありません。
(6)育児のサポート体制
子育てには、経済的な基盤だけでなく、精神的な支えも重要です。
親族や友人、地域社会など、育児をサポートしてくれる体制が整っているかどうかも判断材料となります。
例えば、母親がシングルマザーで経済的に不安定な場合でも、親族が子育てを支援してくれる体制があれば、親権獲得の可能性は高まるでしょう。
周りの協力を得ながら、安定した育児環境を築けるかどうかが重要です。
(7)面会交流の寛容性
親権者にならなかった親にも、子どもと面会交流する権利があります。
面会交流に対して、どの程度協力的で寛容な姿勢を示せるかどうかも、親権者の判断基準の一つとなります。
「子どもに会わせたくない」という気持ちもあるかもしれませんが、子どもの健全な成長のためには、両親との良好な関係が不可欠です。
面会交流に前向きな姿勢を示すことが、親権獲得にプラスに働く可能性があります。
経済力や離婚原因は親権決定に影響する?
離婚の際、親権がどうなるかは多くの母親にとって大きな関心事です。
「経済力がなくて不安」「離婚原因が不利に働くのでは…」など、様々な悩みを抱えている方もいるでしょう。
実際に、内閣府男女共同参画局が発表した「男女共同参画白書2022年度版 離婚時の就業状況」を見てみると、男性は「正社員」が85%ですが、女性は「パート・アルバイトなど」が36.6%と「不就業(主婦など)」は24.2%と3番目に多い数値です。
参考:内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書2022年度版 離婚時の就業状況」
経済力や離婚原因は、親権決定に直接的な影響を与えるとは限りません。
しかし、間接的に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
以下で詳しく解説していきます。
無職の母親の場合
「無職だと親権を取れないのでは…」と不安に思う母親もいるかもしれません。
しかし、無職であること自体が親権取得の決定的な不利にはなりません。
家庭裁判所は、子どもの最善の利益を最優先に考えます。
そのため、無職であっても、将来の就労意欲や具体的な就労計画を示すことで、親権を獲得できる可能性は十分にあります。
例えば、資格取得に向けて勉強中である、就職活動に積極的に取り組んでいるといった具体的な行動を示すことが重要です。
また、親族からの経済的支援や公的扶助の受給見込みなども、生活基盤の安定性を示す材料となります。
「今は無職だけれど、子どもを育てる覚悟は誰にも負けない」という強い意志を示すことが大切です。
母親が不倫・浮気した場合
不倫や浮気が離婚原因の場合、「親権を失ってしまうのでは…」と心配する母親もいるでしょう。
確かに、不貞行為は夫婦間の信頼関係を大きく損なう行為であり、マイナスに評価される可能性は否定できません。
しかし、不倫や浮気自体が親権剥奪の直接的な理由となるわけではありません。
家庭裁判所は、不貞行為と子どもの養育環境を分けて判断します。
不倫や浮気が子どもの生活環境に悪影響を与えていないか、子どもへの愛情や関心に変化がないか、といった点が重視されます。
反省の態度を示し、子どもにとって最善の養育環境を提供できることをアピールすることが重要です。
「過去の過ちを反省し、子どもにとって良い母親になる」という決意を示すことが大切です。
専業主婦が親権を獲得不利・有利になる事例
専業主婦の場合、「育児経験が豊富だから有利」と考える一方で、「経済力が不安」と感じる母親もいるでしょう。
専業主婦であること自体は、親権争いにおいて有利にも不利にもなりません。
重要なのは、これまでの育児への貢献度や、離婚後の生活設計です。
例えば、長年専業主婦として子どもの世話を一手に担ってきた実績は、親権獲得に有利に働きます。
一方、離婚後の経済的な不安定さは、親権争いにおいて不利な要素となる可能性があります。
そのため、離婚後の就労計画や住居の確保など、具体的な生活設計を明確にすることが重要です。
「離婚後も安心して子どもを育てられる環境を整える」という具体的なプランを示すことが、親権獲得の鍵となるでしょう。
子どもと一緒に別居するときの3つのポイント
離婚に向けて、子どもと一緒に別居することを考えている母親も多いでしょう。
「子どもと一緒に暮らしたい」「でも、どうすればいいの?」など、不安や疑問を感じている方もいるかもしれません。
子どもと一緒に別居する際には、いくつかの注意点があります。
ここでは、子どもと一緒に別居するときの3つのポイントについて、詳しく解説していきます。
(1)「連れ去り」はNG
子どもと一緒に別居する場合、最も注意すべき点は「連れ去り」とみなされないようにすることです。
夫婦間で親権についての話し合いがまとまっていない状態で、子どもを無断で連れ出す行為は、違法となる可能性があります。
例えば、父親に無断で子どもを連れて実家に帰ってしまうと、連れ去りとみなされる可能性があります。
「子どもを守りたい」という一心でも、法律に反する行為は避けるべきです。
事前に父親と話し合い、同意を得ることが重要です。
話し合いが難しい場合は、弁護士や家庭裁判所に相談しましょう。
(2)子どもの意思を確認する
子どもが一定の年齢に達している場合は、別居について子どもの意思を確認することが重要です。
特に15歳以上の子どもの意思は、親権決定において大きな影響力を持つため、無視することはできません。
「まだ幼いから分からないだろう」と考えている方もいるかもしれませんが、子どもは年齢に関わらず、自分の気持ちを持っています。
子どもの気持ちを尊重し、丁寧に説明する努力が大切です。
子どもが別居に反対する場合、その理由をしっかり聞き、対応策を考える必要があります。
(3)別居後に婚姻費用を請求できる
別居後、生活費に不安を抱えている母親もいるでしょう。
別居中は、夫婦間で生活費を分担する義務があり、収入の少ない側、もしくは無収入の側は、相手に対して婚姻費用を請求することができます。
婚姻費用には、生活費、教育費、医療費などが含まれます。
請求額は、夫婦の収入や子どもの年齢などを考慮して決定されます。
「生活費が足りない…」と悩んでいる方は、婚姻費用分担請求調停を家庭裁判所に申し立てることができます。
弁護士に相談することで、スムーズな手続きが期待できるでしょう。
よくある質問
離婚と親権に関する問題には、多くの疑問や不安がつきものです。
「子どもは親権者を選べるの?」「親権は母親の方が有利?」など、様々な質問が寄せられます。
ここでは、離婚と親権に関するよくある質問について、一つずつ丁寧に解説していきます。
子どもが親権者を選べる年齢はある?
法律で明確に定められた年齢はありませんが、15歳以上の子どもの意思は、親権決定において非常に重視されます。
家庭裁判所調査官との面談などを通して、子どもの意思が確認されます。
15歳未満であっても、子どもの年齢や発達段階に応じて、できる限り意思を尊重するよう努められます。
「子どもはまだ小さいから…」と思わず、日頃から子どもの気持ちを丁寧に聞き取ることが大切です。
親権は母親の方が有利?
かつては「母性優先の原則」がありましたが、現在では否定されています。
親権は、子どもの最善の利益を最優先に考えて決定されます。
そのため、母親であること自体が有利になるわけではありません。
父親が親権者となるケースも増えています。
「母親だから大丈夫」と安易に考えるのではなく、子どもの養育環境を客観的に評価することが重要です。
親権を獲得するのに離婚原因は関係がありますか?
離婚原因は、親権決定に直接的な影響を与えるとは限りません。
例えば、不倫や浮気が離婚原因であっても、それが親権剥奪の直接的な理由となるわけではありません。
しかし、離婚原因が子どもの養育環境に悪影響を与えている場合は、親権決定に影響する可能性があります。
例えば、DVや虐待が原因で離婚する場合は、加害者である親は親権を失う可能性が高くなります。
親権が獲得できなければ離婚後に子供に会うことはできませんか?
親権がなくても、子どもと面会交流する権利はあります。
面会交流は、子どもの健全な成長にとって重要だと考えられています。
面会交流の方法や頻度は、家庭裁判所での調停や審判で決定されます。
「子どもに会えなくなるのでは…」と不安な方もいるかもしれませんが、面会交流を通して子どもとの繋がりを維持することは可能です。
母親が親権者になった場合、子供の戸籍はどうなりますか?
母親が親権者になると、子どもの戸籍は母親の戸籍に入ります。
もし母親が再婚した場合、子どもの戸籍は新しい夫の戸籍に移ります。
ただし、子どもの戸籍は親権者の変更によって自動的に変わるわけではありません。
戸籍の移動には、家庭裁判所への手続きが必要です。
離婚後に親権者が死亡してしまった場合はどうなりますか?
親権者が死亡した場合、もう一方の親が親権者になるのが一般的です。
しかし、もう一方の親にも問題がある場合は、祖父母や親族、あるいは児童養護施設などが親権者となる可能性もあります。
親権者の死亡は、子どもにとって大きな精神的負担となります。
万が一の場合に子どもが安心して暮らせるよう、事前に親族や信頼できる人物に相談しておくことが大切です。
まとめ:離婚後も子どもと幸せに暮らすために、今できること
今回は、離婚し、親権について悩んでいる母親に向けて、数多くの離婚案件を経験してきた専門家の視点から以下についてお話してきました。
- 親権争いで母親が不利になるケース
- 親権者の判断基準
- 経済力や離婚原因の影響
- 子どもと別居する際のポイント
離婚における親権問題は、母親にとって大きな不安要素でしょう。
特に、子どもの将来を考えると、親権を得られるかどうかは重要な問題です。
しかし、適切な準備と対応をすることで、親権獲得の可能性を高めることができます。
焦りや不安に押しつぶされそうになることもあるかもしれません。
しかし、諦めずに、一歩ずつ着実に進んでいきましょう。
あなたには、子どもを守り、幸せな未来を築く力があります。
これまで、子育てに懸命に励み、子どもとの絆を育んできたあなたの努力は、決して無駄ではありません。
その経験と愛情は、あなたにとって最大の武器となるはずです。
離婚は人生の大きな転換期ですが、必ず乗り越えられます。
前向きな気持ちで、新たなスタートを切りましょう。
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