「別居したいけれど、生活費はどうなるの…?」
「収入が少ないのに、別居後の生活をやっていけるのかな…」
このような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
夫婦の関係がうまくいかず、別居を考えているものの、生活費のことを考えると踏み出せない…。
特に、収入に差がある場合や子供がいる家庭では、生活費の負担がどのように決まるのか気になるはずです。
婚姻費用(別居中の生活費)は、夫婦の収入や家族構成によって異なります。
話し合いで決められれば良いですが、相手が支払いを拒否したり、適正な金額が分からなかったりするケースもあります。
しかし、適切な手続きを踏めば、法的に生活費を確保することができます。
この記事では、別居を考えている方に向けて、主に以下のポイントについて詳しく解説します。
- 別居中の生活費(婚姻費用)の相場と算出方法
- 生活費を請求する具体的な方法と手続きの流れ
- 支払いを拒否された場合の対処法
生活費の不安を解消し、安心して新たな一歩を踏み出すために、ぜひ参考にしてください。

夫婦の場合、別居中の生活費(婚姻費用)の支払い義務がある
別居を考えたときに、最も気になるのが「生活費はどうなるのか?」という点でしょう。特に、専業主婦や収入の少ない配偶者にとっては、生活の基盤が揺らぐ大きな問題です。婚姻費用は、夫婦が別居していても支払い義務があるとされています。
別居中の生活費は「婚姻費用」として、収入の多い配偶者が負担するのが原則です。
夫婦が婚姻関係にある限り、生活費を分担する義務があるためです。
つまり、別居したとしても、一方の配偶者が経済的に困窮することのないようにする仕組みが整えられています。
以下で詳しく解説していきます。
婚姻費用とは
婚姻費用とは、夫婦が婚姻関係を維持するために必要な生活費のことを指します。
具体的には、食費や住宅費、医療費、教育費など、日常生活を送る上での費用が含まれます。
夫婦には互いに扶養義務があり、別居しても生活費の分担義務が続くことが明確にされています。
そのため、収入が多い側が、収入が少ない側に対して一定額を支払うことが一般的です。
「別居しているのに、なぜ生活費を払う必要があるの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、婚姻関係が続いている限り、法律上の扶養義務があるため、経済的に不公平が生じないようにする目的で、婚姻費用の支払いが求められるのです。
別居中にもらえる婚姻費用の相場
婚姻費用の金額は、夫婦の収入差を考慮して決定されます。基本的には、家庭裁判所が公開している「婚姻費用算定表」が参考にされることが多く、この表を基に適切な額を算出します。
例えば、以下のように収入や家族構成によって異なります。
夫の年収が600万円・妻が専業主婦の場合:婚姻費用の相場は月10~12万円程度
夫の年収が800万円・妻の年収が200万円の場合:婚姻費用の相場は月6~8万円程度
また、子供がいる場合は養育費も考慮され、婚姻費用の金額に上乗せされる形となるため、夫婦のみのケースよりも高額になる傾向があります。
婚姻費用の金額の決め方・計算
婚姻費用は、夫婦間の話し合いで決めるのが基本ですが、合意が難しい場合は家庭裁判所の調停を利用して決定します。
以下の婚姻費用のシュミレーションからもカンタンに算出することができます。
子どもがいない場合
子どもがいない夫婦の婚姻費用は、夫婦の収入差を基に算定されます。
夫の収入が600万円、妻がパートで年収100万円の場合
一般的な計算では月8万円前後が支払われるケースが多いです。
子どもが1人いる場合
子どもがいる場合は、婚姻費用の中に養育費も含まれます。
夫の年収600万円、妻の年収100万円、子どもが1人(5歳)の場合
婚姻費用は月12~14万円程度になることが一般的です。
子どもが2人いる場合
子どもが2人いる場合は、教育費や生活費の負担が増えるため、婚姻費用の金額も高くなります。
夫の年収600万円、妻の年収100万円、子ども2人(7歳・4歳)の場合
婚姻費用は月15~18万円程度になることが多いです。
婚姻費用を請求できる期間
婚姻費用は、請求した時点から支払い義務が発生します。
つまり、別居を開始した時点ではなく、婚姻費用の請求をした日から適用されるため、早めの対応が重要です。
婚姻費用の請求方法には、以下のような方法があります。
「別居したのに生活費が支払われない…」と不安を感じる方は、まずは相手と話し合い、それでも解決しない場合は家庭裁判所に調停を申し立てることを検討するとよいでしょう。
別居中の婚姻費用を請求する6つの方法・流れ
「別居したいけれど、生活費がどうなるか不安…」そう感じている方も多いのではないでしょうか。
別居中の生活費(婚姻費用)は、夫婦の収入や家族構成によって決まり、請求するための方法もいくつか存在します。
婚姻費用とは、夫婦が別居しても一定の生活水準を維持するために、収入の多い側が支払う費用のことです。
話し合いで決まればスムーズですが、合意が得られない場合は公正証書の作成や調停の申立てなど、法的な手続きを取る必要があります。
ここでは、婚姻費用を請求する具体的な方法について、順を追って解説していきます。
①夫婦間での話し合い
まず最初に試みるべきは、夫婦間での話し合いです。
お互いの経済状況や支払い可能な金額をすり合わせ、合意に至ればスムーズに婚姻費用を受け取ることができます。
婚姻費用は、収入差や子どもの人数によって金額が決まるため、公平な負担割合を意識することが大切です。
しかし、夫婦関係が悪化している場合、冷静に話し合うことが難しいケースもあります。
その場合は、第三者を交えての協議や、次のステップに進むことを検討しましょう。
②合意書を作成する
話し合いで婚姻費用の支払いについて合意できた場合、その内容を文書に残すことが重要です。
口約束では支払いが滞る可能性があるため、後々のトラブルを防ぐためにも「合意書」を作成しておきましょう。
合意書には、以下の内容を明記すると安心です。
合意書は夫婦間での取り決めとして有効ですが、法的な強制力はありません。
確実に支払いを受けたい場合は、次の「公正証書の作成」を検討しましょう。
③合意内容を公正証書にする
婚姻費用の支払いを確実にするためには、公正証書の作成が有効です。
公正証書とは、公証役場で公証人が作成する文書で、法的な強制力を持ちます。
公正証書を作成しておけば、万が一相手が支払いを怠った場合でも、裁判を経ずに財産の差し押さえ(強制執行)が可能になります。
作成の際は、夫婦双方が公証役場に出向き、公証人の立ち会いのもとで手続きを進めます。
ただし、公正証書の作成には費用がかかります。
費用は内容や金額によって異なりますが、婚姻費用に関する公正証書の場合、数万円程度が相場です。


④内容証明郵便を送る
相手が話し合いに応じない場合や、支払いを拒否する場合は、内容証明郵便を送る方法があります。
内容証明郵便とは、「いつ・誰が・どのような内容の文書を送ったか」を日本郵便が証明してくれる郵便のことです。
この方法を取ることで、相手に対し正式な請求の意思を示せます。
特に「支払い義務があることを相手に認識させる」点で効果的であり、心理的な圧力にもなるため、多くの場合、支払い交渉が前進します。
内容証明郵便には、以下のような内容を記載しましょう。
この方法でも支払いが行われない場合は、家庭裁判所で調停を申し立てる必要があります。
⑤婚姻費用分担請求調停を申し立てる
話し合いや内容証明郵便でも解決しない場合、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てることができます。
調停では、裁判所が夫婦の収入や生活状況を考慮し、適切な金額を決定します。
調停の申し立ては、相手の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。
手続きの流れは以下の通りです。
- 必要書類(収入証明や家計収支表など)を準備し、家庭裁判所に提出する
- 調停期日が決まり、双方が調停委員と話し合う
- 双方が合意すれば調停成立、不成立なら審判へ
調停が成立すれば、相手は裁判所の決定に従って婚姻費用を支払う義務が生じます。
調停でも解決しない場合は、裁判官が最終判断を下す「審判」に進むことになります。
⑥弁護士に婚姻費用の請求を依頼する
調停や審判を視野に入れる場合、弁護士に相談することも一つの手段です。
弁護士に依頼すると、適正な婚姻費用の金額を算出し、代理で交渉や調停の手続きを進めてもらうことができます。
特に、相手が高圧的だったり、弁護士を立ててきたりする場合は、こちらも弁護士を付けることで対等な立場で交渉が可能になります。
また、収入が低く弁護士費用を支払うのが難しい場合は、日本司法支援センター(法テラス)を利用し、費用の立替制度を活用できる可能性があります。
弁護士費用は依頼内容によって異なりますが以下が相場です。ただし、支払いが確定すれば安定した生活費を確保できるため、検討する価値は十分にあるでしょう。

別居中に生活費(婚姻費用)が未払いにないために注意すべきこと
別居中の生活費、つまり婚姻費用は、別居によって経済的に困窮する側を守るための大切な制度です。
しかし、せっかく合意した婚姻費用が支払われない…という事態も起こりえます。
「きちんと支払ってもらえるか不安だ…」と心配な方もいるでしょう。
婚姻費用を確実に受け取るためには、事前の対策と、未払い発生時の対応を理解しておくことが重要です。
未払いを防ぐためのポイントを押さえて、安心して別居生活を送れるように準備しておきましょう。
以下では、別居中に婚姻費用が未払にならないための注意点について、詳しく解説していきます。
(1)婚姻費用に関する合意内容を公正証書化する
婚姻費用について夫婦間で合意した場合は、その内容を公正証書化することを強くおすすめします。
口約束だけでは、後々「言った」「言わない」の水掛け論になってしまう可能性があります。
「言った言わない」のトラブルを避けるためにも、公正証書は有効な手段と言えるでしょう。
公正証書とは、公証役場が作成する公文書です。
公正証書には、法的な強制力があり、万が一相手が支払いを拒否した場合でも、裁判を経ずに強制執行手続きを取ることができます。
強制執行が可能になることで、スムーズに婚姻費用を受け取れる可能性が高まるはずです。
(2)支払いが滞ったら強制執行を申し立てる
もし婚姻費用の支払いが滞ってしまった場合は、速やかに強制執行を申し立てましょう。
公正証書を作成していれば、裁判所への申し立てによって、相手の給与や預金などを差し押さえることができます。
「どうしよう…」と悩んでいるだけでは、状況は改善しません。
強制執行は、相手にとって大きなペナルティとなるため、支払いを再開するよう促す効果が期待できます。
ただし、強制執行には一定の手続きと費用が必要となるため、事前に弁護士に相談しておくと安心です。
専門家のサポートを受けることで、スムーズに手続きを進められるでしょう。

離婚に向けて準備
別居は、必ずしも離婚に繋がるわけではありません。
しかし、別居中に離婚を決意するケースも少なくありません。
「離婚も視野に入れておいた方がいいのかな…」と漠然と考えている方もいるでしょう。
別居中に離婚に向けて準備を進めておくことで、いざという時にスムーズに手続きを進められます。
将来の選択肢を広げるためにも、離婚に向けての準備を始めておきましょう。
以下では、離婚に向けて準備すべきことについて、詳しく解説していきます。
(1)離婚後の生活を考える
離婚後の生活を具体的にイメージすることは、離婚の準備において非常に大切です。
住居、仕事、収入、子供のことなど、様々な面から生活設計を立てておく必要があるでしょう。
「離婚したらどうなるんだろう…」と漠然とした不安を抱えている方もいるかもしれません。
具体的な計画を立てることで、不安を軽減し、前向きな気持ちで離婚に臨めるはずです。
まずは、以下の項目について、じっくりと考えてみましょう。
これらの項目について、具体的に考えておくことで、離婚後の生活をスムーズにスタートできるはずです。


(2)求める離婚条件を検討する
離婚に向けて準備する際には、自分が求める離婚条件を明確にしておくことが重要です。
親権、養育費、財産分与、慰謝料など、離婚には様々な条件が関わってきます。
「どんな条件を提示すればいいんだろう…」と悩んでいる方もいるでしょう。
自分の希望を明確にしておくことで、離婚協議をスムーズに進められる可能性が高まります。
また、弁護士に相談する際にも、希望条件を伝えることで、適切なアドバイスをもらえるはずです。
これらの条件について、事前にしっかりと検討しておくことが大切です。
(3)財産分与の対象となるものを把握する
離婚時の財産分与では、夫婦で築き上げた財産を分けることになります。
預貯金、不動産、車、株式など、財産分与の対象となるものは多岐に渡ります。
「どれが財産分与の対象になるんだろう…」と疑問に思う方もいるかもしれません。
財産分与の対象となるものを把握しておくことで、離婚協議をスムーズに進められるはずです。
また、相手方に財産を隠匿されるリスクを減らすためにも、財産目録を作成しておくと良いでしょう。
これらの財産以外にも、財産分与の対象となるものが存在する可能性があります。
具体的な財産分与については、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。


別居生活費に関するよくある質問
別居中の生活費について、よくある質問と回答をまとめました。
「こんな場合はどうなるの?」「どこに聞けばいいの?」といった疑問を解消し、具体的な行動につなげましょう。
専業主婦の場合は?
専業主婦の場合は、収入がないため、生活費を夫に請求することができます。
生活費の金額は、夫婦の収入や生活水準、子供の有無などを考慮して決定されます。
家庭裁判所の調停や審判を利用することで、適切な金額の生活費を受け取れる可能性が高まるでしょう。
収入が少ない場合は?
収入が少ない場合は、生活費を請求できるものの、金額は限られる可能性があります。
しかし、生活に困窮している場合は、公的な支援制度を利用できる場合もあります。
自治体の相談窓口や、専門機関に相談することで、適切なアドバイスや支援を受けられるはずです。
離婚時の財産分与との関係は?
別居中の生活費(婚姻費用)と離婚時の財産分与は、別の制度です。
婚姻費用は、別居中の生活を保障するための費用であり、財産分与は、婚姻中に夫婦で築き上げた財産を分ける制度です。
それぞれの制度の目的や内容を理解し、適切に利用することが大切です。
合意書や公正証書を作っておくメリットは?
合意書や公正証書を作成しておくことで、夫婦間の取り決めを明確化できます。
また、公正証書は法的な強制力を持つため、万が一相手が合意内容を守らなかった場合でも、強制執行手続きを取ることができます。
トラブルを未然に防ぎ、スムーズに解決するために、合意書や公正証書を作成しておくことをおすすめします。
まとめ:別居時の生活費、不安を解消し、未来へ進みましょう
この記事では、「別居中の生活費(婚姻費用)の相場」「計算方法」「請求方法」「離婚に向けた準備」などについて説明してきました。
別居中の生活費について、相場や計算方法、請求方法などが分からず不安…と感じている方もいるかもしれません。
別居中の生活費は、夫婦の収入や子供の有無など、様々な要素を考慮して決定されます。
まずは、ご自身の状況を把握し、適切な金額を算出することが大切です。
別居は、人生における大きな転換期です。
生活費の不安を抱えながら、一人で悩んでいる必要はありません。
この記事で紹介した情報が、あなたの今後の生活設計の一助になれば幸いです。
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これらの問題については、専門家へ相談することで、よりスムーズに解決できる可能性があります。
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別居後の生活は、新たなスタートを切るチャンスでもあります。
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