結婚を控えている方の中には、
「結婚が決まって幸せなはずなのに、なぜか気分が晴れない…」
「本当にこの人で良いのかな、と今さら不安になってきた…」
このような、言葉にしづらい悩みを抱えている方もいるでしょう。
その気持ちは、マリッジブルーと呼ばれるごく自然な心の反応です。
結婚という人生の大きな変化を前に、不安や戸惑いを感じるのは決して特別なことではありません。
多くの夫婦問題を見てきた専門家の視点からも、この時期に自分の気持ちと向き合い、パートナーと対話することが、二人の未来にとって非常に重要だと言えます。
一人で抱え込まず、まずはその不安の正体を正しく知ることから始めましょう。
この記事では、結婚を前に不安を感じている方に向けて、主に以下を専門家の視点でご説明します。
- マリッジブルーの具体的な症状とセルフチェックの方法
- 男女別の原因と、5つの具体的な乗り越え方
- パートナーとしてできることや、よくある疑問への回答
その不安は、あなただけではありません。
この記事を読めば、漠然とした不安の正体がわかり、二人で乗り越えるための具体的なヒントが見つかるはずです。
ぜひ最後まで読んで、笑顔でその日を迎えるための準備を始めてください。
これってマリッジブルー？10の症状でセルフチェック
結婚を前に、幸せなはずなのに、なぜか気分が落ち込んだり体調が優れなかったりする。それは、多くの人が経験する「マリッジブルー」のサインかもしれません。
マリッジブルーとは、結婚を控えた人が、結婚に対して不安や迷い、憂鬱な気分になる状態を指す言葉です。一般的に、結婚準備のストレスや、結婚後の生活への不安などが原因で起こるとされています。
「こんな気持ちになるなんて、結婚をやめた方がいいのかな…」
「私だけがおかしいの？」
そんな風に、一人で悩んでいませんか。マリッジブルーは、人生の大きな変化を前にした、ごく自然な心の反応です。
以下に挙げる10の質問に、最近のご自身の状態がどれだけ当てはまるか、チェックしてみてください。
これは医学的な診断ではありませんが、自分の心を理解するための、大切な手がかりになるはずです。
1. 理由もなく急に悲しくなったり、涙が出たりする
特別悲しい出来事があったわけでもないのに、ふとした瞬間に涙がこみ上げてくることはありませんか。
これは、結婚という大きな変化に対する、言葉にならない不安やプレッシャーが、涙となって表れている状態です。心があなたに「少し休んで」と、休息を求めているサインなのかもしれません。
2. パートナーの些細な言動にイライラしてしまう
以前は気にならなかったパートナーの癖や一言に、無性に腹が立ったり、ついキツい言葉を返してしまったりする。
これは、結婚準備の疲れやストレスで心の余裕がなくなり、感情のコントロールが難しくなっている証拠です。あなたが冷たくなったわけではなく、心が疲れているのです。
3. 「本当にこの人で良いのか」と愛情がわからなくなる
「この人と一生を共にする」という現実を前に、突然パートナーへの愛情が分からなくなったり、過去の恋愛を思い出したりする。
これは、結婚という決断の重さを改めて認識し、無意識に最後の迷いが生じている状態です。多くの人が通る道なので、その気持ちを否定したり、過度に自分を責めたりする必要はありません。
4. 結婚後の生活を考えると漠然とした不安に襲われる
新しい生活、パートナーとの共同生活、親戚付き合いなど、具体的な悩みがあるわけではないのに、結婚後のことを考えると、理由のわからない漠然とした不安に心が覆われてしまう。
これは、未来という「未知」のものに対する、ごく自然なストレス反応です。完璧な未来を想像できない自分を、責めないでください。
5. 結婚式の準備がまったく手につかず、やる気が出ない
招待状の準備やドレス選びなど、本来なら楽しいはずの結婚準備に対して、全く意欲が湧かず、後回しにしてしまう。
これは、心理的な負担が、思考力や行動力を低下させているサインです。「やらなければ」というプレッシャーが、かえってあなたを無気力にさせているのかもしれません。一種の燃え尽き症候群に近い状態です。
6. 今まで楽しめていた趣味や好きなことが楽しめない
大好きだった趣味や、友人との気兼ねないおしゃべりも、以前のように心から楽しめない。何をしても、心の底から晴れやかな気分になれない。
これは、心のエネルギーが結婚への不安やストレスに奪われ、喜びを感じる余裕がなくなっている危険な兆候です。心が休息を必要としています。
7. 誰にも会いたくない、一人きりになりたいと感じる
周囲からの「おめでとう」という祝福の言葉さえ、プレッシャーに感じてしまう。誰にも会わず、一人で静かに過ごしたいという気持ちが強くなるのも、マリッジブルーの典型的な特徴です。
これは、心が情報過多や外部からの刺激をシャットアウトし、自分自身を守ろうとしている防衛反応なのです。
8. なかなか寝付けない、または寝ても疲れがとれない
夜、ベッドに入っても結婚のことが頭をよぎって目が冴えてしまう。あるいは、十分な時間寝ているはずなのに、朝から疲れが全く取れない。
これは、不安や緊張によって自律神経が乱れ、心身が常に興奮状態にあるため、質の良い睡眠がとれていないことが原因と考えられます。
9. 食欲がなくなったり、逆に食べ過ぎたりしてしまう
ストレスを感じると、食欲がなくなったり、食べても味がしなかったり。逆に、甘いものなどを過剰に食べてしまい、後で自己嫌悪に陥ったりする。
これも自律神経の乱れが、食欲をコントロールする中枢に影響を与えているためです。心と体は、密接につながっています。
10. 原因不明の頭痛や吐き気、めまいが続くことがある
病院で検査をしても特に異常はないのに、頭痛や吐き気、めまい、倦怠感といった身体的な不調が続く。
これは、目に見えない精神的なストレスが、身体症状として現れている典型的な例です。あなたの体は、正直に心の悲鳴を伝えてくれているのです。
なぜ？マリッジブルーの主な原因
幸せなはずの結婚を前に、なぜブルーな気持ちになってしまうのでしょうか。
その原因は、結婚という大きなライフイベントに伴って発生する、様々な「変化」への不安やストレスにあります。
それは決してネガティブな感情だけではなく、新しい人生を真剣に考えているからこそ生まれる、ごく自然な心の動きです。原因を知ることは、ご自身の不安の正体を理解し、乗り越えるための第一歩となります。
以下で、マリッジブルーを引き起こしやすい、代表的な3つの原因について解説します。
結婚後の生活や環境の変化への不安
最も大きな原因の一つは、結婚後の具体的な生活や、住む場所、人間関係といった環境の変化に対する漠然とした不安です。
パートナーとの共同生活は、一人暮らしや実家暮らしとは全く異なります。
「うまくやっていけるだろうか」「自分の自由な時間がなくなるのではないか」といった戸惑いや、苗字が変わること、新しい家族（義理の両親など）との関係構築へのプレッシャーも、大きなストレス源となります。
これまで慣れ親しんだ日常が大きく変わることへの寂しさと、未知の世界へ踏み出すことへの不安が、マリッジブルーを引き起こすのです。
経済的な問題や将来設計への懸念
結婚は、二人の経済を一つにすることでもあります。お金に関する価値観の違いや、将来の家計に対する不安も、マリッジブルーの大きな原因となります。
パートナーの収入や貯蓄額が思ったより少なかったり、逆に自分の収入が少ないことに引け目を感じたり。また、「住宅ローンは組めるだろうか」「子どもの教育費はどのくらいかかるのだろう」といった、長期的な視点での経済的な懸念が、急に現実味を帯びてプレッシャーとなるのです。
パートナーとの価値観のズレ
結婚を目前にし、これまで見えていなかった、あるいは見て見ぬふりをしてきたパートナーとの価値観のズレが、急にクローズアップされることもあります。
金銭感覚や休日の過ごし方、清潔感、食の好みなど、ささいなズレが積み重なり、「本当にこの人と一生やっていけるのだろうか」という根本的な疑問につながります。また、結婚という現実を前に、それまで許せていた相手の欠点が、急に我慢ならなくなってしまうケースも少なくありません。
いつまで続く？なりやすい人の特徴と期間
マリッジブルーの辛さは、永遠に続くわけではありません。その期間にはある程度の傾向があり、また、特にマリッジブルーを経験しやすい人の特徴も存在します。
この不調の終わりが見えるだけでも、心は少し軽くなるはずです。また、ご自身の性格的な傾向を知ることで、客観的に自分を見つめ直し、対策を立てやすくなります。
ここでは、マリッジブルーの期間やピーク、そしてなりやすい人の特徴について解説します。
ピークは結婚式の1～3ヶ月前が最多
マリッジブルーは、結婚式の準備が本格化する1〜3ヶ月前にピークを迎えることが多いと言われています。
この時期は、結婚式の具体的な準備や、両家への挨拶、新生活の準備などが重なり、決断すべきことが多く、最も忙しくなります。精神的なプレッシャーと物理的な疲労が重なることで、症状が出やすくなるのです。
一般的には、結婚式を終え、新生活が落ち着いてくると、症状も自然と和らいでいくケースが多いです。
真面目で責任感が強い人がなりやすい傾向
マリッジブルーになりやすいのは、何事も完璧にこなそうとする、真面目で責任感の強い人に多い傾向があります。
「良い妻・良い夫でなければならない」「結婚式を絶対に成功させなければならない」「両親をがっかりさせてはいけない」と、自分自身に高いハードルを課し、無意識のうちに自分を追い込んでしまいます。
少し肩の力を抜き、「完璧でなくても良い」と考えることが、心を楽にするための第一歩です。
男性と女性の症状や原因の違い
マリッジブルーは女性特有のものではありません。男性も経験しますが、その症状や原因には男女で異なる傾向が見られます。
もちろん個人差はありますが、こうした男女の違いを理解しておくことで、パートナーの不調に気づき、寄り添うきっかけになります。
マリッジブルーの不安を乗り越える5つの方法
マリッジブルーの渦中にいるときは、焦らず、自分自身の心をいたわることが何よりも大切です。この辛い時期を乗り越えるためには、いくつかの具体的な方法があります。
不安な気持ちを一人で抱え込んでいると、視野が狭くなり、ネガティブな思考から抜け出せなくなってしまいます。意識的に行動を変えることで、心の負担を軽くし、冷静さを取り戻すことができるでしょう。
ここでは、マリッジブルーの不安を乗り越えるための、5つの具体的な方法をご紹介します。
一人で抱えずに気持ちを誰かに話す
自分の不安な気持ちや戸惑いを、信頼できる誰かに正直に話してみましょう。一人で抱え込まないことが、回復への第一歩です。
パートナーに話すのが難しければ、親友や、少し先に結婚した先輩などでも構いません。言葉にして外に出すだけで、気持ちは整理され、楽になります。「自分もそうだったよ」という共感の言葉が、大きな救いになることもあります。
一人の時間を作ってリフレッシュする
結婚の準備やパートナーのことばかり考えていると、息が詰まってしまいます。意識的に一人の時間を作り、心と体をリフレッシュさせましょう。
好きな音楽を聴く、カフェでゆっくり読書をする、ヨガや散歩で体を動かすなど、何でも構いません。結婚とは全く関係のないことに没頭する時間を持つことで、視野が広がり、心のバランスを取り戻すことができます。
完璧な結婚準備や生活を目指さない
「完璧な結婚式」「理想の夫婦」といった高い理想を手放し、肩の力を抜くことも大切です。
真面目な人ほど、「すべてを完璧にこなさなければ」と自分を追い込みがちです。しかし、100点満点の結婚などありません。準備で少し手を抜いたり、「まあ、いっか」と考えたりすることで、プレッシャーから解放され、気持ちが楽になります。
パートナーと将来について具体的に話す
漠然とした不安を解消するためには、パートナーと将来の生活について、できるだけ具体的に話し合うことが非常に有効です。
お金のこと、仕事のこと、家事の分担、子どもが生まれた後のことなど、不安に思っていることをリストアップし、一つずつ二人で話し合ってみましょう。未来の生活が具体的にイメージできるようになると、漠然とした不安は、解決すべき「課題」に変わり、前向きに取り組めるようになります。
専門のカウンセラーに相談する
どうしても気持ちが晴れない、パートナーにも相談できないという場合は、専門のカウンセラーに相談するという選択肢も考えてみてください。
カウンセラーは、あなたの気持ちに寄り添いながら、不安の原因を整理し、心の負担を軽くするための手助けをしてくれます。結婚前のカップルを対象としたカウンセリングもあり、第三者の専門的な視点を入れることで、道が開けることもあります。
パートナーのためにできる3つのこと
もしあなたのパートナーがマリッジブルーに陥ってしまったら、あなたの対応次第で、相手の心を軽くすることも、逆に深く傷つけることもあります。
パートナーは、人生の大きな決断を前に、非常にデリケートで不安定な状態にあります。焦らず、相手に寄り添う姿勢が何よりも求められます。
ここでは、パートナーがマリッジブルーになったときに、あなたがしてあげられる3つの大切なことを解説します。
相手の気持ちを否定せずに聞く
最も大切なのは、パートナーが口にする不安やネガティブな気持ちを、決して否定せずに、ただ「聞く」ことに徹する姿勢です。
「そんなこと心配しすぎだよ」「考えすぎじゃない？」といった言葉は、相手に「この人には理解してもらえない」と、心を閉ざさせてしまいます。「そうか、そんな風に不安なんだね」と、まずは相手の感情をそのまま受け止めてあげることが、安心感につながります。
原因を追及したり、責めたりしない
「なんでそんな風に思うんだ？」と原因を追及したり、「俺（私）との結婚が不満なのか」と相手を責めたりするのは絶対にやめましょう。
マリッジブルーは、多くの場合、明確な原因がないまま不安に襲われる状態です。原因探しは、相手をさらに追い詰めるだけです。今は、ただそばにいて、味方であることを伝えてあげるだけで十分なのです。
結婚の話や準備を一旦お休みする
パートナーが辛そうであれば、結婚式の準備や新生活の話を、思い切って一旦お休みする勇気も必要です。
「今は準備のことより、君の心が一番大事だから、少し休もう」と提案してみてください。結婚というゴールから少し距離を置くことで、相手はプレッシャーから解放されます。焦らず、相手のペースに合わせてあげる優しさが、二人の絆を深めるきっかけにもなるでしょう。
マリッジブルーに関するよくある質問
マリッジブルーという、言葉にしにくい不安だからこそ、多くの疑問が浮かんでくるものです。
一人で抱え込まず、正しい知識を持つことが、心を軽くするための第一歩となります。
ここでは、マリッジブルーに関して特によく寄せられる3つの質問について、専門家の視点からお答えします。
Q. 気分が楽になるおすすめの解消法は？
まずは、結婚のことだけを考え続ける状態から、意識的に離れることが大切です。気分転換に集中できる、あなたなりの解消法を見つけましょう。
- 軽い運動をする：
ウォーキングやヨガなどで体を動かすと、セロトニンという幸せホルモンが分泌され、気分もリフレッシュします。 - 何もしない時間を作る：
カフェでぼーっとしたり、好きな音楽を聴いたり、敢えて何もしない贅沢な時間を過ごすのも有効です。 - 結婚とは無関係の友人と会う：
結婚の話題から完全に離れ、昔のようにたわいもない話で笑い合うことで、本来の自分を取り戻せます。
心と頭を意識的に休ませ、リラックスさせてあげることが、何よりの薬になります。
Q. 婚約破棄したくなったらどうすればいい？
結婚をやめたいという気持ちが強くなったら、感情的に行動する前に、なぜそう思うのか、ご自身の心と深く向き合う必要があります。
その気持ちは、マリッジブルーによる一時的な感情の波なのか、それともパートナーとの間に解決できない根本的な問題があるからなのか、冷静に見極めなければなりません。まずは一人で、あるいは信頼できる第三者に相談し、気持ちを整理しましょう。
それでも気持ちが変わらなければ、パートナーに正直に話し、二人で今後のことを考える必要があります。婚約破棄は、慰謝料などの法的な問題に発展する可能性もあるため、最終的な決断を下す前に、一度弁護士に相談することも検討してください。
Q. マタニティブルーとの違いは何ですか？
両者は、心身に不調をきたすという点で似ていますが、原因となるライフイベントと、発生する時期が全く異なります。
- マリッジブルー：
結婚というイベントを前にした不安やプレッシャーが原因で、主に結婚前に起こります。 - マタニティブルー：
出産による急激なホルモンバランスの変化や、育児への不安が主な原因で、出産後2〜3日から2週間程度の間に起こる一時的な症状を指します。
妊娠中に結婚準備が重なると、両方のストレスが同時にかかることもあり得ます。もし、マタニティブルーが長引く場合は「産後うつ」の可能性もあるため、産婦人科や専門機関に相談することが大切です。
まとめ：その不安は、二人の絆を深めるチャンスです
この記事で、「マリッジブルーの具体的な症状や原因」「男女別の乗り越え方」などについて説明してきました。
結婚を前にした不安や戸惑いは、誰にでも起こりうるごく自然な心の反応です。
幸せなはずなのに、なぜか気分が晴れないその気持ち、決してあなただけではありません。
誰にも言えず、罪悪感を感じていた方もいるでしょう。
大切なのは、その気持ちから目をそらさず、お互いの不安を正直に伝え合うこと。
この記事で紹介した5つの方法を参考に、まずはパートナーとゆっくり話す時間を作ってみませんか。
もし二人だけで話し合ってもうまくいかない、不安が強すぎてどうしていいかわからない、といった悩みについては、専門家へ相談することで客観的なアドバイスを得て冷静に判断できます。
私たち夫婦問題の専門家は、これまで多くのカップルをサポートしてきましたので、まずはお気軽にご相談ください。
マリッジブルーという経験は、決して無駄にはなりません。
雨降って地固まる、ということわざの通り、この時期を乗り越えた二人の絆は、以前よりもずっと強固なものになるはずです。
まずは、あなたの素直な気持ちを、一番大切な人に伝えてみてください。
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