「赤ちゃんは可愛い、幸せなはずなのに、どうしてこんなに涙が出るんだろう…」
「妻が辛そうなのに、何をしてあげればいいか分からない…」
出産という大仕事の後、このような言葉にならない不安に戸惑っている方もいるでしょう。
その感情は、あなたの愛情が足りないせいでも、気合の問題でもありません。
産後の心身の急激な変化は、ママ一人で抱えるにはあまりに重く、夫婦というチームで向き合うべき課題なのです。
この時期のすれ違いが、後々の関係に影響を及ぼすことも少なくありません。
まずはマタニティブルーを正しく知り、夫婦で乗り越える一歩を踏み出しましょう。
この記事では、産後の心身の不調や、パートナーとの関係に悩んでいる方に向けて、主に以下を夫婦問題の専門家視点でご説明します。
- マタニティブルーの具体的な症状や、産後うつとの違い
- 夫婦で辛い時期を乗り越えるための、今日からできる5つの対処法
- パートナーとして何ができるか、具体的な関わり方のヒント
一人で、あるいは二人だけで抱え込むのは本当に辛いことです。
この記事が、暗いトンネルの中にいるような気持ちに、一筋の光を灯すきっかけになれば幸いです。
ぜひ、最後まで読んでみてください。


マタニティブルーはいつからいつまで?産後の心に起こること
出産という大仕事を終え、愛しいわが子を腕に抱き、幸せいっぱいの筈なのに、なぜか涙が止まらなかったり、理由もなく気分がひどく落ち込んだりする。
それは、多くの産後ママが経験する「マタニティブルー」と呼ばれる、一時的な心と体の反応です。
マタニティブルーとは、出産前後の女性にみられる一時的な情緒不安定な状態のことです。
具体的には、気分の落ち込み、イライラ、不安、涙もろさ、不眠、食欲不振などの症状が現れることがあります。
「赤ちゃんはこんなに可愛いのに、なんでこんなに悲しい気持ちになるんだろう…」
「良い母親になれないかもしれない」
そんな風に、一人で不安と罪悪感を抱えていませんか。その感情は、あなたの心が弱いからでも、母親としての愛情が足りないからでも、決してありません。
出産という、女性の人生における最大の変化によって引き起こされる、ごく自然で当たり前の現象なのです。
以下で、マタニティブルーがいつからいつまで続くのか、その主な原因は何か、そしてなぜ「気持ちの問題」ではないのかについて、詳しく解説していきます。
産後3〜5日をピークに2週間ほどで落ち着くのが一般的
マタニティブルーの症状は、一般的に出産後2〜3日から始まり、産後3〜5日頃にピークを迎え、その後は自然と軽快していき、長くとも2週間程度で落ち着くとされています。
この「一時的なものである」という特徴を知っておくことは、今の不安な気持ちを乗り越える上で非常に重要です。
出産直後は、赤ちゃんに会えた喜びや、出産を終えた高揚感、そして分娩の際に分泌されるアドレナリンなどの影響で、心はむしろハイな状態にあることが多いです。しかし、数日が経過し、入院生活の中で少しずつ心身の疲労が押し寄せてくる頃に、マタニティブルーの症状は現れやすくなります。
特に、産院を退院し、いよいよ赤ちゃんと二人きりの生活が始まるタイミングで、急に強い不安感に襲われる方も少なくありません。24時間体制の育児、慣れない授乳やおむつ替え、そして深刻な睡眠不足。そうした現実を前に、「本当に私に育てられるのだろうか」というプレッシャーが、一気に押し寄せてくるのです。
日本産婦人科医会の調査によれば、程度の差はあれ、産後の女性の30%~50%がマタニティブルーを経験すると報告されており、これは決して珍しいことではないと分かります。
大切なのは、「この辛さは、長くは続かない」と知っておくことです。ほとんどの場合、産後の体が回復し、育児のリズムに慣れてくるにつれて、心の波も穏やかになっていきます。
ただし、もし2週間以上経っても気分の落ち込みが改善しない、あるいは「自分や赤ちゃんを傷つけたい」といった気持ちが芽生えるなど、症状が悪化するような場合は、後述する「産後うつ」という、より専門的な治療が必要な状態に移行している可能性があります。その際は、一人で抱え込まず、必ず産婦人科や心療内科、地域の保健センターなどに相談してください。
ホルモンバランスの急激な変化が一番の原因
マタニティブルーの最も大きな原因は、出産に伴う女性ホルモンの、ジェットコースターのような急激な変動です。
妊娠中、女性の体の中では、妊娠を維持するために「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンが、通常時の何十倍、何百倍というレベルで分泌されています。これらのホルモンは、胎盤から供給されることで、お腹の赤ちゃんを育み、母体を守るという重要な役割を果たしています。
しかし、出産によって胎盤が体の外に排出されると、これまで大量に分泌されていたホルモンの供給源が、突如として失われます。その結果、この2つのホルモンの血中濃度は、崖から転落するように、産後数日で一気に妊娠前の値まで急降下します。
このホルモンの嵐のような急激な変化に、脳がついていけなくなってしまうのです。
脳内で精神を安定させる働きを持つ「セロトニン」などの神経伝達物質のバランスが乱れ、感情のコントロールが非常に難しくなり、涙もろくなったり、不安になったり、イライラしたり、といったマタニティブルー特有の症状が引き起こされます。
生理前に気分が不安定になるPMS(月経前症候群)も、ホルモンバランスの変化が原因ですが、産後の変動はそれとは比べ物にならないほどダイナミックで、心身に与える影響も大きいのです。
もちろん、原因はホルモンだけではありません。
こうした身体的・環境的な要因が複合的に絡み合うことで、マタニティブルーの症状はさらに強く現れることがあります。
「気持ちの問題」ではないことをまず理解しよう
マタニティブルーについて、最も大切にお伝えしたいこと。それは、この時期に経験する気分の落ち込みや涙もろさ、不安感は、あなたの「気持ちの弱さ」や「母親としての自覚のなさ」が原因では断じてない、ということです。
これは、前述したホルモンバランスの急激な変化によって引き起こされる、いわば「産後の嵐のような生理現象」なのです。
風邪をひいて高熱が出るのを、「気合が足りないからだ」と言って責める人はいません。それと同じように、ホルモンの嵐によって心が揺さぶられるのを、精神論で乗り越えようとすべきではありません。
そして、このことは、パートナーである夫や、ご家族など、周りでサポートする方々にも、正しく理解していただく必要があります。
産後の女性に対して、「しっかりしろ」「母親なんだから、泣いている場合じゃないだろう」「みんなやっていることだ」といった励ましの言葉は、時に凶器となり、本人をさらに深く追い詰めてしまいます。
必要なのは、叱咤激励ではありません。
「今は大変な時期なんだね」「無理しなくていいんだよ」「一人で抱え込まないでね」
ただ、その辛さに寄り添い、共感し、母親が安心して休める時間を作ってあげること。それが、産後の女性にとって何よりの薬となるのです。










これってマタニティブルー?症状と「産後うつ」との違い
マタニティブルーの症状は、心と体の両面に現れます。その症状を知り、より専門的なケアが必要な「産後うつ」との違いを理解しておくことは、ご自身と大切な赤ちゃんを守るために非常に重要です。
「わけもなく涙が止まらないのは、みんな経験すること?」
「この頭痛も、もしかして産後の影響なのかな…」
そのように、一つ一つの症状に不安を感じてしまうかもしれません。ご自身の状態を客観的に把握することで、焦らずに、適切な対処法を見つけることができます。
以下で、マタニティブルーによく見られる具体的な症状と、注意すべき「産後うつ」との違いについて詳しく解説します。
涙もろさ・不安感・イライラといった心の不調
マタニティブルーの最も代表的な症状は、感情のコントロールが難しくなる、精神的な不調です。これまで経験したことのないような、感情の激しい波に、ご自身でも戸惑ってしまうかもしれません。
これらの感情の波は、ホルモンバランスの乱れが主な原因であり、あなたの性格や気力の問題ではありません。「今の自分は、感情が揺れ動きやすい、特別な時期なんだ」と認識することが、ご自身を追い詰めないために非常に大切です。
不眠や頭痛など体にも出るサイン
心の不調だけでなく、原因不明の様々な身体症状として現れることも、マタニティブルーの大きな特徴です。精神的なストレスが、体に直接的な影響を及ぼしているのです。
これらの症状は、自律神経のバランスが出産による急激な変化についていけず、乱れていることが原因で起こります。「気のせい」「ただの疲れ」と軽視せず、体からのSOSサインとして、きちんと受け止める必要があります。
長引く場合は「産後うつ病」の可能性も
マタニティブルーと産後うつ病の最も大きな違いは、「期間」と「症状の重さ」です。
2週間以上経っても症状が改善しない、あるいは日を追うごとに悪化するような場合は、「産後うつ病」の可能性があります。
項目 | マタニティブルー | 産後うつ病 |
---|---|---|
発症時期 | 産後数日〜2週間以内 | 産後数週間〜数ヶ月後が多い |
期間 | 一時的(数日〜2週間程度) | 長期間(1ヶ月以上続く) |
症状の重さ | 比較的軽度。感情の波がある。 | 中等度〜重度。持続的な気分の落ち込み。 |
治療の必要性 | 多くは周囲のサポートで自然に軽快 | 専門的な治療(投薬やカウンセリング)が必要 |
特に、以下のようなサインが見られる場合は、産後うつ病の可能性がより高いと考えられます。
これらのサインが見られたら、絶対に一人で悩まず、すぐに産婦人科、心療内科、精神科、またはお住まいの地域の保健センターなどに相談してください。産後うつは、日本の産後ママの約10%が経験すると言われており、決して珍しい病気ではありません。そして、適切な治療を受ければ、必ず回復する病気です。







夫婦で乗り越えるための5つの対処法
マタニティブルーという産後の嵐を乗り越えるためには、ママ一人が頑張るのではなく、夫婦が「チーム」として協力し、支え合うことが何よりも大切です。
この時期の夫婦の関わり方は、その後の家族の形を大きく左右すると言っても過言ではありません。ママの孤独感を和らげ、パパも「お客様」ではなく「当事者」として育児に関わっていくための、具体的な方法があります。
以下で、夫婦でこの大変な時期を乗り越えるための、5つの具体的な対処法をご紹介します。
1.「完璧なママ」を今日からやめてみる
まずは、ママ自身が「完璧な母親にならなければ」という、無意識のプレッシャーから、自分を解放してあげることが第一歩です。
100点満点のママなど、この世に存在しません。母乳が出なくても、離乳食がベビーフードでも、部屋が多少散らかっていても、赤ちゃんは元気に、そしてたくましく育ちます。
「ちゃんとやらなきゃ」という思い込みを捨て、「まあ、いっか」と自分を許してあげましょう。
完璧を目指さないことは、決して「手抜き」ではありません。それは、ママが笑顔で育児を続けるために、そして赤ちゃんに穏やかな愛情を注ぐために、最も必要な「心の余裕」を生み出すための、賢明な選択なのです。
2. 5分でいい。素直な気持ちを言葉で伝える
パートナーに対して、一日5分でもいいので、「今、私がどう感じているか」を素直に言葉で伝える時間を持ちましょう。
「言わなくても、私の大変さを分かってくれるはず」というのは、残念ながら幻想です。夫側も、妻が何を考えているか分からず、「どう接していいか分からない」と不安に思っている場合があります。
「今日は、理由もなく涙が出てきて、自分でもどうしていいか分からなくて辛かった」
「あなたが『お疲れ様』と言って、洗い物をしてくれて本当に嬉しかった」
このように、ネガティブな気持ちも、ポジティブな気持ちも、具体的に言葉にして伝えましょう。素直な言葉での対話が、夫婦の心のすれ違いを防ぎ、お互いを理解する第一歩となります。
3. 夫に「してほしいこと」を具体的に共有する
夫から「何か手伝おうか?」と聞かれたときに、「大丈夫」と答えてしまうのは、最も避けるべきコミュニケーションです。夫に「何をしてほしいのか」を、できるだけ具体的に、かつ明確に伝えましょう。
多くの男性は、何をすれば良いか分からないと、動くことができません。「何か手伝うこと」という漠然とした指示ではなく、具体的なタスクをお願いすることが重要です。
- 「ごめん、今手が離せないから、赤ちゃんのおむつを替えておいてくれる?」
- 「次の日曜の午前中、2時間だけ赤ちゃんを見ていてほしい。その間に、一人で少し眠りたい」
- 「仕事帰りに、牛乳と食パンだけ買ってきてもらえると、すごく助かる」
このように、具体的にお願いすることで、夫も育児に参加しやすくなり、「自分もチームの一員だ」という当事者意識が芽生えます。夫を「戦力」として育てていく意識も、この時期は大切です。
4. 自治体の産後ケアサービスなどを探す
夫婦二人だけで、あるいは実家の親の助けだけで、すべての問題を抱え込む必要はありません。今は、自治体などが提供する、公的な産後ケアサービスが非常に充実しています。積極的に情報を集め、活用しましょう。
これらのサービスを利用し、物理的にママが一人になり、体を休める時間を作ることは、心の回復に直結します。お住まいの市区町村のウェブサイトや、保健センターの窓口で情報を得られます。
5. とにかく体を休める時間を最優先する
産後のママにとって、何よりも優先すべきは「睡眠」と「休息」です。
家のことが多少疎かになっても、まずは体を休めることを第一に考えてください。
慢性的な睡眠不足は、判断力を鈍らせ、精神状態を著しく悪化させます。うつ病のリスクも高めることが、科学的にも証明されています。
「赤ちゃんが寝たら、ママも一緒に寝る」
これを、産後の生活の最も重要なルールにしてください。
溜まった家事は、後でいくらでも取り返せます。しかし、一度損なわれた心と体の健康を取り戻すには、長い時間が必要です。
夫にもその重要性を十分に理解してもらい、週末は夫に育GEOを任せて、ママが数時間でもまとまった睡眠時間を確保するなど、夫婦で協力して休息時間を捻出することが、マタニティブルーという嵐を乗り越えるための最大の鍵となります。







【夫の方へ】妻が辛い時にできること・NGなこと
妻がマタニティブルーで辛い思いをしているとき、夫であるあなたの存在と関わり方が、妻の回復を大きく左右します。
「何をしてあげれば良いか分からない」
「良かれと思って言ったことで、かえって妻を怒らせてしまった」
そのように、戸惑っている夫の方も多いかもしれません。妻の急な涙やイライラは、あなたへの愛情が冷めたからではないのです。大切なのは、産後の女性の心身について正しい知識を持ち、妻の心に寄り添うこと。それが、夫婦の絆を深め、この危機を乗り越えるための鍵となります。
以下で、夫として具体的にできること、そして絶対に避けるべきNGな対応について解説します。
「大丈夫?」より具体的な行動で支える
妻が辛そうにしているとき、「大丈夫?」と声をかけることも大切ですが、それ以上に妻が物理的に休めるような、具体的な行動で支えてあげましょう。
産後の女性は、心身ともにエネルギーが枯渇しきっています。「大丈夫?」と聞かれても、「大丈夫じゃない」と答え、何をしてほしいかを説明する気力さえない場合があります。口先だけの心配は、時に「心配しているだけで、何もしてくれない」と、妻をさらにイライラさせてしまうことさえあるのです。
大切なのは、妻が言わなくても、先回りして行動することです。
「大丈夫?」と10回聞くよりも、1回の具体的な行動が、妻の心と体を救うことを忘れないでください。
家事育児を「手伝う」でなく「担当」する
家事や育児に対して、「手伝う」というスタンスを捨て、「自分の仕事」として主体的に担当する意識を持つことが極めて重要です。
「手伝う」という言葉の裏には、「本来は妻の仕事だけれど、自分は好意でサポートしてあげている」という、無意識の前提があります。この「お客様」のような当事者意識のなさが、妻を孤独にし、「私ばかりが大変な思いをしている」という怒りを生む最大の原因の一つです。
「名もなき家事」という言葉があるように、家庭の仕事は無数にあります。
このように、夫が明確な「担当者」となり、主体的に動くことで、妻は初めて「一人じゃないんだ」「チームで育児をしているんだ」と感じることができ、精神的な負担が大幅に軽減されるのです。
妻の話を否定せず、ただ聴く時間を作る
妻が不安や不満、あるいはただ漠然としたモヤモヤを口にしたとき、アドバイスや正論、解決策は一切不要です。まずは、「うんうん、そうか」「大変だったね」と、否定せずに最後までただ聴くことに徹してください。
産後の女性がパートナーに求めているのは、多くの場合、正しい答えではありません。ただ、自分のこの辛い気持ちを「分かってほしい」「共感してほしい」のです。
ここで夫がやってしまいがちなNGな対応が、「でも、それは〇〇だからじゃない?」「もっとこうすれば良いんじゃないか」と、すぐに原因を分析したり、アドバイスをしたりすることです。これは、妻からすると「私の気持ちを理解してくれない」「説教されている」と感じ、心を閉ざしてしまいます。
妻の話がまとまっていなくても、矛盾していても、構いません。ただひたすら相槌を打ち、妻の言葉を「そうか、〇〇で不安だったんだね」と繰り返す(傾聴のテクニックであるバックトラッキング)。妻が安心して感情を吐き出せる「安全なゴミ箱」になってあげることが、この時期の夫の最も大切な役割の一つなのです。





とは?3つの原因と対処法を専門家が解説【完全版】-160x90.png)
自分自身の不調(パタニティブルー)にも目を向ける
実は、産後の父親も、妻と同じように心身の不調をきたす「パタニティブルー」になることがあります。妻を支えることに必死になるあまり、ご自身の心のケアを忘れないでください。
パタニティブルーは、父親になったことへの「一家を支えなければ」という強いプレッシャー、生活の激変による睡眠不足、そして妻との関係性の変化などが原因で起こります。イライラしやすくなったり、気分が落ち込んだり、あるいは育児に関わるのが億劫になったり、といった症状が現れます。
「男だから」「父親だから、しっかりしなければ」と、一人で抱え込む必要はありません。あなたが感じている辛さも、妻や信頼できる友人に正直に話してみましょう。パパ友など、同じ境遇の仲間と話すのも非常に有効です。
あなたが心身ともに健康でいることが、結果的に妻と赤ちゃんをしっかりと支えることに繋がります。辛い時は、あなた自身も助けを求めて良いのです。



マタニティブルーに関するよくある質問
初めての出産だけでなく、二人目、三人目の出産でも、マタニティブルーに関する疑問は尽きません。
それぞれの出産で、状況は異なります。正しい知識を持つことで、漠然とした不安を解消しましょう。
ここでは、マタニティブルーに関する特によくある3つの質問にお答えします。
Q. 二人目の出産後でもなりますか?
はい、なります。むしろ、一人目の時よりも強く症状が出る方も少なくありません。
一人目の出産を経験しているため、「今回は大丈夫だろう」と本人も周囲も思いがちですが、二人目の育児には、一人目とは全く違う大変さがあります。
まず、休む時間が圧倒的にありません。新生児のお世話に加えて、上の子の赤ちゃん返りやイヤイヤ期などが重なり、ママの心身の負担は想像を絶するものとなります。上の子に「静かにしてね」と怒ってしまい、後で自己嫌悪に陥る、といった新たな悩みも生まれます。
また、周囲からも「二人目だから慣れているでしょう」と見られがちで、サポートが得られにくくなる傾向もあります。こうした状況が、一人目の時以上の孤独感やプレッシャーとなり、マタニティブルーの症状を悪化させることがあるのです。
Q. 相談するなら何科のクリニックですか?
まず、あなたと赤ちゃんのことを一番よく知っている、出産した産婦人科や、お住まいの地域の保健センターにいる助産師・保健師に相談するのが第一歩です。
彼らは、産後の女性の心身の変化に関するプロフェッショナルです。まずは電話でも構いませんので、「最近、気分が落ち込んで辛い」「涙が止まらない」といった状況を伝えてみてください。多くの場合、親身に話を聞き、適切なアドバイスをしてくれます。
そこで症状が重い、あるいは長引いていると判断されたり、ご自身でより専門的な治療が必要だと感じたりした場合は、「心療内科」や「精神科」の受診を勧められることがあります。これらのクリニックでは、必要に応じてカウンセリングや、授乳中でも服用できる安全な薬の処方など、専門的な治療を受けることができます。
また、気分の落ち込みだけでなく、めまいや頭痛といった身体症状が強い場合は、まず「婦人科」でホルモンバランスについて相談してみるのも良いでしょう。一人で抱え込まず、まずは身近な専門家を頼ってください。
Q. 薬に頼らずに乗り越える方法はありますか?
はい、マタニティブルーの段階であれば、薬を使わずに乗り越えるのが基本です。大切なのは、前述したような、十分な休息と、周囲のサポートです。
- 体を休めること:とにかく睡眠時間を確保する。
- 気持ちを話すこと:夫や友人に、辛い気持ちを正直に打ち明ける。
- 完璧をやめること:家事や育児で、手を抜けるところは徹底的に手を抜く。
- 栄養を摂ること:バランスの良い食事を心がける。
これらが、マタニティブルーにとっては何よりの”薬”となります。
ただし、症状が2週間以上長引き、「産後うつ」と診断された場合は、話が別です。産後うつは、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れている「病気」であり、気力や根性で治るものではありません。
その場合は、授乳中でも服用できる安全な薬(SSRIなどの抗うつ薬)を適切に使うことが、回復への一番の近道となる場合があります。薬に対する不安な気持ちも含めて、専門医とよく相談することが重要です。「薬に頼るのは弱いから」という考えは、絶対に持たないでください。適切な治療を受けることは、あなたと、そして大切な赤ちゃんを守るための、賢明で愛情深い選択なのです。







まとめ:辛い産後は「夫婦」で乗り越える
この記事で、「マタニティブルーの症状や期間、産後うつとの違い」「夫婦で乗り越えるための具体的な対処法」などについて説明してきました。
産後の心と体の辛さは、決してママ一人の問題ではありません。
ホルモンによる変化に加え、慣れない育児へのプレッシャーは、夫婦というチーム全体で向き合うべき最初の試練です。
「幸せなはずなのに」と自分を責めたり、パートナーにどう接すればいいか分からなくなったりすることもあるでしょう。
だからこそ、この記事で紹介した「完璧なママをやめてみる」「してほしいことを具体的に伝える」といった小さな一歩を、今日から試してみてはいかがでしょうか。
「夫にどう気持ちを伝えればいいか分からない」「妻の辛さにどう寄り添えばいいか」といった夫婦間のすれ違いについては、専門家へ相談することで、解決への糸口が早く見つかるかもしれません。
一人で抱え込まず、気軽に頼れる窓口へ問い合わせてみるのも一つの大切な方法です。
この産後の大変な時期は、永遠には続きません。
そしてこの経験は、二人の絆を壊すものではなく、乗り越えることで、これまで以上に強い家族になるための大切な時間になるはずです。
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参考:全国自治体の養育費支援、神奈川県の養育費支援


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