「公正証書を作りたいけれど、本人が公証役場へ行けない…委任状で手続きできるのだろうか。」
「委任状の書き方や必要なものが分からず、手続きが難しそうで心配…」
そんなお悩みを持つ方も少なくないでしょう。
公正証書作成で委任状を正しく活用すれば、ご本人が出頭できなくても円滑に手続きを進められます。
ただし、利用可能な公正証書の種類や、委任状の書き方には注意が必要です。
この記事を読めば、委任状の利用可否から作成時の具体的な注意点まで、あなたの疑問が解消するはずです。
この記事では、[公正証書の作成で代理人を立てることを考え、委任状の正しい知識や手続きについて詳しく知りたい方]に向けて、主に以下を専門家の視点でご説明します。
- 公正証書作成に委任状が必要となる理由と、利用できる具体例
- 法的に有効な委任状の書き方と、作成する際の5つの注意点
- 委任状を使った公正証書作成の一般的な流れと、よくある質問への回答
大切な手続きだからこそ、疑問点はしっかりと解消しておきたいものですね。
この記事が、あなたの公正証書作成をスムーズに進めるための一助となることを願っています。
ぜひ最後までお読みになり、参考にしてください。


公正証書の作成に委任状が必要な理由
公正証書の作成には、原則として本人が公証役場に出頭し、意思確認を受ける必要があります。
しかし、病気や高齢、遠隔地に住んでいるといった事情で「出頭が難しい…」という方も少なくありません。
そうした場合に、公正証書の作成を代理人に委ねる手段として「委任状」が活用されます。
とはいえ、どのような公正証書でも委任が認められるわけではありません。
内容によっては「本人の意思確認が不可欠」とされるものもあり、委任の可否を事前にしっかりと確認する必要があります。
委任状の利用は非常に便利ですが、制度の仕組みを誤解してしまうと手続きが無効になる恐れもあるため、正しい理解が欠かせません。
ここでは、公正証書において委任状が必要となる場面や、その制限事項について詳しく解説していきます。
本人が出頭できないときの代替手段
本人が公証役場へ出頭できない場合でも、代理人を立てて手続きを行うことが可能です。
このときに必要となるのが「委任状」です。
委任状とは、本人が代理人に対して「代わりに手続きを行ってください」と明確に伝える書面です。
たとえば、入院中や身体的な事情で外出できない方が、契約や離婚協議などを公正証書にしたいと考える場合。
親族や行政書士に委任し、本人の代わりに公証役場で手続きを進めてもらうことができます。
ただし、委任状には記載内容の形式や範囲に明確なルールがあり、適切に作成しなければ手続きが受理されない場合もあります。
委任状が認められない公正証書もある
すべての公正証書で委任が認められるわけではありません。
特に「遺言公正証書」は、本人の明確な意思を公証人が直接確認する必要があるため、委任による代理出頭は認められません。
このように、本人の意思確認が不可欠とされる書類では、委任手続きを取ることができず、別の方法を検討する必要があります。
たとえば、公証人の出張制度を利用して、本人がいる自宅や病院で手続きを進めるなどの代替手段が求められます。
事前に公証役場へ相談し、対象となる公正証書で委任が可能かを確認しておくことが大切です。
「なぜ必要なのか」を正しく理解しよう
委任状が求められる背景には、「本人の意思をきちんと反映させる」という公正証書制度の根本原則があります。
代理人を立てる場合も、その意思をできる限り正確に伝えることが重要です。
また、委任状があれば何でもできるわけではなく、委任できる範囲や内容には制限があります。
たとえば「養育費の支払いを含む離婚協議書」や「金銭契約」のように具体的な条件を委任する場合には、詳細まで明記した委任状が必要です。
制度を正しく理解し、適切な形で委任を活用することが、トラブル防止につながります。





委任状が使える公正証書の具体例
公正証書に委任状を使って手続きを進めることができるケースは複数あります。
たとえば離婚協議、公正証書による金銭契約、会社の定款認証などが代表例です。
「どんな場合に委任状が使えるのか知りたい」という方のために、具体的な活用事例をご紹介します。
内容によっては委任が認められないものもあるため、事前に公証役場や専門家に相談し、対応可能な範囲を確認しておくことが重要です。
離婚協議書などでの委任活用ケース
離婚に伴う取り決め(養育費、財産分与など)を公正証書にする際、双方の出頭が難しい場合は代理人を立てることが可能です。
この場合、それぞれが委任状を作成し、親族や行政書士を代理人に立てて手続きを進める方法があります。
注意点として、委任状には「支払金額」「支払方法」「支払期間」など、具体的な内容を明記する必要があります。
あいまいな記載では受理されない場合があるため、文面には十分な注意が必要です。


金銭契約や定款認証での活用例
事業者が契約内容を公正証書に残したい場合、信頼できる従業員や顧問行政書士に委任して作成することがよくあります。
特に「金銭消費貸借契約」や「業務委託契約」などの場面では、多忙な経営者に代わって手続きを任せられる点が大きなメリットです。
また、会社設立時に行う「定款の認証」についても、代表者本人が出頭できない場合は委任による対応が可能です。
この場合は、代表者印や登記簿謄本などの添付書類が求められます。
遺言書は原則として本人出頭が必要
遺言を公正証書にする場合は、本人の意思を直接確認する必要があるため、委任による作成はできません。
これは、遺言が極めて個人的な意思表示であり、トラブルを避けるためにも本人の出頭を厳格に求めるルールがあるからです。
ただし、病気や高齢で出頭が難しい場合は、公証人に出張を依頼する「出張遺言制度」があります。
この制度を使えば、病院や自宅などで本人の意思確認を行いながら、遺言の公正証書化を進めることが可能です。



【サンプルあり】公正証書用の委任状に必要な記載内容とは
離婚に関する公正証書作成のための委任状
ご利用には十分ご注意ください。必ずご自身の状況に合わせ修正・追記し、記載漏れや不利な内容がないか確認しましょう。
なお、ここで示す情報は一般的な参考であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。テンプレートの利用により生じたいかなる損害についても責任を負いかねますので、ご了承ください。少しでも不安があれば弁護士等の専門家へ相談することを強く推奨します。
委任状は、代理人に法的な手続きを任せるための重要な書面です。
特に公正証書を作成するための委任状では、「誰が、何の目的で、何を任せるのか」を明確に記載しなければなりません。
「委任状って何を書けばいいの?」という方も多いかもしれません。
ですが、不備があると公証役場で受理されず、手続きが無駄になってしまう可能性もあります。
記載すべき項目を理解して、確実に準備を進めましょう。
以下で、最低限必要な3つのポイントを詳しく解説していきます。
委任の目的と対象公正証書の種類
まず最も重要なのは、委任する「目的」と「対象となる公正証書の種類」を明確に記載することです。
例えば「離婚給付契約公正証書の作成に関する一切の件」といったように、どの種類の公正証書に関する委任かを明示する必要があります。
これが曖昧だと、代理人が手続きを行えなかったり、内容に誤解が生じる原因になります。
公証役場でも、「対象が特定できない」場合は受理を断られるケースがあるため、具体的に記述することが求められます。
代理人の氏名・住所・署名が必須
代理人が誰であるかを特定する情報も必ず記載します。
具体的には、以下の3点が必須です。
- 氏名(フルネーム)
- 住所(住民票の記載どおり)
- 本人の署名(自筆が望ましい)
これにより、正式な法的代理人としての立場が明確になります。
署名欄には、必ず委任者本人が署名を行いましょう。
具体的な委任事項の明記が必要
委任する内容が「何について、どこまで任せるのか」がはっきりしていなければ、法的効力があいまいになります。
そのため、「○年○月○日付の金銭消費貸借契約に関する公正証書の作成手続き」など、具体的な事項を文章にして記載しましょう。
また、実印の押印や印鑑証明の添付が必要な場合もあるため、その範囲も合わせて明記することで、後々のトラブル防止につながります。



委任状を作成するときの5つの注意点
委任状の作成は、ただ書くだけでは不十分です。
「記載に不備があって公証役場で受理されなかった…」というケースも少なくありません。
トラブルなく確実に手続きを進めるためには、以下の5つのポイントを押さえることが重要です。
ここでは、公正証書用の委任状を作成する際に特に注意すべきポイントを、具体的に解説していきます。
1. 法的効力を持たせる記載にする
公正証書用の委任状は、私文書であっても法律上の効力を持つ必要があります。
そのため、曖昧な表現や抽象的な表記を避け、具体的かつ端的な記載を心がけましょう。
たとえば「〇〇に関する全ての手続き」といった表現は便利そうに見えても、法的には不明確とされることがあります。
できるだけ詳細に記述することで、効力ある委任状として認められやすくなります。
2. 代理権限の範囲を明確にする
代理人に任せることができるのは、委任状に書かれた内容の範囲のみです。
「委任者が意図していない内容まで代理人が手続きを進めてしまった…」といったトラブルを防ぐためにも、委任する範囲は明確に限定しましょう。
たとえば「離婚協議に基づく養育費5万円の支払いに関する手続き」など、金額や手続き内容を具体的に書くことが重要です。
3. 印鑑や証明書の添付が求められる場合も
公証役場では、委任状に対して印鑑証明書の添付を求められることがあります。
これは、実印が押印されていることの証明として必要とされるため、あらかじめ準備しておくと安心です。
特に法人や事業者が委任者となる場合は、以下の添付資料が必要になることもあります。
- 法人の印鑑証明書
- 登記事項証明書
- 代表者の本人確認資料
4. 自筆署名や日付の記載を忘れない
形式を整えていても、署名や日付がなければ委任状としての効力が認められない場合があります。
署名欄はできるだけ委任者本人の自筆とし、日付は書類の有効性を裏付けるためにも必ず記載してください。
特に「誰が」「いつ」作成したかが不明な場合、トラブルの原因になります。
漏れのないようチェックしましょう。
5. 書式は自由だがテンプレートを活用しよう
委任状には厳格な書式の決まりはありませんが、法的に必要な要素を漏れなく記載するためにも、テンプレートを活用するのが安心です。
行政書士が提供しているテンプレートや、公証役場で案内している見本を参考にすることで、記載漏れや表現の誤りを防ぐことができます。
書式の自由度は高いからこそ、信頼できるフォーマットをもとに作成することをおすすめします。



委任状で公正証書を作成するときの流れ
委任状を使って公正証書を作成する場合、「どんな手順で進むの?」と具体的な流れが気になりますね。
事前の準備から公証役場での手続きまで、全体の流れを把握しておけば、スムーズに進められます。
「何をすればいいか分からず不安…」そんな気持ちを解消しましょう。
ここでは、委任状を用いた公正証書作成の主な流れを、段階を追って簡潔に解説します。
本人が書類を準備する段階から始まる
まず、公正証書を作成したいご本人(委任者)が、委任状を含む必要書類を準備することから始まります。
どのような内容の公正証書にするか、誰に何を委任するのかを明確に決定しましょう。
その上で、委任状の作成、印鑑証明書や戸籍謄本といった公的書類の取得などが主な準備となります。
行政書士や親族が代理人になるケース
公正証書作成の代理人(受任者)は、行政書士や弁護士などの法律専門家、または信頼できるご親族などがなるケースが一般的です。
専門家に依頼すれば、委任状の作成から公証役場との調整、当日の同行まで、手続き全般のサポートが期待できるでしょう。
ご親族が代理人となる場合は、委任内容を正確に理解し、誠実に手続きを実行することが求められます。
公証役場での確認と作成完了までの手順
代理人は、準備した委任状や必要書類一式を持って公証役場へ出向きます。
公証人は、提出された書類に基づいて公正証書の原案を確認し、代理人を通じて委任者本人の意思を最終確認します。
内容に問題がなければ、代理人が委任者に代わって署名押印し、公正証書が完成します。
通常、公証人との事前調整が済んでいれば、当日の手続きは比較的スムーズに進むでしょう。
完成した公正証書の正本または謄本を代理人が受領し、委任者へ渡します。



公正証書 委任状に関するよくある質問
公正証書や委任状については、「こんな場合はどうすればいいの?」「これは認められるの?」といった細かな疑問がたくさん出てくるものです。
法的な手続きは専門的で分かりにくいことも多く、不安を感じるのも無理はありません。
「誰に聞けば正確な情報が得られるのだろう…」そんなお悩みを解消するため、代表的なご質問にお答えします。
ここでは、公正証書と委任状に関して特によく寄せられる質問とその回答を、Q&A形式で簡潔に解説していきます。
Q. 委任状が使えるかどうかは誰に相談すべき?
A. まずは、実際に公正証書を作成する公証役場に直接問い合わせて確認するのが最も確実な方法です。
公正証書の種類や内容によって委任状の可否が異なるためです。
また、行政書士や弁護士などの法律専門家に相談すれば、利用の可否だけでなく、適切な手続きや委任状の作成方法についても具体的なアドバイスを受けられます。
Q. 法人が委任状を使うときの注意点は?
A. 法人が委任状を作成して公正証書手続きを行う場合、委任者である法人の代表者の資格を証明する書類(代表者事項証明書や登記事項証明書など)と、法人の実印および印鑑証明書が必要となるのが一般的です。
委任状には、委任する具体的な契約内容や代理人の権限範囲を明確に記載し、法人の名称、所在地、代表者の役職氏名も正確に記しましょう。
Q. 本人が意思表示できない場合はどうなる?
A. 公正証書は、ご本人の明確な意思に基づいて作成されるものです。
そのため、ご本人が病気や認知症などで有効な意思表示ができない状態にある場合は、原則として委任状を用いて公正証書を作成することは困難です。
このようなケースでは、成年後見制度の利用などを検討し、法定代理人が関与する必要が出てくる場合があります。
まずは専門家にご相談ください。
Q. 委任状の書き方に決まったルールはある?
A. 法律で委任状の厳格な書式が定められているわけではありませんが、法的に有効な委任状とするためには、必ず記載しなければならない事項があります。
具体的には、委任者と受任者の氏名・住所、委任する具体的な内容(どの公正証書をどのような権限で作成するのか)、委任状の作成日付、そして委任者の署名押印です。
これらの記載に不備があると委任状が無効になる恐れがあるため、注意深く作成する必要があります。
Q. 代理人が未成年でも委任できるの?
A. いいえ、原則として代理人が未成年者の場合、公正証書作成のような重要な法律行為の代理人として委任することはできません。
未成年者は法律行為を行う能力が制限されているためです(制限行為能力者)。
公正証書作成の代理人には、判断能力のある成年者を選任する必要があります。
信頼できる成人の方に依頼しましょう。



まとめ:委任状で公正証書を確実に
この記事では、「公正証書での委任状の要否」「使える具体例」「記載内容と注意点」、そして「作成の流れ」を説明しました。
委任状は、本人が公証役場へ出頭できない場合の有効な手段です。
正しい知識と準備が、将来のトラブルを防ぐ鍵となるでしょう。
「自分で手続きできるか不安…」そうした疑問は当然です。
まずはこの記事を参考に、ご自身の状況で委任状が適切か、何が必要かを整理しましょう。
それが確実な公正証書作成への第一歩となります。
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