養育費未払いに履行勧告!2つのメリットと4つの注意点、手続き・強制執行まで解説

養育費未払いに履行勧告!2つのメリットと4つの注意点、手続き・強制執行まで解説 離婚後の生活

「約束したはずの養育費が、最近支払われなくなった…」
「履行勧告という手続きがあるみたいだけど、本当に効果があるの?」

そんな切実な悩みや疑問を抱え、お困りではありませんか。

子供の健やかな成長のために欠かせない養育費。
その支払いが滞ることは、生活に直接影響する深刻な問題です。
泣き寝入りせず、適切な対応をとることが大切になります。
履行勧告は有効な第一歩となり得ますが、そのメリットや注意点を正しく理解し、状況によっては強制執行といった次の手段や、そもそも不払いに備える対策を知っておくことも重要でしょう。

手続きへの不安や相手とのやり取りを考えると、一歩を踏み出すのをためらってしまうかもしれません。
しかし、正しい知識があれば、きっと前に進むことができます。

この記事では、[養育費が支払われず、履行勧告などの具体的な対応策を考えている方]に向けて、離婚問題に詳しい専門家の視点から、主に以下の点について分かりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 養育費未払いで最初にすべき「履行勧告」の全て(メリット・注意点含む)
  • 履行勧告が効かない場合の「強制執行」による回収方法
  • 今後の養育費不払いに「備える3つの対策」
  • 養育費回収にかかる「費用と期間」の目安

この記事を通じて、履行勧告から強制執行までの流れや、ご自身の状況に合った最適な選択肢が見えてくるはずです。
離婚プラットフォーム「home」が持つ専門家の知見を基に、分かりやすくまとめました。
ぜひ最後までお読みいただき、お子様のための権利を守る一助としてください。

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養育費が未払いになったら最初にすべきこと

養育費が支払われず困っている場合、最初に取るべき対応が「履行勧告」の申立てです。
これは家庭裁判所が支払義務者に対して、養育費を支払うよう促す制度です。
費用がかからず、書類さえ揃えば自分でも申し立てができるため、まず検討する価値があります。

「相手が連絡を無視していて、もうどうすればいいか分からない…」と感じる方にとって、裁判所という第三者からの働きかけは大きな意味を持ちます。直接連絡が取れない状況でも、制度を使って対応できるのです。

ここでは、履行勧告の基本的な制度内容から手続き方法、メリット・注意点まで詳しく解説していきます。

「履行勧告」とはどんな制度?

履行勧告とは、調停や審判などで取り決められた養育費の支払いが滞った場合に、家庭裁判所が義務者に対して支払いを促す手続きです。
法的な強制力はありませんが、裁判所からの通知で心理的なプレッシャーを与えることができます。

申立ては家庭裁判所に行い、費用は基本的に無料です。
対象となるのは、調停調書や審判書など裁判所の正式な文書があるケースです。
私的な合意書や口頭での約束のみでは利用できません。

裁判所に申し立てるための条件と手続き

履行勧告を申し立てるためには、以下の条件と手続きを確認しましょう。

  • 対象文書があること
    • 調停調書、審判書、判決書などの債務名義が必要です。
  • 申立先
    • 養育費を定めた調停や審判を行った家庭裁判所。
  • 必要書類
    • 履行勧告申立書(裁判所ホームページで入手可能)
    • 養育費未払いを示す証拠(通帳コピーなど)
  • 手続きの流れ
    • 書類を準備
    • 裁判所に提出
    • 裁判所が義務者に対して通知

    なお、申立人が義務者の住所を正確に把握している必要があります。

    養育費の履行勧告を行うメリット2つ

    1. 相手に心理的プレッシャーを与えることができる

    裁判所からの正式な通知は、義務者にとって「放置できないもの」として心理的な影響を与えやすくなります。第三者からの介入により、支払いが再開されるケースも少なくありません。

    2. 手続きが簡単で迅速に実行できる

    履行勧告は費用がかからず、申立書と証拠書類を準備すれば自分で申し立てることが可能です。裁判所の判断も比較的早いため、初期対応としては非常に有効です。

    履行勧告の注意点4つ

    1. 強制力がない

    履行勧告は「お願いベース」の手続きであり、支払いが強制されるわけではありません。
    義務者が無視した場合でも、罰則などは設けられていません。

    2. 履行勧告がされない可能性がある

    裁判所が義務者の事情を考慮して、「勧告は適当でない」と判断する場合、申し立てが却下されることもあります。特に調停中の案件や、支払い能力に争いがある場合は注意が必要です。

    3. 義務者の住所を把握している必要がある

    履行勧告は文書による通知が前提となるため、義務者の現住所が分からなければ手続きが進みません。引越しなどで住所不明の場合は、住民票の調査などが必要になるケースもあります。

    4. 調停や審判が必須

    履行勧告を利用するには、調停や審判などで正式に養育費が決まっている必要があります。
    公正証書しかない場合は、履行勧告ではなく強制執行など他の方法を検討する必要があります。

    強制執行で養育費を回収する方法とは

    養育費の未払いが続く場合、最終的な法的手段として「強制執行」があります。
    これは、裁判所の力を借りて相手の給与や預金などを差し押さえ、未払い分を回収する方法です。

    「もう泣き寝入りするしかないのかも…」と悩んでいる方でも、正しい手続きを踏めば、養育費を回収できる可能性があります。以下では、履行命令から強制執行に進む流れや、差し押さえの具体的な方法について詳しく解説します。

    「履行命令」から強制執行へ進む流れ

    履行命令とは、家庭裁判所が養育費の支払いを命じる正式な手続きです。
    履行命令を出しても相手が支払わない場合、罰則として10万円以下の過料が科されることがあります。

    履行命令が無視された場合、債務名義(調停調書や公正証書など)に基づいて強制執行が可能になります。
    このように、段階的に手続きを進めることが、確実な回収につながります。

    給与差し押さえの手続きと注意点

    給与差し押さえは、相手の勤務先から直接未払い分を取り立てる方法です。
    対象は手取り額の2分の1までで、継続的に差し押さえることが可能です。

    ただし、勤務先の情報が必要なため、事前に相手の職場を把握しておく必要があります。
    また、勤務先には裁判所から直接通知が届くため、相手との関係性にも注意が必要です。

    銀行口座や財産の差し押さえは可能?

    銀行口座の預金や不動産など、相手の資産が把握できれば、それらを差し押さえることも可能です。
    特に口座差し押さえは一度にまとまった金額を回収できる可能性があるため、有効な手段です。

    しかし、差し押さえには正確な銀行名や支店名が必要です。
    情報が不明な場合は、裁判所を通じて「情報取得手続き」を行うことで調査が可能になっています。

    養育費の不払いに備える3つの対策

    養育費の取り決めは、ただ話し合って合意するだけでは不十分です。
    将来的な「支払いの遅れ」や「不払い」に備えて、法的に強い文書を作成しておくことが非常に重要です。

    「きちんと約束したのに、後から反故にされたらどうしよう…」と不安に思う方も多いでしょう。
    実際、取り決めの方法によっては法的手段をとれないこともあるため、準備段階から慎重に進める必要があります。以下で、不払いに備えるための3つの対策について詳しく解説します。

    公正証書にしておくメリット

    公正証書とは、公証役場で作成される法的効力の高い文書で、養育費の支払い義務を明確にすることができます。特に「強制執行認諾文言付き」の公正証書を作成すれば、支払いが滞った場合に裁判なしで差し押さえが可能になります。

    この文言があることで、養育費の支払いがされないとき、すぐに強制執行手続きに移れるため、実効性の高い対策となります。費用は数万円程度で作成でき、自分で申請することも可能です。

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    調停調書・判決書の効力とは?

    家庭裁判所での調停や審判で取り決めた内容は、「調停調書」や「審判書」「判決書」として正式な文書になります。これらも公正証書と同様、強制執行が可能な債務名義となるため、支払いが滞った際に法的手続きに進む根拠となります。

    離婚調停や養育費の調停を行った場合は、必ずその調書を保管しておくことが大切です。
    相手が支払いを拒否した場合でも、裁判所を通じて差し押さえなどの手続きが可能になります。

    未払いリスクに強い協議書の作り方

    養育費の話し合いを口約束だけで済ませるのは危険です。
    書面に残すことで証拠となり、トラブル防止につながります。特に重要なのは、支払い期間・金額・振込口座・支払期日などを具体的に記載することです。

    さらに、公正証書として作成する、または調停調書にするなど、「債務名義」として有効な形で残すことが重要です。弁護士や行政書士に相談して、法的に有効な文書を作成することで、万が一の不払いにも備えることができます。

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    相手が養育費を支払わない理由と対応

    養育費の未払いは、経済的な苦しさだけでなく、精神的にも大きなストレスを伴います。
    多くの場合、「相手が悪意をもって払っていないのか、それとも本当に払えないのか」が見えにくく、対応に悩む方が少なくありません。

    「連絡もつかないし、こちらの言い分も聞いてもらえない…」という状況では、自分ひとりで解決するのは困難です。ここでは、よくある3つのケースに分けて、原因と適切な対応方法を具体的に解説します。

    「支払い能力がない」と主張された場合

    支払う意思はあるものの、収入が減ったなどの理由で「払えない」と言われるケースがあります。
    この場合でも、養育費は子どもの権利であり、原則として支払い義務は継続します。

    ただし、経済状況に大きな変化があった場合、支払う側は「減額調停」を申し立てることが可能です。
    逆に、調停や裁判所で決まった内容を勝手に減額・停止することは認められていません。もし減額の話があったとしても、必ず正式な手続きによって行われるべきです。

    音信不通・連絡が取れない場合

    相手とまったく連絡が取れない場合、最も重要なのは「現在の居場所(住所・勤務先など)」の特定です。
    これがわからないと、履行勧告や強制執行などの手続きが進められません。

    住民票の附票を取得したり、弁護士に依頼して調査を行うことも一つの方法です。
    また、裁判所によっては、相手の所在が不明でも「公示送達」という方法で手続きを進めることも可能です。

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    相手との話し合いが難しい場合

    感情的な対立や過去のトラブルから、冷静に話し合うことができないケースもあります。
    このような場合は、第三者を間に入れることでスムーズに進む可能性があります。

    具体的には、家庭裁判所の調停や、法テラスを通じた弁護士の無料相談を活用することが有効です。
    話し合いが困難でも、調停調書などの正式な文書があれば、最終的に強制執行という手段も取ることができます。

    「もう話してもムダかも…」と感じた時こそ、制度を使って冷静に対処することが大切です。

    養育費回収にかかる費用と期間の目安

    「弁護士に頼むと高額?」「自分でやると時間がかかる?」など、養育費回収にかかるお金と時間は多くの方が気になるポイントです。方法によって負担は大きく変わります。

    「なるべく費用を抑えて、でも確実に回収したい…」という方のために、ここでは弁護士を使う場合と自分で行う場合の違い、そして手続きにかかる時間の目安について解説します。

    弁護士に依頼する場合の費用相場

    弁護士に養育費の回収を依頼する場合、費用は事務所や地域によって異なりますが、おおよそ以下が目安です。

    • 着手金の相場(目安)
      弁護士に正式に事件処理を依頼する際に、最初に支払う費用です。事件の結果に関わらず、原則として返金されません。
      • 協議離婚サポート(交渉代理を含む): 20万円~40万円程度
      • 離婚調停の代理: 30万円~50万円程度
      • 離婚訴訟(裁判)の代理: 40万円~60万円程度
    • 成功報酬の相場(目安)
      事件が解決した際に、その成果(離婚成立、慰謝料獲得、財産分与獲得など)に応じて支払う費用です。
      • 離婚成立自体に対する報酬: 20万円~40万円程度
      • 経済的利益に対する報酬: 獲得した(または相手からの請求を減額できた)経済的利益(慰謝料、財産分与など)の10%~20%程度
      • 養育費獲得に対する報酬: 養育費の1〜2年分相当額の〇%など、事務所によって算定方法が異なります。
    • 実費
      上記とは別に、事件処理のために実際にかかった費用です。
      裁判所に納める印紙代、郵便切手代、交通費、戸籍謄本などの書類取得費用、不動産鑑定費用など。
      • 相場: 通常は数千円から数万円程度ですが、遠方の裁判所への出張が必要な場合や、特殊な鑑定が必要な場合は高額になることもあります。

    裁判所を通じた手続きにかかる時間

    家庭裁判所の調停や履行勧告、履行命令などを使った場合、完了までにかかる期間の目安は以下のとおりです。

    • 履行勧告:申立てから2週間〜1ヶ月程度で相手に通知
    • 履行命令:2〜3ヶ月程度(裁判官の判断による)
    • 強制執行:差押えの準備など含めて3ヶ月〜半年程度

    相手の対応によっては、さらに時間がかかることもあります。

    自分で行う場合のメリット・デメリット

    自分で手続きを行う最大のメリットは「費用が安く済む」ことです。一方で、法的知識や書類作成の手間、心理的な負担が大きくなる点には注意が必要です。

    メリット

    • 手続きにかかる費用が非常に安い
    • 申立書などを自分で用意すれば、家庭裁判所の手数料のみで済む

    デメリット

    • 書類の記載ミスや手続き漏れのリスク
    • 相手とのやり取りで精神的に疲弊しやすい
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    養育費の未払いに関するよくある質問

    養育費の不払いは何年まで遡れる?

    養育費の支払い義務は原則として子どもが成人(18歳または20歳)になるまで続きますが、不払い分の請求には時効があります。法的には「5年」で時効とされるため、5年を超えた分の請求は難しくなる可能性があります。

    ただし、裁判所の手続きや請求書などの証拠があれば、時効の進行を止める(中断する)ことも可能です。

    強制執行できないケースはある?

    以下のようなケースでは強制執行ができない、または難しくなります。

    • 相手の住所や勤務先が不明
    • 相手に差し押さえ可能な財産(給与や預金)がない
    • 支払い義務を証明する調停調書や公正証書などの「債務名義」がない

    強制執行を考える場合は、まず債務名義の取得と相手の財産情報の把握が重要です。

    家庭裁判所でできることとできないこと

    家庭裁判所では、以下の手続きが可能です。

    • 養育費の取り決め(調停・審判)
    • 履行勧告・履行命令
    • 養育費の減額・増額調停

    一方で、家庭裁判所は強制的にお金を回収すること(差押え)は行いません。これは地方裁判所で行う「強制執行」の手続きです。

    行政書士や事務所に相談しても大丈夫?

    行政書士は法律相談や代理交渉はできませんが、公正証書作成支援や書類作成の補助は可能です。
    「手続きの書き方がわからない」という方にとっては心強い存在です。
    ただし、法的トラブルが起きている場合は、弁護士への相談が適しています。

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    再婚したら養育費はどうなる?

    養育費は子どもに対して支払われるものであり、支払う側・受け取る側の再婚とは基本的に関係ありません。
    ただし、再婚相手との間に子どもができたり、生活状況が大きく変化した場合には、養育費の金額見直しを家庭裁判所に申し立てることが可能です。

    まとめ:養育費の未払い、履行勧告で解決へ

    養育費の未払いで困っているなら、履行勧告は有効な第一歩です。
    この記事では、その手続きや注意点を解説しました。
    履行勧告に強制力はありませんが、まずは試してみる価値があります。

    それでも支払われない場合は、強制執行などの次の手段も考えましょう。
    手続きが不安なら、弁護士への相談も有効です。

    諦めずに、お子さんの権利を守るため行動を起こしましょう。

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    養育費補助支援

    養育費を取り決め、実際に受け取っているひとり親は、全体のわずか24.3%にとどまります。
    この養育費未払い問題に、各自治体ではさまざまな支援制度が用意されています。
    養育費に関する公正証書作成補助として、神奈川県は上限4万円、横浜市は上限3万円、川崎市は上限5万円などです(2025年4月時点)
    参考:全国自治体の養育費支援神奈川県の養育費支援

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