「離婚を切り出したら、役員としての立場も危うくなるかもしれない…」
「会社や株主にどう説明すればいいのか、誰にも相談できない…」
そう悩んでいる役員の方も少なくないのではないでしょうか。
会社役員という立場にある人が離婚を考えるとき、その影響は家庭だけにとどまりません。
役員報酬やストックオプション、退職金、果ては会社の信用問題まで、多方面に影響を及ぼす可能性があります。
適切な知識を持たないまま話を進めてしまうと、思わぬ不利益を被るリスクもあるのです。
しかし安心してください。
この記事では、役員が離婚をする際に「何に注意すべきか」「どう備えるべきか」を、専門家の視点で丁寧に解説しています。
あなたがこれから冷静に行動できるよう、知識と判断の土台をご提供します。
この記事では、会社役員として離婚問題に直面している方に向けて、主に以下を専門家視点でご説明します。
- 離婚を理由に役員を解任されることはあるのか
- 役員報酬や退職金の財産分与の取り扱い
- 離婚時に専門家へ相談するべき理由とその効果
離婚は個人の問題であると同時に、役員という立場上、会社にも影響を及ぼしかねません。
だからこそ、正しい知識と冷静な判断が必要です。
あなた自身と会社、そして家族の未来を守るために、ぜひ本記事を参考にしてください。


会社役員の離婚する場合に知っておくべきこと5つ
会社役員が離婚を検討する際、一般的な夫婦とは異なる法的・経済的リスクが伴います。
役員報酬や自社株、役員退任の扱いなど、特有の事情を理解していなければ、思わぬ不利益を被る可能性もあります。
「離婚をしたいけれど、会社に迷惑がかかるのでは…」
「自社株や報酬の扱いがどうなるのか不安…」
このように悩んでいる役員の方も多いのではないでしょうか。
ここでは、役員としての立場を持つ方が離婚時に押さえておくべき5つの重要ポイントをわかりやすく解説します。
1. 離婚を理由に役員を解任されることはない
離婚をしたことだけで、会社役員を解任されることは原則としてありません。
役員の地位は、民法上「委任契約」に基づいています。
つまり、役員を解任するには、株主総会の決議など、正式な手続きを経る必要があります。
離婚を理由とした解任が不当である場合は、損害賠償を請求できるケースもあるため、冷静に対応しましょう。
雇用形態 | 契約 | 法律 |
---|---|---|
従業員 | 雇用契約 | 労働契約法 |
役員 | 委任契約 | 会社法 |
配偶者が従業員の場合は労働契約法が関係する
配偶者が会社の従業員である場合、たとえ夫婦が離婚しても、正当な理由がない限り解雇することはできません。労働契約法により、不当解雇は無効とされるため注意が必要です。
配偶者が役員の場合は委任契約が関係する
配偶者が取締役など役員として在籍している場合も、離婚を理由に一方的に辞任させることはできません。
この場合も株主総会の決議が必要です。
2. 婚姻後に得た財産は財産分与の対象
結婚後に得た財産は、名義を問わず「夫婦の共有財産」とみなされ、離婚時に分与の対象となります。
たとえ会社名義の預金や資産であっても、実質的に家庭の生活費や投資資産として使われていた場合、分与の対象とされる可能性があります。


3. 退職金も財産分与の対象
会社役員に支払われる退職金についても、婚姻期間中に発生した部分については財産分与の対象となります。
「まだ退職していないから関係ない」と思われがちですが、将来支払われる予定の退職金でも、離婚時点での評価額に基づいて分割対象となる可能性があるため、注意が必要です。
4. 役員を辞退する場合は役員退任登記が必要
離婚を機に、自ら役員を辞退したいと考えるケースもあります。
その場合は、正式に「役員退任登記」の手続きを行う必要があります。
退任登記をしなければ、法的には役員のままとなり、責任や義務も継続します。
また、後日トラブルになる可能性もあるため、必ず登記まで行うようにしましょう。
役員は「解任」「退任」「辞任」の辞め方によって必要な書類が変わります。
やめ方 | 概要 | 必要書類 |
---|---|---|
解任 | 株主総会の決議により、強制的に役員の地位を失うケース。本人の意思によらない。 | ・変更登記申請書 ・臨時株主総会議事録 ・株主リスト ・委任状(代理人が申請する場合 |
退任 | 任期満了や辞任によって自然に役職を終えること。定時株主総会で扱われる。 | ・変更登記申請書 ・定時株主総会議事録 ・株主リスト ・委任状(代理人が申請する場合) |
辞任 | 本人の意思で途中退任するケース。株主総会の決議は不要。 | ・変更登記申請書 ・辞任届(原本) ・委任状(代理人が申請する場合) |
5. 負債は離婚後でも保証人継続の義務がある
会社経営者や役員は、事業資金の借入などで連帯保証人となっていることがあります。
離婚によって夫婦関係が解消されても、保証人としての責任は継続します。
つまり、元配偶者が返済不能となった場合、あなたが代わりに支払う義務が発生します。
保証人から外れるためには、債権者と相談する必要があります。
新たな保証人を選び金融機関に承認を得るか、借入をしている金融機関を変更する方法がありますが、必ず保証人から外れられるということはありません。
保証人から外れたい場合には、離婚が成立する前に専門家に相談をしておき、対処方法を検討しておくと良いでしょう。








会社名義の財産は財産分与の対象となる?
離婚に際し「会社の名義で所有している資産も分与されるのでは…」と不安を抱える役員の方もいるでしょう。
ですが、基本的に会社名義の財産は財産分与の対象にはなりません。
会社と個人は法的に別の人格とみなされるため、会社名義の財産は夫婦の共有財産とは扱われません。
ただし、例外もあり、一定の条件を満たす場合には会社の資産の一部が財産分与の対象になることもあります。
ここでは、会社名義の財産が財産分与の対象となるかどうかの基本的な考え方と、例外的に対象になるケースについて詳しく見ていきましょう。
基本的に会社の財産は財産分与の対象にならない
会社名義の財産(不動産、預金、設備、備品など)は、会社が保有する資産であり、個人が直接保有するものではありません。
そのため、原則として離婚の財産分与の対象とはならず、分割の対象から外されます。
たとえば、法人名義で購入した社用車やオフィス、備品などは、会社の資産として扱われます。
これらは法人の帳簿に記載されており、たとえ夫婦どちらかが会社を経営していたとしても、「法人の所有物」として取り扱われます。
つまり、個人の財産と法人の財産は明確に区別されるというのが原則です。
これは会社法に基づく法人格の独立性に由来しており、経営者個人の離婚とは切り離して考えられます。
例外的に会社の財産が財産分与の対象になるケース
ただし、次のような状況では、会社の財産の一部が例外的に財産分与の対象とされる場合があります。
こうした例外は、事案の内容や証拠次第で判断が分かれるため、個別具体的な事情に応じて専門家に相談することが重要です。








役員の妻が離婚するとき知っておきたい財産分与
役員の妻として、経済的に依存している場合、離婚時の財産分与は特に重要な問題となります。ご自身の生活を守るためにも、財産分与に関する知識をしっかりと身につけておくことが大切です。ここでは、役員の妻が離婚する際に知っておくべき財産分与の基礎知識と、夫婦が社長や取締役である場合に注意すべき点について解説します。
離婚は、経済的な自立を迫られる場合が多く、特に長年専業主婦として家庭を支えてきた女性にとっては、不安が大きくなるかもしれません。しかし、法律は、離婚する際に財産分与を通じて、夫婦が協力して築き上げた財産を公平に分配することを定めています。
財産分与とは
財産分与とは、離婚する際に、夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた財産を、原則として2人で均等に分けることです。財産分与の対象となるのは、土地、建物、預貯金、株式、投資信託、退職金など、夫婦の共有財産とみなされるものです。



夫婦が社長・取締役の場合の問題
夫婦が社長や取締役である場合、財産分与はより複雑になることがあります。
会社の財産が個人の財産と混ざり合っている場合や、役員報酬やストックオプションの評価が難しい場合など、注意すべき点がいくつかあります。
- 会社財産の混同
会社の財産と個人の財産が混ざり合っている場合、財産分与の対象となる財産を明確に区別する必要があります。 - 役員報酬の評価
役員報酬は、財産分与の対象となる場合があります。役員報酬の評価額は、会社の業績や役員の貢献度などを考慮して決定されます。 - ストックオプションの評価
ストックオプションは、権利行使によって株式を取得できる権利です。ストックオプションの評価額は、権利行使時の株価や権利行使期間などを考慮して決定されます。 - 事業承継の問題
離婚によって、会社経営に支障をきたす可能性がある場合、事業承継の問題も考慮する必要があります。








役員が離婚する場合に、専門家に依頼する理由5つ
離婚を検討する役員の方にとって、会社や役員としての立場、財産分与など、様々な問題が複雑に絡み合ってきます。これらの問題を一人で抱え込まず、専門家のサポートを得ることで、精神的な負担を軽減し、より良い解決策を見つけることができるでしょう。ここでは、役員の方が離婚時に専門家に依頼するべき5つの理由を解説します。
離婚は、人生における大きな転換期であり、精神的な負担も大きくなります。役員という立場上、会社への影響や自身のキャリアへの不安も重なり、誰にも相談できずに悩んでしまう方もいるかもしれません。
しかし、専門家は、あなたの状況を客観的に分析し、最適な解決策を提案してくれます。
1. 精神的に支えてもらう
離婚は、感情的に非常に消耗します。
特に役員という立場の方は、周囲からの目や会社の状況など、様々なプレッシャーを感じるでしょう。弁護士やカウンセラーなどの専門家は、あなたの気持ちに寄り添い、精神的なサポートを提供してくれます。



2. トラブル拡大や不利な内容を防ぐことができる
離婚交渉は、感情的になりやすく、思わぬトラブルに発展する可能性があります。
特に役員という立場の方は、会社や財産に関する問題が複雑に絡み合い、不利な条件で離婚してしまうリスクも高まります。弁護士などの専門家は、法律の専門知識を駆使し、トラブルを未然に防ぎ、あなたにとって有利な条件で離婚できるようサポートしてくれます。
3. 法的なアドバイスや、相手と代理交渉ができる
離婚に関する法的な手続きは複雑で、専門知識がないと理解するのが難しい場合があります。
弁護士は、法律の専門知識で、あなたに最適なアドバイスを提供してくれます。
また、相手方との交渉を代行することで、精神的な負担を軽減し、スムーズな離婚手続きを進めることができます。


4. 離婚調停・裁判でも対応できる
離婚交渉がうまくいかない場合は、離婚調停や裁判などの法的手続きが必要になることがあります。
弁護士は、調停や裁判での手続きを代行し、あなたの権利を守るために尽力してくれます。



5. 財産の調査や評価ができる
離婚時の財産分与は、金額が大きく、複雑な問題が絡み合うことがあります。
特に役員という立場の方は、役員報酬やストックオプションなど、財産の評価が難しい場合があります。
税理士や不動産鑑定士などの専門家は、財産の調査や評価を行い、適正な財産分与を実現するためにサポートしてくれます。
弁護士や税理士に依頼すれば、財産の調査と適正な評価を行い、あなたの立場を守る証拠として活用できます。








離婚 役員に関するよくある質問
離婚を検討する役員の方や、役員の配偶者の方から、離婚に関する様々な質問が寄せられます。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。
離婚は、法的な手続きや財産分与など、複雑な問題が絡み合います。ご自身の状況に合わせて、適切な対応をとることが大切です。
役員報酬は財産分与の対象にならないというのは本当ですか?
いいえ、それは誤解です。役員報酬は、婚姻期間中に夫婦の協力によって得られた財産とみなされるため、原則として財産分与の対象となります。ただし、役員報酬が会社の業績や役員の貢献度によって変動する場合は、その変動幅を考慮して財産分与の割合が決定されることがあります。
離婚によって役員としての地位を自動的に失いますか?
必ずしもそうではありません。離婚によって役員としての地位を自動的に失うわけではありませんが、会社の定款や株主総会の決議によっては、役員解任される可能性があります。特に、配偶者が会社の従業員である場合や、離婚によって会社に支障をきたす可能性がある場合は、役員解任のリスクが高まります。
離婚時の会社への報告義務はありますか?
法的に義務付けられているわけではありませんが、役員としての立場を考えると、会社への報告は慎重に検討すべきです。離婚によって会社の経営に影響が出る可能性がある場合は、事前に会社に相談し、適切な対応をとることが望ましいでしょう。
弁護士に依頼するべきですか?
離婚問題は、法的な知識や交渉力が必要となる場合があります。特に、役員という立場の方は、財産分与や役員としての地位など、複雑な問題が絡み合うため、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士は、あなたの権利を守り、有利な条件で離婚できるようサポートしてくれます。







役員報酬の財産分与割合はどのように決まりますか?
役員報酬の財産分与割合は、夫婦の協力度合いや、役員報酬が財産形成にどれだけ貢献したかなどを考慮して決定されます。一般的には、夫婦の協力度合いが同等であると判断される場合は、役員報酬を均等に分けることになります。
養育費の額を下げるために役員報酬を切り下げる行為は許されるのか?
原則として許されません。養育費は、子供の健全な成長のために必要な費用であり、親にはそれを支払う義務があります。役員報酬を意図的に切り下げる行為は、養育費の支払いを逃れるための不正行為とみなされ、裁判所によって認められない可能性があります。
離婚後のトラブル 約70%が養育費未受給・子どもと会えない問題

離婚する方の約55%が離婚条件を書面化していません。結果的に離婚後に多くのトラブルをかかえています。
養育費は、子どもの成長にとって重要な資金ですが、現実には約70%のひとり親世帯が養育費を受け取れていません。
また、離婚後に親が子どもと会えなくなるケースも多く、約70%の別居親が子どもと会えていません。面会交流の取り決めが曖昧だとトラブルの原因になります。
これらを防ぐためには、公正証書や裁判所の調停で支払い義務を明文化し、強制執行が可能な形にしておくことが有効です。








まとめ:離婚を検討する役員の方へ。未来への第一歩を踏み出しましょう
この記事では、役員の方が離婚を検討する際に知っておくべき、財産分与、役員としての地位、会社への影響などについて解説してきました。
離婚は、あなたにとって大きな転換期です。役員という立場だからこそ、不安や悩みが大きくなるかもしれません。しかし、適切な知識と専門家のサポートがあれば、必ず乗り越えられます。
財産分与や法的な問題は、弁護士などの専門家に相談することで、スムーズに進めることができます。また、離婚後のキャリアプランについても、専門家が的確なアドバイスを提供してくれます。
未来への第一歩を踏み出すために、まずは専門家への相談を検討してみてはいかがでしょうか。あなたの新たな人生を応援します。
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公正証書にすることで、慰謝料や財産分与、養育費などが守られない場合、強制執行(給与、預貯金などの財産を差し押さえ)がカンタンになります。
養育費の公正証書作成で数万円補助の可能性

養育費を取り決め、実際に受け取っているひとり親は、全体のわずか24.3%にとどまります。
この養育費未払い問題に、各自治体ではさまざまな支援制度が用意されています。
養育費に関する公正証書作成補助として、神奈川県は上限4万円、横浜市は上限3万円、川崎市は上限5万円などです(2025年4月時点)
参考:全国自治体の養育費支援、神奈川県の養育費支援


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