「離婚しないまま別居するって、生活費はどうなるのかな…」
「専業主婦なのに、別居してもお金ってもらえるの?」
こんな不安を抱えている方もいるかもしれません。
実際、離婚せずに別居した場合の生活費(婚姻費用)は、法律で保障された“当然の権利”です。
しかし、その存在や請求方法を知らずに、「仕方ないから我慢するしかない」と思い込んでしまっている人も少なくありません。
夫婦には、たとえ別居中でもお互いの生活レベルを保つために支え合う義務があります。
これは「生活保持義務」と呼ばれ、たとえ別れて暮らしていても、収入がある側がない側に一定の生活費を支払う必要があると法律で定められています。
つまり、正しい知識と手続きを知っていれば、今の苦しい状況を変えることは可能です。
この記事では、経済的不安を抱えながらも子どもと安心して暮らしたいと願う方が、
自分の権利を正しく理解し、必要な生活費を確保するための知識と手順をわかりやすくお伝えします。
この記事では、離婚せず別居を考えている方に向けて、主に以下を専門家視点でご説明します。
- 離婚せず別居した場合の生活費(婚姻費用)の法的な位置づけと具体的な請求方法
- 公的制度や税制、相続など、別居時に知っておくべき制度面の違い
- 婚姻費用をめぐる話し合いや調停、調書・公正証書の作成のコツ
不安な気持ちは当然です。
けれど、行動することでしか状況は変わりません。
あなた自身とお子さんの生活を守るために、この記事を参考に次の一歩を踏み出してください。


離婚せずに別居する場合の生活費と制度上の違い
離婚せずに別居する場合でも、生活費(婚姻費用)をめぐる問題は避けて通れません。
夫婦は法律上、お互いの生活を支える義務があり、この義務は同居していなくても消えません。
とはいえ、「相手が生活費を払ってくれない…」「税金や手当はどうなるの?」など、別居中ならではの悩みも多くあります。
ここでは、離婚せず別居したときに知っておくべき生活費と制度のポイントについて、順を追ってわかりやすく解説していきます。
1. 婚姻費用(生活費)の分担義務とは?
夫婦には、婚姻関係を続けている限り、生活保持義務があります。
これは、収入のある配偶者が、別居中であっても生活費(婚姻費用)を分担する義務を負うという意味です。支払うべき金額は「婚姻費用算定表」を用いて算出されることが一般的で、家庭裁判所でもこの表を参考に判断します。
例えば、年収600万円の夫と専業主婦の妻、子ども1人というケースでは、月6〜8万円程度が目安になることがあります。




2. 公的扶助制度の利用制限に注意
離婚していない場合、生活保護や児童扶養手当といった公的扶助制度が利用できないことがあります。
これらの制度は原則として「ひとり親家庭」が対象となるため、たとえ実質的に一人で子どもを育てていても、戸籍上の夫婦関係が続いていると対象外となる可能性があります。



3. 勤務先からの手当はどうなる?
会社によっては、配偶者手当や家族手当が支給されることがあります。
離婚していない限りこれらの手当は継続されるケースが多いですが、「実態として別居している場合は対象外」とする規定がある会社もあります。確認のためには、就業規則を一度読み直すことが大切です。
場合によっては、別居を理由に手当の支給停止があり得ることも知っておきましょう。


4. 扶養や税金への影響は?
税務上の配偶者控除や扶養控除も、別居の有無により影響を受けます。
たとえば、夫の扶養に入っている妻が別居後にパートで収入を得た場合、一定の条件を超えると扶養から外れる可能性があります。また、住民票を異動すると「別世帯」とみなされ、住民税の課税区分が変わることもあります。
税務署や市区町村に確認し、事前に対策を考えておくことが大切です。
5. 相続権は維持されるのか?
別居していても、離婚していなければ法律上の配偶者であることに変わりはありません。
そのため、相手が亡くなった場合には法定相続人となり、財産を受け取る権利が発生します。
ただし、長期別居や交流のない状況が続いていた場合は、他の相続人との間でトラブルになるケースもあります。
相続トラブルを防ぐために、早めに遺言書を作成しておくという対策も検討するとよいでしょう。









離婚せず別居を続ける5つのメリット
離婚せずに別居という選択は、一見中途半端に感じるかもしれませんが、実は「今すぐ離婚は決断できない」「経済的に不安がある」といった方にとって、合理的で現実的な選択肢となることもあります。
「離婚したほうがスッキリするかも…」と思う一方で、別居だからこそ得られるメリットも確かに存在します。
ここでは、離婚せずに別居することの主なメリットを5つに分けて解説していきます。
1. 婚姻費用を法的に請求できる
離婚していないため、婚姻費用(生活費)を法的に請求できます。
これは、婚姻中の夫婦には互いの生活を支える義務(生活保持義務)があるからです。たとえ別居していても、その義務は消えず、収入が多い側は少ない側に一定額を支払う義務を負います。




婚姻費用の取り決めで押さえたい点
婚姻費用は口頭での取り決めではなく、できれば文書化しておくことが望ましいです。
このようなポイントを明確にしておくと、支払いトラブルの予防になります。
別居後に婚姻費用を請求する手順
実際に婚姻費用を請求するには、以下のような流れになります。
- まず相手に対し書面または話し合いで支払いを求めます
- 応じない場合は家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てます
- 調停で合意できなければ「審判」に進み、裁判官の判断が下されます
調停申し立て時点から遡って請求が認められる場合もあるため、早めの対応が有効です。
2. 親権をすぐに決める必要がない
離婚をしてしまうと、親権者を必ず1人に決めなければなりません。
しかし、別居であれば親権を強制的に決定する必要はありません。お子さんの年齢や生活状況を見ながら、親権の扱いを慎重に検討できます。





3. 精神的ストレスからの一時的な解放
同居生活でのモラハラや価値観の違い、育児・家事の協力不足など、積み重なったストレスは心身に大きな影響を与えます。
別居を選ぶことで、物理的な距離ができ、感情的な衝突も避けやすくなります。環境を変えることが、冷静な判断や気持ちの整理につながるケースも多く、「一旦離れてみて本当によかった」と感じる方もいます。
4. 離婚準備を落ち着いて進められる
別居は、離婚を視野に入れた冷却期間として機能します。
こうした離婚後に必要となる要素を、感情的な混乱から距離を置いて、落ち着いて進めることができます。
特に、経済的な不安を抱えている方にとっては、別居中に生活基盤を整える時間が確保できるのは大きな利点です。
5. 夫婦関係を見直し再構築できる可能性もある
別居によって一度距離を置くことで、相手への怒りや不満が落ち着き、冷静に物事を考えられるようになることもあります。
「このまま離婚したほうがいいのか」「子どものためにもう一度話し合えないか」など、自分と向き合う時間が生まれることで、再構築という選択肢が見えてくる場合もあるのです。
実際に、一定期間の別居を経て、関係が改善したという事例もあります。離婚を急がず、時間を味方につけるという意味でも、別居という選択には価値があります。










離婚せず別居を続ける6つのデメリット
離婚をせずに別居するという選択は、一定のメリットがある一方で、見過ごせないデメリットも抱えています。
「このままの状態で本当に大丈夫かな…」と感じている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、離婚せずに別居を続けることによって起こりうる6つの主なデメリットについて、注意点を含めて丁寧に解説します。
1. 子どものメンタルへの影響
別居生活が子どもの心に与える影響は無視できません。
このようなケースもあり、親の選択が子どもにどう影響するかを丁寧に考える必要があります。
特に、子どもが幼い場合や思春期の場合には、心理的ケアを意識した対応が重要です。


2. 浮気や不倫の証拠収集が難しくなる
別居中に浮気・不倫が発生した場合、証拠を押さえるのが難しくなるリスクがあります。
同居していればメールやLINEのチェック、外出の様子から不審な行動に気付きやすいですが、別居となるとその機会は大幅に減少します。
将来的に離婚を考えている場合は、「浮気が原因」であることを立証できないと慰謝料請求などにも影響が出る可能性があります。
証拠収集のハードルが上がる点は、別居の大きなデメリットのひとつです。


3. 財産分与で不利になる恐れ
別居中に相手が自由に資産を動かした場合、その内容が把握できず、離婚時の財産分与で不利になる恐れがあります。
このようなことが起きると、「どの財産が共有か」判断することが困難になり、財産分与の対象から外れてしまうリスクもあります。
財産管理に不安がある場合は、別居前に通帳コピーや証拠の保全をしておくと安心です。




4. 生活拠点が分かれることで出費が増える
別居により住居が2つ必要になることで、家賃・光熱費・生活用品などの支出が2倍になります。
特に専業主婦やパート勤務で収入が少ない方にとっては、金銭的負担が大きくなり、生活が困窮する可能性もあります。
婚姻費用を受け取っている場合でも、生活の質を維持できないほど出費がかさむケースもあるため、生活設計を見直す必要があります。
5. 法律上の扶養義務が残る
離婚していない以上、法的には夫婦関係が継続しており、「生活保持義務」が残ります。
たとえば相手が病気や失業などで収入がなくなった場合、「離れて暮らしているから関係ない」とは言えず、扶養を求められる可能性があります。
感情的には縁を切っているつもりでも、法律上は相手と強く結びついている状態だという点に注意が必要です。
6. 再婚など次の人生に進みづらくなる
離婚していない限り、法的には「既婚者」として扱われます。
上記のような障害が生じやすくなります。
「次の人生に進みたい」と思っていても、別居状態のままでは気持ちが整理できない方も多く、新たな一歩を踏み出すための壁になることがあります。







離婚せず別居を選ぶときの注意点
「とりあえず別居から始めよう」と考える方も多いですが、実際には計画性のない別居が後々大きなトラブルを招くこともあります。
ここでは、離婚せずに別居する場合に気をつけたい2つの注意点を紹介します。
1. 長期別居が離婚原因と認定されることも
法的には「別居が一定期間以上続いた場合」は、夫婦関係の破綻とみなされ、相手からの離婚請求が認められることがあります。
「いつの間にか離婚を迫られていた」ということがないよう、別居期間中も定期的に今後の話し合いを持つことが重要です。
2. 婚姻費用頼みの生活はリスクが高い
婚姻費用を受け取っているからといって、それに頼り切った生活設計をしていると危険です。
こうしたリスクに備え、可能であれば別居中に就労や自立の準備を進めることが望ましいでしょう。







今すぐ別居を検討すべきケースとは
別居は必ずしも計画的に進められるものばかりではありません。
中には、「今すぐその場を離れないと、あなた自身やお子さんの命や心が危険にさらされる」深刻なケースも存在します。
ここでは、速やかな別居を検討すべき緊急性の高い2つのケースについて、根拠とともに解説します。
1. DVやモラハラなど暴力を受けている場合
身体的な暴力(DV)だけでなく、言葉や態度による精神的暴力(モラハラ)も、重大な人権侵害です。
こうした状況にある場合、「いつか改善されるかも」「我慢すれば家庭は壊れない」などと希望を抱くよりも、自身の安全を最優先に考えるべきです。
実際、DV加害者の言動はエスカレートする傾向があり、被害者が長期間我慢してしまうことで深刻な傷害事件に至るケースもあります。
【行動のポイント】
あなたの命や心が損なわれる前に、安全な場所へ移る判断が必要です。




2. 子どもが家庭内で虐待されている場合
親として見過ごしてはならないのが、子どもが虐待を受けている状況です。
「今すぐ何とかしないと、子どもに取り返しのつかない影響が出るかもしれない…」と感じたら、その直感を信じて動くべきです。
児童虐待の早期対応が重要なのは、子どもの脳や心の発達が深刻なダメージを受ける可能性があるからです。
【行動のポイント】
「今はまだ我慢できている」「いつかは落ち着くだろう」と様子を見ることが、子どもの安全と発育を妨げることにもつながりかねません。
家庭内で深刻な問題が起きている場合には、何よりも子どもの心身の安全を優先してください。









まとめ:別居生活費、賢明な一歩へ
この記事では、「離婚せず別居する状況やタイミング」「メリット・デメリット」「生活費(婚姻費用)」、そして「別居時にすべきこと」などを説明しました。
離婚せず別居する場合、生活費(婚姻費用)の正しい知識と準備が不可欠です。
これが将来の安心に繋がるでしょう。
「生活費はどうなるのだろう…」という不安は当然です。
まずは本記事を参考に状況を整理し、必要な情報を基に行動しましょう。
それが問題解決への第一歩となります。
生活費の分担や請求でご不明な点があれば、専門家への相談が確実な解決に繋がるでしょう。
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「離婚せず別居」という選択も、前向きな未来を築くための一つのステップです。
正しい知識を得て、冷静に判断しましょう。
この記事が、あなたの疑問解消の一助となれば幸いです。
勇気ある次の一歩を、心から応援しています。
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参考:全国自治体の養育費支援、神奈川県の養育費支援


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